2017-07-29(Sat)
あらためて「労働組合」を考える
連合のテイタラクを見て、「労組なんて嫌いだ」という人が、私の回りには結構いる。とくに保守リベラルの人に多いように思う。
たしかに、労働貴族とかダラ幹(堕落した幹部)の実態を知っていればいるほど、こんな連中消えてしまえ と思う気持ちはわかる。
とくに昨今の連合は、原発を推進し、過労死法案を後押しし、カジノ推進候補を応援するという、ほぼ自民党応援団になっているのだから、労組なんてクソだと言われてもしかたない。
こうしたダラ幹のおかげで、日本の労働組合加入率は17%にまで落ち込んだ。
社員が1000人以上の大企業はまだしも44%だが、100~1000人は12%、100人未満はなんと0.9%だ。
戦後の推移を見るとこんな感じらしい

(独立行政法人労働政策研究・研修機構 より)
このグラフでほぼ横ばいになっている1980年代から昨年までを、民間(規模別)・公務員にわけたものが下の表だ。

(総務省統計局 企業規模別単位労働組合数及び組合員数 より抜粋)
細かい数字はともかく、激減しているのは公務員と民間の中小零細であり、民間の大企業はむしろ増えている ということがわかる。
ちなみに、中小零細企業には、日本の労働者の7割が働いている。
昔の公務員労組は、例えタテマエでも「日本の労働組合を牽引する」という気概があったが、べつに労働運動しなくてもそこそこ賃上げが保証されているし、滅多にクビにもならない身分に気が付いて、労働組合なんて入る人がいなくなっちゃった ということなのだろう。
中小零細の場合は、会社そのものに体力が無くなってしまったことが大きい。
余裕があるときはストでも団交でもやって賃上げさせられたが、最近の中小零細は、そんなことされたらホントに潰れてしまうところが多いはずだ。消費税を搾り取られ、元請けには値切られ、海外との競争が激化し、高度経済成長の頃の余韻は、まったくない。
データで見ても労働分配率は小さな会社ほど高いので、平均すれば中小企業の社長がケチなわけではない。

(内閣府資料より)
さらに、小さな会社で一度消滅した労組を復活させるのは、かなり大変だ。
目立ちすぎてしまって、露骨な嫌がらせだってあるだろう。そこまでして労組に入ろうという人がいないのも理解できる。
世界的に見るとどうだろう。

(社会情勢データ図録 より)
やはり、世界的に見てもかなり組織率は低いほうだ。
上位のアイスランドや北欧諸国が、新自由主義の侵略をなんとかしのいで危機を乗り切ってきたことは、非常に特徴的だ。
以上からわかることは、日本の中小企業や公務員は、世界で最低レベルの労組加入率だということ。
公務員はともかく、日本の労働者の7割をしめる中小零細に勤める人たちは、世界でもっとも孤立した人たちなのである。
■
その結果、どういうことがおきているか。

たしかにリーマンショックからの回復基調と、アベノミクスの効果もわずかに出ており、ここ数年は求人倍率は上がっている。
数日前には1.51倍でバブル期超え なんていうニュースも流れていた。
しかし、そのわりには賃金の上昇は微々たるものだ。

とくに2015年、2016年の実質賃金が急上昇しているのは、アベノミクスのインフレ目標が逆にデフレに戻ったことが原因だ。
物価が下がったので、実質賃金が高くなった。
全産業の合計でこれだから、中小零細はもっと効果は薄い。
過半数の労働者とその家族が中小零細の給料で暮らしているのだから、「なんで人手不足なのに給料上がらないんだ??」と感じているはずだ。
いぜん、こんな記事を書いた。
→ 人手不足なのに給料が上がらない不思議(なぜ世界3位の経済大国が貧乏になるのか 2)
が、その時に書き落としていた重要な要素が、「労働組合」だ。
あまりにも労働者が弱すぎるのだ。
このままでは、完全雇用になっても 賃金は低く抑えられたまま という経済学の常識をぶちこわすような事態になる可能性が高い。
人手不足は、給料を上げずに、過酷な労働だけを強いるものになる。
連合のダラ幹に頼るのではなく、自分たちの命をまもるために、あらためて労働組合ってものを考え直してみる必要がある。
腐った民進党に頼らずに自分たちの政党を作らなくてはならないのと同じ。
それと呼応して、新しい労働組合が必要だ。
■■お知らせ■■
自由党兵庫県連を準備する会 第2回目準備会
■
日時:8月20日(日)13:30~16:30(予定)
場所:兵庫勤労市民センター 2F 第1・2会議室
(前回と同じ建物の別室)
JR兵庫駅北向かい(快速が停車します)
https://www.kobe-kinrou.jp/shisetsu/hyogo/index.html
議題:1.自由党について知ろう。
2.県連をつくるために必要なこと。
ゲスト:自由党大阪府連代表 渡辺義彦元衆議院議員
■質問を募集します。
自由党について聞きたいことがある方は、前もってこちらにお寄せ下さい。 kashimajuku@hi-net.zaq.ne.jp(加島)
事前に渡辺さんにお伝えしておきます。
勿論当日でも結構です。
■参加確認
予定が分かっている方は、上記のアドレスに参加・不参加のご連絡をお願いします。
前回よりも広い会議室を用意しておりますので、お誘い合わせの上お越し下さい。
当日の急な参加も大丈夫です。


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たしかに、労働貴族とかダラ幹(堕落した幹部)の実態を知っていればいるほど、こんな連中消えてしまえ と思う気持ちはわかる。
とくに昨今の連合は、原発を推進し、過労死法案を後押しし、カジノ推進候補を応援するという、ほぼ自民党応援団になっているのだから、労組なんてクソだと言われてもしかたない。
こうしたダラ幹のおかげで、日本の労働組合加入率は17%にまで落ち込んだ。
社員が1000人以上の大企業はまだしも44%だが、100~1000人は12%、100人未満はなんと0.9%だ。
戦後の推移を見るとこんな感じらしい

(独立行政法人労働政策研究・研修機構 より)
このグラフでほぼ横ばいになっている1980年代から昨年までを、民間(規模別)・公務員にわけたものが下の表だ。

(総務省統計局 企業規模別単位労働組合数及び組合員数 より抜粋)
細かい数字はともかく、激減しているのは公務員と民間の中小零細であり、民間の大企業はむしろ増えている ということがわかる。
ちなみに、中小零細企業には、日本の労働者の7割が働いている。
昔の公務員労組は、例えタテマエでも「日本の労働組合を牽引する」という気概があったが、べつに労働運動しなくてもそこそこ賃上げが保証されているし、滅多にクビにもならない身分に気が付いて、労働組合なんて入る人がいなくなっちゃった ということなのだろう。
中小零細の場合は、会社そのものに体力が無くなってしまったことが大きい。
余裕があるときはストでも団交でもやって賃上げさせられたが、最近の中小零細は、そんなことされたらホントに潰れてしまうところが多いはずだ。消費税を搾り取られ、元請けには値切られ、海外との競争が激化し、高度経済成長の頃の余韻は、まったくない。
データで見ても労働分配率は小さな会社ほど高いので、平均すれば中小企業の社長がケチなわけではない。

(内閣府資料より)
さらに、小さな会社で一度消滅した労組を復活させるのは、かなり大変だ。
目立ちすぎてしまって、露骨な嫌がらせだってあるだろう。そこまでして労組に入ろうという人がいないのも理解できる。
世界的に見るとどうだろう。

(社会情勢データ図録 より)
やはり、世界的に見てもかなり組織率は低いほうだ。
上位のアイスランドや北欧諸国が、新自由主義の侵略をなんとかしのいで危機を乗り切ってきたことは、非常に特徴的だ。
以上からわかることは、日本の中小企業や公務員は、世界で最低レベルの労組加入率だということ。
公務員はともかく、日本の労働者の7割をしめる中小零細に勤める人たちは、世界でもっとも孤立した人たちなのである。
■
その結果、どういうことがおきているか。

たしかにリーマンショックからの回復基調と、アベノミクスの効果もわずかに出ており、ここ数年は求人倍率は上がっている。
数日前には1.51倍でバブル期超え なんていうニュースも流れていた。
しかし、そのわりには賃金の上昇は微々たるものだ。

とくに2015年、2016年の実質賃金が急上昇しているのは、アベノミクスのインフレ目標が逆にデフレに戻ったことが原因だ。
物価が下がったので、実質賃金が高くなった。
全産業の合計でこれだから、中小零細はもっと効果は薄い。
過半数の労働者とその家族が中小零細の給料で暮らしているのだから、「なんで人手不足なのに給料上がらないんだ??」と感じているはずだ。
いぜん、こんな記事を書いた。
→ 人手不足なのに給料が上がらない不思議(なぜ世界3位の経済大国が貧乏になるのか 2)
が、その時に書き落としていた重要な要素が、「労働組合」だ。
あまりにも労働者が弱すぎるのだ。
このままでは、完全雇用になっても 賃金は低く抑えられたまま という経済学の常識をぶちこわすような事態になる可能性が高い。
人手不足は、給料を上げずに、過酷な労働だけを強いるものになる。
連合のダラ幹に頼るのではなく、自分たちの命をまもるために、あらためて労働組合ってものを考え直してみる必要がある。
腐った民進党に頼らずに自分たちの政党を作らなくてはならないのと同じ。
それと呼応して、新しい労働組合が必要だ。
■■お知らせ■■
自由党兵庫県連を準備する会 第2回目準備会
■
日時:8月20日(日)13:30~16:30(予定)
場所:兵庫勤労市民センター 2F 第1・2会議室
(前回と同じ建物の別室)
JR兵庫駅北向かい(快速が停車します)
https://www.kobe-kinrou.jp/shisetsu/hyogo/index.html
議題:1.自由党について知ろう。
2.県連をつくるために必要なこと。
ゲスト:自由党大阪府連代表 渡辺義彦元衆議院議員
■質問を募集します。
自由党について聞きたいことがある方は、前もってこちらにお寄せ下さい。 kashimajuku@hi-net.zaq.ne.jp(加島)
事前に渡辺さんにお伝えしておきます。
勿論当日でも結構です。
■参加確認
予定が分かっている方は、上記のアドレスに参加・不参加のご連絡をお願いします。
前回よりも広い会議室を用意しておりますので、お誘い合わせの上お越し下さい。
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