2019-06-10(Mon)
消費税とMMTについて別の角度から見てみる
自民党が「10月に10%に上げる」と発表した消費税ですが、野党側のはずの連合が「10%に上げるべき」と自民党に陳情し、野党もせいぜい「増税延期」程度のことしか言えず、「5%に減税は無理」と相変わらずの石頭ぶり。野党自滅の道を石ころのようにコロコロ転がり落ちていこうとしてます。
そんななかで、ひとり気を吐くのが 山本太郎とれいわ新選組です。
「消費税は廃止!」
「野党は消費税5%に減税で結束して戦え」
と叫び続けています。
最近は、アメリカ民主党で一気に頭角を現した、AOCことアレキサンドリア・オカシオ=コルテスと山本太郎を並べて論じているのを目にすることも多くなってきました。二人が並べられる理由はたぶん、「デッドボール上等」の非エリートなド根性と、「反緊縮」の姿勢が明白だと言うことではないでしょうか。
そして、反緊縮がテーマになるとき、必ずセットで出てくるのが MMT=現代貨幣理論です。
私も難しいことは分かりませんが、ものすごく単純に言うと 「日銀が買い取った国債は、無かったことにできる」ということでしょう。
日銀がオカネを刷って、政府が発行した国債を買い取る。
これは今の日本では禁止されています。なぜなら、かつて戦争中にこの方法で戦費を調達し、その結果とんでもないインフレになってしまったからです。
しかしMMTは、インフレになりかけたらやめれば大丈夫というのです。それまではどんどんオカネを刷って、それを必要なところに投資すれば、景気は回復して税収は回復し、国債発行しなくてもいいようになる。ということです。
しかも、それまでに発行した国債は、借り主=日本政府 貸し主=日銀=日本政府の子会社 だから、返す必要なし。そのまま塩漬けにしておくか、いっそのこと相殺してゼロにしてしまえばいい。という、夢のようなお話しなのです。
この理論自体には、実は私も結構懐疑的です。
何故かというと、政府と日銀が「正しく」行動することを前提にしているからです。
インフレになりかけたらやめる、とか、生み出したオカネを必要なところに投資する とか、どんな総理大臣やら財務大臣やら日銀総裁ならできるのかな と思うと、かなり危ない、というか、そんなんできるヤツいるのか 政権交代したとしても ???と思ってしまうわけです。
まして、じゃんじゃん生み出すマネーを、グローバル金融資本が指をくわえて眺めているわけがありません。
盛大にストローを突っ込んで、最後はグラスを傾けるようにして、自らの腹の中に流し込もうとするに違いありません。
そんなバケモノの攻撃に備えることができるのでしょうか。
てなことを考えると、MMTという話に全面賛成するわけにはいかない というのが私の気持ちです。
■
しかし一方で、MMTを持ち出してでも、なんとかして「反緊縮」の流れを政治の中に作ろうという気持ちは ものすごく理解できます。
「反緊縮」とは、いわゆるバラマキです。
生活を下支えし、庶民の消費を伸ばし、教育を充実して人材を育て、老後の安心によって財産を流動化させる、そんなこんなで、国が必要な投資をすることで、経済を活性化させ、好景気を生み出す ということです。
こうした「反緊縮」の政策をやろうとすると、かならず財務省と金持ちから「バラマキ」だ、「財源はどうするんだ」という大キャンペーンが巻き起こります。2009年の民主党は、それに対して「無駄を省く」として業務仕分けをやりましたが、しょせんパフォーマンスで終わってしまいました。
より大きな財源である特殊会計には、頑強な抵抗にあってほとんど手をつけることもできませんでした。
「バラマキだ」、「財源は?」に対して、分かりやすく、明快に回答することは、経済学の側面からではなく、政治の側面から求められ注目を集めたのがMMTということなのだろうと思います。
ですから、MMT理論については私も懐疑的ですが、MMTを推す人々を敵視したり排除したりするのは違う と思うのです。
そもそも、経済政策を実践するための政治権力を握ることがほど遠い状況で、「どっちの理論が正しい」とかいって喧嘩している場合じゃないでしょ ということです。
■
MMT理論に限らず、経済政策とか税制とかは、経済面と政治面と外交面から、それぞれ考えないとダメなんじゃないかと思うのです。
経済面というのは、純粋に経済的にどのような効果や結果になるのかということ。
政治面というのは、有権者の支持をえることができるかどうかということと、もう一つは、政権交代に当たっての論功行賞です。
政権交代は、必ずしもひとつの利害勢力だけでできるわけじゃありません。
新政権を成立させるのに働きが大きかった勢力には、それなりに有利な税制や予算を組んで上げる必要があるのです。汚いと言われようが何と言われようが、そのことを否定しておとぎ話の中で生きるわけにはいきません。
それは小さな汚職ではなく、もっと大きな社会階層に対する割り当てです。
依拠する階層には手厚く、とはいえ反対する階層にも許容限度内の割り当てをすることで、なんとか乗り切っていく。
その舵取りができるかどうかが、政権運営そのものと言ってもいいのではないでしょうか。
そうしたナマの現実を見ずに、純粋に経済的な原理原則だけを振り回しても、かえってぶちこわしになることもあるはずです。
そしてもう一つ。
残念ながら、日本はまだ米国の実質的な植民地だということを忘れてはいけないということです。
どんなに悔しくても現実は現実です。
その意味では、安倍晋三はその現実をしっかり受け入れて、だれよりも早くトランプに取り入り、媚びを売りまくってきました。
安倍晋三たちは、自分たちのやろうとしていることが、必ずしも宗主国アメリカの利害に一致しないことを理解しているからこそ、こうしてすり寄っているのです。
とくに、改憲と消費増税は、確実に米国の逆鱗に触れる政策です。
自腹で米軍の下請をする自衛隊は歓迎されますが、改憲して独自の指揮系統の国防軍をつくることは米国は許しません。
消費増税と輸出戻し税は、トランプからみれば貿易障壁そのものです。
安倍晋三はその見返りに、欠陥F35を6兆円も爆買いし、居眠りするほど役に立たないイージスアショアを買い込み、そのほか米国でも他国でも売り物にならない欠陥兵器を言い値でぜんぶ引き受ける約束を、したようです。
「参院選が終わるまでは黙っててくださいね」と懇願したのに、トランプには「(参院選後の)8月にすばらしい発表がある」と暴露されてしまいました。
属国の長は、こういう扱いを受けるのです。
私は、安倍晋三を批判するためにこれを書いたのではありません。
もちろん、やってることはとんでもないことですけど、言いたいのは 「政権交代しても、同じように米国とは厳しい交渉やご機嫌取りをしなくちゃならない」 ということなんです。
内容は同じじゃ困りますが、たとえば反緊縮の政策をするにあたっては、「それによってアメリカからの輸入をどれだけ増やせるか」「生み出したマネーで米国債はこのくらい買い続ける」とか、トランプのご機嫌取りながら交渉しなくちゃならないんです。
本当のところは知りませんが、小沢一郎さんは2007年から2009年にかけて政権交代を着実に進めていく中では、おそらくそうした米国との交渉はやっていたのではないかと思います。
だから、2009年にはメディアも政権交代の風を吹かせたのです。
ただ、その途中で「第7艦隊で十分」発言をしてしまったので、小沢さん本人は降ろされてしまいましたが。
その観点から考えたときにも、「消費税廃止」や、せめて「消費税を5%に」は、すごくいい政策なのです。
また、安倍政権が野党に変わっても、異次元緩和を急にストップさせて米国債の買い支えができなくなる なんてことはない というメッセージは、トランプにとって決定的に重要です。
■
以上、裏から考えてもオモテから考えても 今やるべきことは、MMTを叩くことではなく、「国債は恐くない」「反緊縮で豊かな暮らしを」を広めることです。
MMTを全面的に採用するかどうかは別にして、「国債1000兆円は恐れることはない」「今すぐ国債発行を減らす必要はない」「税収赤字なのに国債の元本を返済してる国なんてない」 などなど、「国債恐怖神話」を打ち砕くという意味では、役に立つ部分は多いと思います。
というわけで、みなさん このポスターを町中に広げましょう

(クリックすると ポスター申込画面にとびます)
もちろん、少しでも懐に余裕のある方は寄付もよろしく
最終目標の10億円にはまだまだです
クレジットカードでも可能です。



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「消費税は廃止!」
「野党は消費税5%に減税で結束して戦え」
と叫び続けています。

そして、反緊縮がテーマになるとき、必ずセットで出てくるのが MMT=現代貨幣理論です。
私も難しいことは分かりませんが、ものすごく単純に言うと 「日銀が買い取った国債は、無かったことにできる」ということでしょう。
日銀がオカネを刷って、政府が発行した国債を買い取る。
これは今の日本では禁止されています。なぜなら、かつて戦争中にこの方法で戦費を調達し、その結果とんでもないインフレになってしまったからです。
しかしMMTは、インフレになりかけたらやめれば大丈夫というのです。それまではどんどんオカネを刷って、それを必要なところに投資すれば、景気は回復して税収は回復し、国債発行しなくてもいいようになる。ということです。
しかも、それまでに発行した国債は、借り主=日本政府 貸し主=日銀=日本政府の子会社 だから、返す必要なし。そのまま塩漬けにしておくか、いっそのこと相殺してゼロにしてしまえばいい。という、夢のようなお話しなのです。
この理論自体には、実は私も結構懐疑的です。
何故かというと、政府と日銀が「正しく」行動することを前提にしているからです。
インフレになりかけたらやめる、とか、生み出したオカネを必要なところに投資する とか、どんな総理大臣やら財務大臣やら日銀総裁ならできるのかな と思うと、かなり危ない、というか、そんなんできるヤツいるのか 政権交代したとしても ???と思ってしまうわけです。
まして、じゃんじゃん生み出すマネーを、グローバル金融資本が指をくわえて眺めているわけがありません。
盛大にストローを突っ込んで、最後はグラスを傾けるようにして、自らの腹の中に流し込もうとするに違いありません。
そんなバケモノの攻撃に備えることができるのでしょうか。
てなことを考えると、MMTという話に全面賛成するわけにはいかない というのが私の気持ちです。
■
しかし一方で、MMTを持ち出してでも、なんとかして「反緊縮」の流れを政治の中に作ろうという気持ちは ものすごく理解できます。
「反緊縮」とは、いわゆるバラマキです。
生活を下支えし、庶民の消費を伸ばし、教育を充実して人材を育て、老後の安心によって財産を流動化させる、そんなこんなで、国が必要な投資をすることで、経済を活性化させ、好景気を生み出す ということです。
こうした「反緊縮」の政策をやろうとすると、かならず財務省と金持ちから「バラマキ」だ、「財源はどうするんだ」という大キャンペーンが巻き起こります。2009年の民主党は、それに対して「無駄を省く」として業務仕分けをやりましたが、しょせんパフォーマンスで終わってしまいました。
より大きな財源である特殊会計には、頑強な抵抗にあってほとんど手をつけることもできませんでした。
「バラマキだ」、「財源は?」に対して、分かりやすく、明快に回答することは、経済学の側面からではなく、政治の側面から求められ注目を集めたのがMMTということなのだろうと思います。
ですから、MMT理論については私も懐疑的ですが、MMTを推す人々を敵視したり排除したりするのは違う と思うのです。
そもそも、経済政策を実践するための政治権力を握ることがほど遠い状況で、「どっちの理論が正しい」とかいって喧嘩している場合じゃないでしょ ということです。
■
MMT理論に限らず、経済政策とか税制とかは、経済面と政治面と外交面から、それぞれ考えないとダメなんじゃないかと思うのです。
経済面というのは、純粋に経済的にどのような効果や結果になるのかということ。
政治面というのは、有権者の支持をえることができるかどうかということと、もう一つは、政権交代に当たっての論功行賞です。
政権交代は、必ずしもひとつの利害勢力だけでできるわけじゃありません。
新政権を成立させるのに働きが大きかった勢力には、それなりに有利な税制や予算を組んで上げる必要があるのです。汚いと言われようが何と言われようが、そのことを否定しておとぎ話の中で生きるわけにはいきません。
それは小さな汚職ではなく、もっと大きな社会階層に対する割り当てです。
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その舵取りができるかどうかが、政権運営そのものと言ってもいいのではないでしょうか。
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残念ながら、日本はまだ米国の実質的な植民地だということを忘れてはいけないということです。
どんなに悔しくても現実は現実です。
その意味では、安倍晋三はその現実をしっかり受け入れて、だれよりも早くトランプに取り入り、媚びを売りまくってきました。
安倍晋三たちは、自分たちのやろうとしていることが、必ずしも宗主国アメリカの利害に一致しないことを理解しているからこそ、こうしてすり寄っているのです。
とくに、改憲と消費増税は、確実に米国の逆鱗に触れる政策です。
自腹で米軍の下請をする自衛隊は歓迎されますが、改憲して独自の指揮系統の国防軍をつくることは米国は許しません。
消費増税と輸出戻し税は、トランプからみれば貿易障壁そのものです。

「参院選が終わるまでは黙っててくださいね」と懇願したのに、トランプには「(参院選後の)8月にすばらしい発表がある」と暴露されてしまいました。
属国の長は、こういう扱いを受けるのです。
私は、安倍晋三を批判するためにこれを書いたのではありません。
もちろん、やってることはとんでもないことですけど、言いたいのは 「政権交代しても、同じように米国とは厳しい交渉やご機嫌取りをしなくちゃならない」 ということなんです。
内容は同じじゃ困りますが、たとえば反緊縮の政策をするにあたっては、「それによってアメリカからの輸入をどれだけ増やせるか」「生み出したマネーで米国債はこのくらい買い続ける」とか、トランプのご機嫌取りながら交渉しなくちゃならないんです。
本当のところは知りませんが、小沢一郎さんは2007年から2009年にかけて政権交代を着実に進めていく中では、おそらくそうした米国との交渉はやっていたのではないかと思います。
だから、2009年にはメディアも政権交代の風を吹かせたのです。
ただ、その途中で「第7艦隊で十分」発言をしてしまったので、小沢さん本人は降ろされてしまいましたが。
その観点から考えたときにも、「消費税廃止」や、せめて「消費税を5%に」は、すごくいい政策なのです。
また、安倍政権が野党に変わっても、異次元緩和を急にストップさせて米国債の買い支えができなくなる なんてことはない というメッセージは、トランプにとって決定的に重要です。
■
以上、裏から考えてもオモテから考えても 今やるべきことは、MMTを叩くことではなく、「国債は恐くない」「反緊縮で豊かな暮らしを」を広めることです。
MMTを全面的に採用するかどうかは別にして、「国債1000兆円は恐れることはない」「今すぐ国債発行を減らす必要はない」「税収赤字なのに国債の元本を返済してる国なんてない」 などなど、「国債恐怖神話」を打ち砕くという意味では、役に立つ部分は多いと思います。
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