2020-01-15(Wed)
金儲けのユニバーサルデザイン
「お金のユニバーサルデザイン」で検索すると、コインや紙幣を触って金額がわかる方法とか、そういうのが出てくるけど、私が言いたいのは全然違います。
金儲け=金を稼ぐ行為のユニバーサルデザインです。
ユニバーサルデザインについては言うまでもないですが、バリアフリーのように何らかの障害がある人向けではなく、障害があってもなくても、多種多様の状態の人が同じように使えるデザインというような意味です。
電車のホームドアから、シャンプーとリンスのキャップのギザギザに至るまで、一昔前に比べるとユニバーサルデザインはずいぶん進んできました。
もちろん、現実のユニバーサルデザインはまだまだユニバーサルにはほど遠く、何も考えていなかった時代に比べると、考慮する対象がかなり広がったというに過ぎません。
黒須正明氏のこの記事はなるほどと思わされます。
ユニバーサルデザインの理想性と経済性
(前略)
これまでの製品やシステムの開発において、障害者や非自国語圏、高齢者などに対する配慮が十分でなかったのは、大多数のいわゆるノーマルな人々を対象にして開発を行うことが「経済的」だったからである。それがユニバーサルデザインによって、共用可能な機器やシステムで行けるのだという方向性が見えてくると、産業界にとっては、ある意味ではマーケットの拡大であり、望ましいことである、とも見えてくる。
(中略)
マーケットという観点から考えると、現状は、いわゆる圧倒的多数であるノーマルな人々の集団に、それなりの人数と共通性をもったサブグループが追加されているところだ、といえるだろう。
(後略)
とはいえ、拡大しないよりはした方がいいに決まってるので、決して悪い方向ではありません。
しかし、様々な分野でのユニバーサルデザインが進んでいるのに、一つだけまったく進展のない分野があります。
それが金儲け=金を稼ぐという行為のユニバーサルデザイン、すなわち、「誰でもが、困らない程度の金を稼げる仕組み」だけは、一向にできる見込みがありません。
お金のユニバーサルデザインというと、多くの人が累進課税やベーシックインカムを思い浮かべるでしょう。
でもこれらは、稼ぎすぎてる人から稼げない人に所得を再配分しましょうという仕組みであって、所得の平準化ではあっても、そもそも稼ぐことの平準化ではありません。
私が言いたい「金儲けのユニバーサルデザイン」はこうした福祉の問題ではないのです。
■
福祉というのは、何らかの不自由があるときに、それを社会的に援助しようというものです。
でも、ユニバーサルデザインというのは、そもそも不自由をなくしちゃおう ということ。
似て非なるものなのです。
たとえば、全身が動かずに寝たきりの人は、ほとんどの場合お金を稼ぐことができません。
だから障害年金を出しましょう というのが福祉。
それでも稼げる方法を作りましょう というのがユニバーサルデザイン。
舩後さんが国会議員として働いて稼いでいるのもその一例ですね。
当たり前ですが、どっちが正しくてどっちが間違っているとか、どちらか一つでいいとか、そういう話ではありません。
理想のユニバーサル化ができるまでは福祉は絶対に必要ですし、理想のユニバーサル化なんていつ完成するのか見当もつきませんから。
それでもやはり、誰でもが困らない程度に金を稼ぐ仕組み は必要だと思うのです。
そのためには、金を出す価値観が変わる必要があります。
能力や価値観がどうであっても、何らかの金を払ってもらう価値になりうることが必要です。
いやいや、何も人の役に立たなければ、お金は稼げないよ と思われるかもしれません。
そうでしょうか。
何の役にもたたないのに、めっちゃ儲けている人たちを私たちは毎日見ているはずです。
そう、テレビの中で。
アイドルやら芸人やら、別になにも役にはたたない人たちが、なんで何千万も何億も稼ぐのでしょうか。
それは、価値観です。
多くの人が「いいね!」と思う価値観が、今の世の中にあるからです。
農家や大工や消防士や、無くなるととたんに多くの人が困る職業もありますが、テレビや動画を見ない人でも普通に暮らしていますから、アイドルや芸人やユーチューバーは、その意味では何の役にもたっていません。
でも、「いいね!」という価値観を持っている人がたくさんいれば、がっぽり稼ぐことができるのです。
誰もが「いいね!」と稼げるような価値観の大変革を成し遂げることが。金儲けのユニバーサルデザインの一つ目の使命です。
■
では、今でも普通に働いて、普通に稼いでいる はずなのに、なぜか困っている人はどうでしょうか。
時給1000円で朝から晩まで働いている人。
2人の子どもを育てているのに年収300万にも届かない人。
派遣社員から抜け出せずに、3年ごとに雇い止めされている人。
月6万円の国民年金では暮らせずに老体にむち打って働き続けている人。
エンドレスで働き続けるコンビニ店長。
などなど・・・・
もはやサブグループと言えないほどに一般化してしまった経済難民スレスレのあり方にこそ、金儲けのユニバーサルデザインが必要です。
この話で思い浮かべるのは、れいわ新選組の「最低賃金、全国一律1500、政府が保証」でしょうか。
でも私が考えるに、それは福祉の方法かと。
ユニバーサルデザインで解決するためには、「金儲けのルール」が必要になります。
資本主義を頭っから否定するわけではないので、「儲けたらアカン」ということではありません。
ただ、大企業の内部留保、株主配当、役員報酬 には上限を設けるべきですし、下請け叩きをやめさせるためには中小企業が元請けになれる経済構造の大転換が必要です。
昔から三方善しとか言いますが、会社の場合は二つの三方善しが必要です。
一つは、会社、下請け、顧客 であり、もう一つは、会社、株主、社員 です。
この三つの利益をバランスさせることが、イロハのイだと私は思っています。
金儲けのルールを徹底的に破壊してしまった新自由主義=巨大金融資本の横暴を取り締まり、普通に働けば普通に死ぬまで生きていける経済構造にすることが、金儲けのユニバーサルデザインの二つ目の使命です。
■
「金儲けのユニバーサルデザイン」の二つの使命は、社会の様々なレイヤーで進めていく必要がありますが、もっとも強力な牽引役は政治です。
国家権力という化け物のような力を、何のために、どのように使うのか、が政治です。
新自由主義=巨大な国際金融資本のために戦争を起こすのも政治だし、トランプのために屑トウモロコシを山のように買い取るのも政治です。
思えば生まれてこの方、政治が何かうれしいことをしてくれたことなんてないのだから、絶望して当然と言えば当然です。
唯一ちょっっとだけ希望をもった2009の政権交代も、あっという間に裏切るのだから、もうイヤだ と思いますよ、普通は。
でも、だからこそ、もう一度希望を語りましょう。政治で。
「どんな人でも、困らない程度の金を稼げる仕組み」
それができれば、日本は世界から羨望のまなざしで見られ、誰はばかること無い誇り高い国になることができます。
日本が大好きな右翼の皆さんも、人民の暮らしが心配な左翼の皆さんも、力を合わせてやりませんか。


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金儲け=金を稼ぐ行為のユニバーサルデザインです。

電車のホームドアから、シャンプーとリンスのキャップのギザギザに至るまで、一昔前に比べるとユニバーサルデザインはずいぶん進んできました。
もちろん、現実のユニバーサルデザインはまだまだユニバーサルにはほど遠く、何も考えていなかった時代に比べると、考慮する対象がかなり広がったというに過ぎません。
黒須正明氏のこの記事はなるほどと思わされます。
ユニバーサルデザインの理想性と経済性
(前略)
これまでの製品やシステムの開発において、障害者や非自国語圏、高齢者などに対する配慮が十分でなかったのは、大多数のいわゆるノーマルな人々を対象にして開発を行うことが「経済的」だったからである。それがユニバーサルデザインによって、共用可能な機器やシステムで行けるのだという方向性が見えてくると、産業界にとっては、ある意味ではマーケットの拡大であり、望ましいことである、とも見えてくる。
(中略)
マーケットという観点から考えると、現状は、いわゆる圧倒的多数であるノーマルな人々の集団に、それなりの人数と共通性をもったサブグループが追加されているところだ、といえるだろう。
(後略)
とはいえ、拡大しないよりはした方がいいに決まってるので、決して悪い方向ではありません。
しかし、様々な分野でのユニバーサルデザインが進んでいるのに、一つだけまったく進展のない分野があります。
それが金儲け=金を稼ぐという行為のユニバーサルデザイン、すなわち、「誰でもが、困らない程度の金を稼げる仕組み」だけは、一向にできる見込みがありません。
お金のユニバーサルデザインというと、多くの人が累進課税やベーシックインカムを思い浮かべるでしょう。
でもこれらは、稼ぎすぎてる人から稼げない人に所得を再配分しましょうという仕組みであって、所得の平準化ではあっても、そもそも稼ぐことの平準化ではありません。
私が言いたい「金儲けのユニバーサルデザイン」はこうした福祉の問題ではないのです。
■
福祉というのは、何らかの不自由があるときに、それを社会的に援助しようというものです。
でも、ユニバーサルデザインというのは、そもそも不自由をなくしちゃおう ということ。
似て非なるものなのです。

だから障害年金を出しましょう というのが福祉。
それでも稼げる方法を作りましょう というのがユニバーサルデザイン。
舩後さんが国会議員として働いて稼いでいるのもその一例ですね。
当たり前ですが、どっちが正しくてどっちが間違っているとか、どちらか一つでいいとか、そういう話ではありません。
理想のユニバーサル化ができるまでは福祉は絶対に必要ですし、理想のユニバーサル化なんていつ完成するのか見当もつきませんから。
それでもやはり、誰でもが困らない程度に金を稼ぐ仕組み は必要だと思うのです。
そのためには、金を出す価値観が変わる必要があります。
能力や価値観がどうであっても、何らかの金を払ってもらう価値になりうることが必要です。
いやいや、何も人の役に立たなければ、お金は稼げないよ と思われるかもしれません。
そうでしょうか。
何の役にもたたないのに、めっちゃ儲けている人たちを私たちは毎日見ているはずです。
そう、テレビの中で。
アイドルやら芸人やら、別になにも役にはたたない人たちが、なんで何千万も何億も稼ぐのでしょうか。
それは、価値観です。
多くの人が「いいね!」と思う価値観が、今の世の中にあるからです。
農家や大工や消防士や、無くなるととたんに多くの人が困る職業もありますが、テレビや動画を見ない人でも普通に暮らしていますから、アイドルや芸人やユーチューバーは、その意味では何の役にもたっていません。
でも、「いいね!」という価値観を持っている人がたくさんいれば、がっぽり稼ぐことができるのです。
誰もが「いいね!」と稼げるような価値観の大変革を成し遂げることが。金儲けのユニバーサルデザインの一つ目の使命です。
■
では、今でも普通に働いて、普通に稼いでいる はずなのに、なぜか困っている人はどうでしょうか。
時給1000円で朝から晩まで働いている人。
2人の子どもを育てているのに年収300万にも届かない人。
派遣社員から抜け出せずに、3年ごとに雇い止めされている人。
月6万円の国民年金では暮らせずに老体にむち打って働き続けている人。
エンドレスで働き続けるコンビニ店長。
などなど・・・・
もはやサブグループと言えないほどに一般化してしまった経済難民スレスレのあり方にこそ、金儲けのユニバーサルデザインが必要です。
この話で思い浮かべるのは、れいわ新選組の「最低賃金、全国一律1500、政府が保証」でしょうか。
でも私が考えるに、それは福祉の方法かと。
ユニバーサルデザインで解決するためには、「金儲けのルール」が必要になります。
資本主義を頭っから否定するわけではないので、「儲けたらアカン」ということではありません。
ただ、大企業の内部留保、株主配当、役員報酬 には上限を設けるべきですし、下請け叩きをやめさせるためには中小企業が元請けになれる経済構造の大転換が必要です。
昔から三方善しとか言いますが、会社の場合は二つの三方善しが必要です。
一つは、会社、下請け、顧客 であり、もう一つは、会社、株主、社員 です。
この三つの利益をバランスさせることが、イロハのイだと私は思っています。
金儲けのルールを徹底的に破壊してしまった新自由主義=巨大金融資本の横暴を取り締まり、普通に働けば普通に死ぬまで生きていける経済構造にすることが、金儲けのユニバーサルデザインの二つ目の使命です。
■
「金儲けのユニバーサルデザイン」の二つの使命は、社会の様々なレイヤーで進めていく必要がありますが、もっとも強力な牽引役は政治です。
国家権力という化け物のような力を、何のために、どのように使うのか、が政治です。
新自由主義=巨大な国際金融資本のために戦争を起こすのも政治だし、トランプのために屑トウモロコシを山のように買い取るのも政治です。
思えば生まれてこの方、政治が何かうれしいことをしてくれたことなんてないのだから、絶望して当然と言えば当然です。
唯一ちょっっとだけ希望をもった2009の政権交代も、あっという間に裏切るのだから、もうイヤだ と思いますよ、普通は。
でも、だからこそ、もう一度希望を語りましょう。政治で。
「どんな人でも、困らない程度の金を稼げる仕組み」
それができれば、日本は世界から羨望のまなざしで見られ、誰はばかること無い誇り高い国になることができます。
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