2017-09-04(Mon)

人のための木か、木のための人か

世の中、ミサイルだ核実験だと騒がしいので、ちょっと耳を塞いで別のことを考えてみたい。

動物の寿命って、どのくらいなんだろうと思って検索してみると、ゾウがと人間が同じくらいで60歳~80歳くらい。クジラも同じくらいだけど、北極クジラは150年くらいじゃないかという説も。
ツルは千年というのは真っ赤な嘘で20歳くらいだけれども、カメは万年は無理でも200歳というのが現存しているらしい。

寿命というと有名なのが、ベニクラゲ。数週間で大人になって生殖したあと、普通は死ぬのに若返って赤ちゃんに戻るらしい。
そのために不老不死とか言われている。たしかに確実に何度でも再生されれば不老不死だけど、実験では10回くらいまでしか確認されておらず、実質的には1年未満である。

そんなわけで、動物の場合は数年から100年くらいまでが普通であり、それを超える個体はごく限られているということになる。

では、植物の寿命はどうだろう。
屋久島の縄文杉が2500年、大王杉が3500年とか言われている。本当に縄文時代から生きている。
アメリカのメタセコイアが4000歳で、世界の生き物の中で最高齢らしいが、確認できていないもっと高齢の木もありそうだ。
4000年前と言えば、エジプトではピラミッドが作られたりしていたが、アメリカは打製石器の時代だった。

最高齢では20倍くらいの差ががあるが、平均的にも数倍の寿命があたりまえになっている。
私たちが家を建てるときに使う杉や桧は、50年から80年くらいで切ってしまうので人間の寿命と同じくらいだけれど、放っておけば200年や300年は普通に生きるので、「普通の寿命」が3倍くらいちがう。

もちろん木はしゃべらないし、どのような手段でも自己表現をしない。
じっと見ている限りでは自分で動くことはない。
切っても「イタい」とは言わないし、そのような素振りも見せない。
木がどんな環境になろうが、枯れ果てようが、それを「かわいそう」などと思うのは、人間の勝手な思い込みである。
木は、別に感傷的に涙しながら枯れていくわけではない。

では、木はされるがままなのかというと、そんなことはない。
それどころか、木の命に逆らう人間の振る舞いには、苛烈な復讐を行ってきた。
エジプト、メソポタミア、インダスの文明が栄えた地が砂漠と化したことがその象徴だ。
そんな昔のことでなくとも、砂漠化は現在でも人類にとっての大脅威である。

 私が国産の木材を使う理由

あるいは、最近の土砂災害のニュースが多いことに誰もが気づいているはず。
明治以降に土砂災害が多発しているのは、明治中期、戦後直後、そして最近である。
いずれも、日本の山に大きな問題があった時代に、台風や地震などの直接の原因が生じたためと考えられる。

明治維新直後と、第二次大戦中は、日本の山の木を乱伐し、多くの山がはげ山になったと言われている。
明治中期と戦後直後に土砂災害が多発したことは、これが原因だろうと思われる。
一方、戦後は拡大造林政策で、猫も杓子も山に木を植えまくった。田んぼを潰して杉林にしてしまったところも珍しくない。
そうやって国土の25%を人工的な山にしてしまった。

明治のときは、治山事業と林業を国策で強化して、かなり災害は減ったのに、戦後は杉や桧を植えまくったにもかかわらずイマイチ災害は減っていない。それどころか最近になって激増しているのはなぜなんだろう。

ひとつは、植えたのはいいけれども手入れをしないものだから、崩れやすくなってしまったこと。
もう一つは、手入れをして間伐した木を山に放置していること。

手入れをしていない説はわかりやすいので省くとして、手入れをしたのに、切った木を放置すると何がダメなんだろう。
山の斜面に切ったまま放置された丸太は、土石流とともに大量に流れ出し、それが橋などに引っかかり橋を押し流す。あるいはダムとなって洪水を引き起こす。
もちろん、流れるのは切られた丸太だけじゃないが、枝や根っこを切られた間伐材は、非常に流れやすくなっているのは間違いない。

流木でせき止められ、氾濫か 九州豪雨、専門家分析 2017年7月7日 朝日新聞

ただし、最近よく耳にする深層崩壊に限って言うと、樹木の状態とはあまり関係がないらしい。
10m以上深いところでの地滑りであり、明治以来の被害も奈良と和歌山に多発していることから、地層的な原因が大きいのではないかと言われている。

閑話休題。
人間は、木を好きなように伐採したり植林したりできるし、加工して利用することができる。
その時、木は痛がらないし、何をされても嫌がらないけれども、何かを間違うと激烈な復讐をされる。
そして、木は人間をはじめほとんどの動物よりも寿命が長いので、その復讐は何世代か後に襲ってくることになる。

そんな風に考えていると、なにか、女王蜂と働き蜂の関係を思い出してしまう。
われわれ人間は、バタバタあくせく働いているけれど、実はその究極の目的は「木」の為なんじゃないか と。
働き蜂だって、「女王陛下の御為に」なんて思っているわけじゃなくて、それが当たり前だと思って飛び回っているだけなのだろう。それが結果的に女王蜂を養っている。
木も、光合成で酸素と炭水化物を供給して動物を生かしておいて、あたかも地球の王者のように思わせてキリキリ働かせているんじゃないか。

地球を一つの生命体に仮定するようなガイア説は、私は陳腐だと思っている。
その手のものが一人歩きすると、安倍昭恵あたりが大喜びするカルトになる。

昭恵夫人 大麻解禁論者との交遊咎められ家族会議で絶叫か
週刊ポストセブン 2017.06.28

 ※この記事に書かれている龍村ゆかり氏とはガイアシンフォニーのプロデューサーである。

共生という言葉も使いたくない。
手垢がつきすぎているし、結局は人間本位の本音が透けて見えるからである。

しかし、自然界では、当事者同士は意図せずに 「何かのため」に生きている生物は珍しくないわけで、人間の知能も器用な手足も、実は木のためにつくられた、という考えはまんざら荒唐無稽ではないと思うのだ。

木の堅さが人間の腕力で加工しやすい堅さだということも、人間にとって木の家が快適なのも、そう考えると意味がわかる。
種としての、集団としての木を守るために、酸素と炭水化物と、そして木そのものをうまく使って生き延びること。
人間の本源がそこにあるのだと考えると、木を使って家を作る、と言うことの意味も見えてくる。

「木の家をつくる」という私の職業も、大きく間違えると木に復讐されそうだが、でも絶対に必要なことなんだと思い至った。



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