2018-08-18(Sat)

言葉のちからと言葉の幻想

少し前のことになりますが、朝起きて寝ぼけながら大阪日日新聞を読んでいると、「現代歌人協会賞 普通の人生を肯定」という見出しが目にとまりました。
natsunoryouiki.png 受賞されたのは佐藤モニカさんという沖縄に住む歌人の「夏の領域」という歌集でした。 
紙面で紹介されていた作品は

人の世に足踏み入れてしまいたる子の足を撫づ やはきその足

屋敷壊しと言はるるデイゴいつの日か基地壊はさむと囁き合へり


まるで五感をジャックされたように情景が浮かんできます。
すぐに出版社に注文して、たぶん生まれて初めて歌集というものをはじめから終わりまで一気読んでしまいました。

図面を描くより文章を書く方が好きな私ですが、7年前から書くことが苦痛になりました。
津波と放射能という人智を超えた力を見せつけられ、そればかりか、願うことばが同じ人間に届かない、選挙の度に状況はいよいよ深刻になっていく。
そんな不条理を目の当たりにし続けたために、ことばの力を信じられなくなっていたのだと思います。

私の本業である家の設計にもことばの力は欠かせません。
直感だけで空間を作ってしまう天才もいますが、私はことばに紡いでから形を作ります。

印象の情報量は、50音の組み合わせでしかないことばの情報量とは桁違いです。
印象や心象をそのまま保存できていつでも再生できるようになれば人間の能力は飛躍するでしょう。
でも残念ながら印象をそのまま他人に伝えることはできません。そして印象が雲のように刻々と移ろいゆくのを誰も止めることはできません。

わずかな文字を選び出し並べるだけで研ぎ出す世界。大切な印象を失うことなく、他人にも伝えるためのことば。
ことばの力を決してないがしろにせず、もう一度信じてみようかな、と佐藤モニカさんの歌集を読んで思うことができました。



しかし、言葉の力を信じることと、言葉に幻想を抱くことは別ものです。
人間から人間に伝わる言葉、印象をできるだけ残し伝える言葉、その伝達可能性は、残念ながら無限ではありません。

そのもっとも残念な姿を、私たちは国会で目にすることができます。
そこには、言葉が伝わる世界は存在しません。
言論の府などという呼び名は、いまやブラックジョークでしかありません。

21世紀の訪れと共に「自民党をぶっこわす」と叫んで檜舞台に駆け上がった小泉純一郎。
彼は、自民党ではなく、国会をぶちこわしてしまいました。
あの「人生色々」と「自衛隊がいるところが非戦闘地域だ」という答弁には、当時は政治の政界にはあまり頭をツッコんでいなかった私ものけぞりました。

それまでの国会は、よく言えば話し合い、悪く言えば談合で国会は運営されていました。
与野党が裏で落とし所を話し合い、その筋書きに沿って表の国会は粛々と進められていく、いわゆる55年体制です。

ある程度の主張を政策に織り込むことができ、それなりの議席数も確保できる社会党は、民衆の意見を代表するというプラス面と、自ら政権を担うなんてことは考えもしなかったというマイナス面を併せ持っていました。
社会党が崩壊し、民主党と社民党になってからも、ほぼ同様の役回りを演じてきたと思われます。

しかし、そんな妥協と談合で運営されていた国会を、小泉純一郎がぶちこわしてしまいました。
野党の意見など、芥子粒のように吹き飛ばしてしまい、何を追及しても「人生色々」で会話にすらならないという、いままで目にしたことのない世界になってしまいました。

小沢一郎が動いたのは、その時でした。
2002年、民主党と自由党の合併、いわゆる民由合併によって、「政権交代を目指す野党」ができたのです。
言葉が通じない、妥協そんざいしない、談合で実を取ることができないのであれば、もはや政権交代しかない。
小沢さんは、決断されたのだと思います。

2009年にはその決断が花開きますが、民主党は内部から腐食してわずか2年半で政権を投げだし、またもや言葉の通じない荒涼たる砂漠のような国会に戻ってしまいました。
そして、今日に至る です。



安倍政権になり、国会の砂漠化は一層拍車を掛けていますが、それ自体は今始まったことではありません。
安倍政権の特筆すべきは、ゲシュタポの存在です。
内閣情報調査室。ことし元旦にTV放映された「相棒」で鶴見辰吾が怪演していたあれです。あれのリアル版。

ドラマ『相棒』に“官邸のアイヒマン”北村滋内閣情報官が登場!?
公安が反町や仲間由紀恵を監視・恫喝する場面も
2018.01.06 リテラ


内調のトップである北村滋は、昨年の記事ですが、こんなことになっています。

安倍首相が頻繁に会っている人、ランキングトップは内閣情報官の北村滋氏
週刊ダイアモンド 2017.9.4


もはや、日本の政治は、国会という表舞台ではないのはもちろん、料亭などの裏交渉ですらなく、与野党や官僚のキーマンを調査し、弱みを握ってはエサを与えたり脅迫したり というスパイ活動によって進められているのです。

平和と民主主義の幻想にドップリと浸かってきた日本のみなさまは、こんなことを書くと「陰謀論だ」とか「誇大妄想だ」とかおっしゃるわけですが、こんなことで驚いていては戦いのスタートラインにもたどり着きませんよ。

言論を灰にしてゴミ箱に捨てた安倍晋三を支えているのは、ゲシュタポ(内調)だけではありません。
この人たちの実力を忘れてはなりません。
20170215-3.jpeg
そう、統一協会・勝共連合です。(最近は家庭連合とか言うらしいですが)
安倍家と統一協会の一体ぶりは、すでに週刊誌を含めてあちこちで書かれ、ネットでは常識でしょうから、ここでは繰り返しません。

内調というスパイ組織を駆使し、カルト教団を全国の手足として自らの権力を維持しているのが、この国の内閣総理大臣閣下です。
なんか吐きそうになりますが、これが現実です。
どんなにキタナクとも気色悪くとも、顔を背けては前に進めません。



いくら言葉の力を信じると言っても、こんな人たちに通じるのでしょうか。

「○○をやめろ」とか 「○○の責任をとれ」 とか、どんなに理を尽くしても100%通じないと私は思わざるを得ません。
それは、彼らが理解できないのではなく、十二分に理解しているからです。
理解していないのなら、まだしも言葉を尽くせば理解されるかもしれません。
しかし、理解しているからこそ開き直り、暴力的に押し通そうとしている相手に、いくら説明をしても、無駄です。

ここ数年、国会の終わった跡にはぺんぺん草も生えていないではないですか。
まさに砂漠です。いえ、一切の生命が存在しない火星なみです。

20180818.jpg何時間演説をぶちかましても、安倍も麻生も、ヘラヘラ笑っているではないですか。
本当に痛くもかゆくも無いのです。何とも思っていないのですよ。
で、笹川陽平の別荘にでも集まって、みんなで大笑いです。

2002年に民由合併したときの状況が、負のスパイラルでグルッと一回りしてやってきたのです。

かつての社会党のように、政権取れなくてもあるていどの成果が得られるのであれば、それはそれで存在価値が無いとは言いません。
しかし、吠えるだけ吠えでも、まっっっったくなんの成果も得られないのであれば、そんな野党にはどんな存在価値があるのでしょうか?
誤解の無いように言っておくと、これは独歩指向の強い立憲民主党だけを批判しているのではありません。
私が支持を公言している自由党を含めて、すべての野党の皆さんに言いたいのです。

あまりにも危機感が薄すぎます。
まるで言葉も感情も通じない宇宙人に侵略されて、国会を焼け野原にされたかのような状態なのに、どこかで「今までの延長に明日がある」かのような、緩んだ空気が漂っています。

安倍晋三の唯一の弱点は、確実な後継者がいないことです。
子どもも愛弟子もいないため、同じ自民党内でも政権を移譲すると、自らの犯罪を暴かれるリスクがあるのです。
そこで安倍がとった戦略は、総裁に三選して、その間に岸田文雄を徹底的に飼い慣らすということです。

次の総裁を約束する代わりに、人格否定的な屈辱を味わわせ、感情も頭脳も逆らえないようにマインドコントロールしてしまう。
統一協会のノウハウをもってすれば、こんなことは朝飯前です。

あちらはそこまで考えて、究極のリアリズムで歩を進めています。
対するに野党側は、大演説を本にするのは悪くはないですが、そんなことより先にやることがあるはずです。
「政権交代」「選挙で自民党に勝つ」ための、具体的で実現可能な作戦をつくることです。

選挙に負けるかもしれない と思えば、いくらカルトの自民党でも、わずかながら姑息な妥協はします。

辺野古への土砂投入、沖縄知事選後に 政府、影響回避で検討
2018年8月14日 沖縄タイムス


土砂投入を延期した理由はただひとつ。
強行すると知事選で負けるかもしれない と安倍や二階や菅が思ったからです。
思っただけじゃなくて、情勢調査をやっているのでしょう。当然ながら。

今は国会の投票では必ず負ける野党が、悪政をとめたり、ちょっとでも良い政策を通そうと思ったら、その手段はひとつしか無いのです。
自民党の情勢調査で 「これやったら負けるかも」という数字をださせることです。

つまり、選挙になったら野党に投票しようかな と国民に思わせることです。
ここで言う国民とは 「2009年には民主党に入れたけど、もうこりごりだ。選挙なんて行かない。」と言ってる国民です。
ざっと2000万人くらいいます。

言葉を届けなくてはならないのは この人たちに向かってです。
国会の中でも言うべきことは言わなくてはなりませんが、それより何より、顔を向けなくてはならないのは、この2000万人です。

まったく無関心な人たちではありません。
おそらく、ニュースやネットでチラチラと野党の情報も見ているでしょう。
そして、一向にまとまる気配もなく、これまでの間違いを反省する素振りもないことに、「やっぱりな」と落胆していることでしょう。

私は、言葉のちからを信じます。

言うべき言葉は、究極二つだと考えます。
1.野党はまとまるので、もう一度政権交代させてほしい。
2.消費増税は間違いでした。ごめんなさい。

もちろん、他にも民主党政権の過ちは山ほどありますが、消費増税と辺野古埋立は、あきらかな公約違反であり、当時の責任者が雁首そろえて、ごめんなさいと謝らなければなりません。

腹を切れとはいいません。
今は、腹を切っている場合ではないです。生き恥をさらしても、前に進まなくてはなりません。



そして、このように野党がまとまる絶好の機会とも言えるのが、沖縄県知事選挙です。

沖縄県内はもちろん保革を乗り越えたオール沖縄の候補者をたてようと、日夜検討が続けられています。
私が言いたいのは、本土の野党勢力こそが、辺野古移設を反省して一つにまとまります、という姿を見せなくてはならないということです。

政権交代のためには、まずは消費増税を反省しなくてはなりませんが、今、沖縄県知事選挙を目の前にして、絶対にやらなくてはならいのが、「辺野古移設も間違いでした ごめんなさい」です。

本土の政治が焼け野原になり、野党が呆然と立ち尽くしている状況で、これまで孤軍奮闘してきた沖縄はますます孤立しています。
沖縄が頑張れば、いずれ本土でも政権交代してくれる、という希望があるのとないのとで、沖縄の人たちにとってどれほど大きな違いがあるか、想像したことがあるでしょうか。

自分たちがこんなに踏ん張っても、本土の野党は負け続けてばかり。しかも、勝とうとする姿勢すらない。
そんな状況に沖縄の有権者を置いてしまっている責任に、思い至ったことがあるでしょうか。

クチだけ野党から勝てる野党に

沖縄県知事選挙が9月30日に迫る今だからこそ、本土の野党共闘は必要なんです。

安倍一族には決して言葉は届かないけれども、「ばらばらじゃまずい」と思っている野党政治家の方には届いてほしい。
意図的に野党を分裂させている一部の悪質な人たち対しては、言葉は幻想に過ぎないけれども、様子をうかがっている2000万の有権者にはきっと届く言葉がある。

そう信じています。



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支持率から判断すると、有権者の大半は、野党に全く興味がないと言わざるを得ません。従って、野党がまとまることにも全く興味がないはずです。

言葉の力を信じるなら、言うべきことはただ一つ。
「市民運動の延長のような政治は止めます。」ではないでしょうか?



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