2023-07-10(Mon)

民主主義はいのちを守る妥協の技術(れいわ新選組への手紙)

1339年から1453年まで、実に120年ちかくにわたって、イギリスとフランスは戦争していました。いわゆる100年戦争です。
その後も、イギリスでは30年間のバラ戦争、フランスは60年間も神聖ローマ帝国と戦争を続けています。
それが一段落したかと思ったら、1618年から1659年までいわゆる30年戦争で、ヨーロッパ大戦がくり広げられます。
ざっくり言えば、14世紀から17世紀まで、ずっ~と戦争をしていたわけです。

今の日本にあてはめると、赤穂浪士が討ち入りしていた時代から今日まで、ずっと戦争をしているようなもんです。
どんなに国内がぐちゃちゃになったか、想像を絶します。

しかも、この時代の戦争は、王家の継承権をめぐる争いで、民衆にとってはいかなる意味においても何の利益もないのです。
この血塗られた300年間が、英仏を民主主義の魁(さきがけ)としたことに無関係なわけがありません。

17世紀において、国民の国家という概念が生まれ、啓蒙思想、社会契約論、そして民主主義が生まれます。
300年にわたる戦争への恨みと、ボロボロになった社会でなんとかして生き延びるための知恵、それは妥協です。
自分にとっての正義をどこまでも振りかざせば、何百年も戦争が続いてしまう。それをしないためには、妥協をするしかない。どうにかして落とし所をみつける妥協の技術。戦争でボロボロになるよりは、悔しいけれど妥協を納得するための技術。それこそが民主主義だったのです。

■戦後民主主義という幻想

ところが、日本においては、民主主義は全く違う形で根付いてしまいました。
米国様にいただいた「戦後民主主義」です。

最低最悪の侵略と敗戦から、血と涙で自ら民主主義をつくり出すかわりに、安直に「戦後民主主義」をプレゼントされてしまった日本。そのせいで、日本における民主主義は「生きるための苦渋の選択」「命を守る妥協の技術」ではなく、ほんわかした理想の姿として舞い降りてしまったのです。

それを信じ込んだ「革新」と、そのカラクリを知っている「保守」が、見せかけの対立構造を作る55年体制において、万年野党と自民党独裁が続きます。
そんな民主主義幻想と表裏一体の自民党独裁を壊したのが、小沢一郎です。
彼は、常々「日本に民主主義を根付かせる」と言い続ける民主主義原理主義であると同時に、民主主義の本質を理解していました。
決して理想ではなく、よりよい明日にするための妥協の技術としての民主主義をなんとか実現しようとし、ついに2009年の政権交代までこぎ着けます。

しかし、かれのプロパガンダの拙さという恨みも残しつつ、オザワイズムはほとんんど理解されることなく、民主党執行部の変節と裏切りにより、民主主義は幻想の彼方へ追いやられ、万年野党と自民党独裁の時代が舞い戻ってしまいました。

■れいわ新選組

日本における民主主義革命が崩壊した2012年以降、唯一の希望は山本太郎によるれいわ新選組の立ち上げでした。
小沢一郎を師とあおぎ、ともに自由党の共同代表をつとめた山本太郎は、小沢の説く本来の民主主義を理解していました。
私自身が太郎さんをウォッチし、ときに直接話をした実感から、それは間違いないと思います。

だから、2019年のれいわ新選組立ち上げには、無謀だと思いながらも大いに期待し、自分でもできるだけのことはやりました。
結果、220万票を獲得。大躍進ではあるけれども、目標の2/3という微妙な結果になります。

れいわ新選組の迷走は、ここから始まった、と私は見ています。
政治にも人生にも絶望していた人が、れいわ新選組に期待して立ち上がった2019年のれいわ新選組一揆は、私自身が身をもって体感したので、ウソではないと分かります。
その一方で、3年間で3度の国政選挙を経ても、その220万人から一歩も広がっていないことも事実です。
ハッキリ言えば、れいわ新選組の戦略ミスと言わざるを得ません。

ここからは、れいわ新選組支持者の皆さんから袋だたきにされるかも知れませんが、それでもれいわ新選組と山本太郎に期待するからこそ、書き続けます。
れいわ新選組の迷走と戦略ミスは、220万を失いたくないばかりに、次の一歩に進んでいけないということです。
自由党から独立したことで、澎湃(ほうはい)と湧き上がってきた220万人の支持者は、ある意味で「純粋れいわ新選組」であり、妥協を許さない「れいわ新選組の理想」を支持する人々です。
れいわ新選組が「共闘」とか「妥協」のような素振りを見せるやいなや、愛想を尽かして去ってきかねません。

れいわ新選組と山本太郎は、220万人を守ることを優先してしまいます。
いつ実現できるのかわからない理想を掲げ、政権交代という言葉はいつの間にか霧散消滅し、その純粋理想主義についてきてくれる220万人に支持されるための政党になっていきます。

しかし、多くの有権者は現実的です。
政権取れる可能性の全く見えない政党の言うことには、なかなか耳を貸してはくれません。
220万の壁を大きく越えられないのは、必然なのです。

■れいわ新選組が躍進するためには

政党が躍進するためには、大きく三つの要素があると考えています。

ひとつは、多くの人に支持される政策を掲げること
ふたつは、それが実現できるかも、というリアリティを感じさせること
みっつめには、キャスティングボートをにぎること

れいわ新選組は、ひとつめは微調整で十分です。
決定的に欠けているのが、二つ目と、三つ目です。

政策のリアリティとは、すなわち政権交代のリアリティです。
いい政策であるほど、政権交代しなければ実現しないことは、有権者は痛いほど分かっています。
「れいわ新選組を支持しない有権者はバカだ」的な議論もれいわ新選組支持者の間に見られますが、バカはっどっちだと自省する必要があります。

あのフランス革命の時代でも、政権を握ったのは「平原派」別名「沼沢派」というどっちつかずの中道派を獲得した勢力なのです。
ゆるゆるの中道派を罵倒し、ダメな野党と罵っているだけでは、政権は握れません。
少しでも自前の政策を貫きつつ、なんとかして中道派を獲得すること、少なくとも全力でその努力をしていることを、有権者に見せること、それが、今れいわ新選組に求められることです。

キャスティングボートは、より妥協の度合いが大きくなります。
政策実現にむけてという意味では、まだ今のれいわ新選組は小さすぎてキャスティングボートも握ることはできません。
それでも、それぞれの政策や、それぞれの選挙区など、個別事情の中ではそういう重みをもって交渉できる場面はゼロではありません。
少々妥協してでも実をとる。政権交代に近づける。
今のれいわ新選組には、そういう意識がまったく感じられません。

根拠なしの「がんばれば勝てる」は 神風特攻隊の精神です。
今のれいわ新選組を見ていると、そのような危なっかしさを感じざるを得ません。

■ガス抜きではない本当の民主主義を

「国会のパフォーマンスでガス抜きではダメなんだ」、と言って山本太郎はれいわ新選組を立ち上げたはずです。
その根本に立ち戻ってもらいたい。

220万の支持者に、民主主義とは何なのか、本当に人々を救うためにはどうすべきなのか、怖がらず、諦めず語りかけ、ともに学ぶことが、れいわ新選組と山本太郎に求められている。私はそう考えます。

再度言います。民主主義は、膨大な人類の血をもって生み出された妥協の方法です。命を守るための技術です。理想でも正義でもありません。
だからこそ、危機に瀕するかけがえのない命を守れる可能性があるのです。
絵に描いた餅は、誰の命も救うことはできません。

このまま220万人の仮想都市の城壁の中で生き延びるのではなく、理想を高く掲げつつ、大胆に現実世界に突き進んでもらいたい。
太郎さん、2000万人にむかってダイブしませんか。



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