2006-10-10(Tue)
「美しい」ことは良いことか?
「美しいなんたら」とかいう本が,売れていると言われているが,何冊売れたとかいう話はいっこうに聞かない。
実際,私はよく本屋に行くので,一番いい場所を占拠しているその本を毎回見かけるが,手に取っている人の姿を見たことがない。本当に売れてるのかどうか・・・
それはともかく,「美しい」というキーワードには,どうしても引っかかる。なにせ,私の仕事は,建築を「美しく」つくることだから。本当に「美しい」ことは良いことなのか,考え直さざるを得ない。
典型的な例では,ジュゼッペ・テラーニという建築家がいた。ムッソリーニ時代の代表的な建築家で,なかなかに美しい建築を設計している。ほれぼれと眺めているうちに,ふと気がつくとそれは,ファシスト党の本部だったりするのだ。

テラーニの先輩格である未来派の芸術運動などは,歴史的なムーブメントであったけれども,ムッソリーニの台頭とともにファシズムに傾倒していく。
日本の例を挙げれば,たとえばファシスト石原の巣くう東京都庁。まあ,あれを美しいと評する人は,私の周りでは見かけないけれども,設計した丹下健三が,戦後の建築界のトップを走り続けたことには,誰も異論はないだろう。

そして,その愛弟子が,黒川紀章だ。そう,右翼連合・日本会議の代表委員にして,現役社長が山口組系の組長と一緒に逮捕された菱和ライフクリエイトの役員。あちらこちらで,○○な噂の絶えない御仁だ。日本で一番もうけた建築家をもし調査するならば,たぶんトップを走っているのではないかと想像するのだが。
知名度では黒川を抜き去ったのは安藤忠雄だ。同じような建物を作り続けて,ついに東大教授になってしまった。一種の成り上がりを売り物にしているが,しゃべることは実に「きれいごと」である。その理念と,この建物は180度違うだろう! と毎回つっこみをいれたくなるのだが,彼がそうだと言うとそれが「美しい」建築ということになってしまう。
この方は,詐欺で弁護士資格を剥奪された中坊公平氏とともに,創価学会にも近いようだ。ベネッセの美術館も作っているし。
などなど,私の中で美しいと言うキーワードを探ると,ろくなものが出てこない。もちろん,純粋に美しいものを見て感動することはあるし,美しい建築を作りたいと思って生きている。にもかかわらず,「美しい」という言葉を一人歩きさせると,胡散臭いものしか思い出せないのだ。
そう。「美しい」というのは,結果なんだ。と,いま気がついた。何事かが起こり,何物かが作られ,それが結果として美しい。シュヴァイツァーの「生きとし生けるものは美しい」という思想。
ところが,「美しい」という価値観が一人歩きし,その先にある行動やあり方にまとわりつくとき,それは胡散臭い,ファシズムにつながるものとなる。だから,稚拙で狭量な権力者に「美しさ」など決められるのは,まっぴらごめんだ。
美しさの基準を,他人に決められること,これすなわち心の囚人になること。だから,安倍晋三が「美しい国」を作りたい,と言うとき,それそのものがすでにファシズムなのだ。
もちろん,「美国」にとって「美味しい国」を作るんだという説もあるけれども。
実際,私はよく本屋に行くので,一番いい場所を占拠しているその本を毎回見かけるが,手に取っている人の姿を見たことがない。本当に売れてるのかどうか・・・
それはともかく,「美しい」というキーワードには,どうしても引っかかる。なにせ,私の仕事は,建築を「美しく」つくることだから。本当に「美しい」ことは良いことなのか,考え直さざるを得ない。
典型的な例では,ジュゼッペ・テラーニという建築家がいた。ムッソリーニ時代の代表的な建築家で,なかなかに美しい建築を設計している。ほれぼれと眺めているうちに,ふと気がつくとそれは,ファシスト党の本部だったりするのだ。

テラーニの先輩格である未来派の芸術運動などは,歴史的なムーブメントであったけれども,ムッソリーニの台頭とともにファシズムに傾倒していく。
日本の例を挙げれば,たとえばファシスト石原の巣くう東京都庁。まあ,あれを美しいと評する人は,私の周りでは見かけないけれども,設計した丹下健三が,戦後の建築界のトップを走り続けたことには,誰も異論はないだろう。

そして,その愛弟子が,黒川紀章だ。そう,右翼連合・日本会議の代表委員にして,現役社長が山口組系の組長と一緒に逮捕された菱和ライフクリエイトの役員。あちらこちらで,○○な噂の絶えない御仁だ。日本で一番もうけた建築家をもし調査するならば,たぶんトップを走っているのではないかと想像するのだが。
知名度では黒川を抜き去ったのは安藤忠雄だ。同じような建物を作り続けて,ついに東大教授になってしまった。一種の成り上がりを売り物にしているが,しゃべることは実に「きれいごと」である。その理念と,この建物は180度違うだろう! と毎回つっこみをいれたくなるのだが,彼がそうだと言うとそれが「美しい」建築ということになってしまう。
この方は,詐欺で弁護士資格を剥奪された中坊公平氏とともに,創価学会にも近いようだ。ベネッセの美術館も作っているし。
などなど,私の中で美しいと言うキーワードを探ると,ろくなものが出てこない。もちろん,純粋に美しいものを見て感動することはあるし,美しい建築を作りたいと思って生きている。にもかかわらず,「美しい」という言葉を一人歩きさせると,胡散臭いものしか思い出せないのだ。
そう。「美しい」というのは,結果なんだ。と,いま気がついた。何事かが起こり,何物かが作られ,それが結果として美しい。シュヴァイツァーの「生きとし生けるものは美しい」という思想。
ところが,「美しい」という価値観が一人歩きし,その先にある行動やあり方にまとわりつくとき,それは胡散臭い,ファシズムにつながるものとなる。だから,稚拙で狭量な権力者に「美しさ」など決められるのは,まっぴらごめんだ。
美しさの基準を,他人に決められること,これすなわち心の囚人になること。だから,安倍晋三が「美しい国」を作りたい,と言うとき,それそのものがすでにファシズムなのだ。
もちろん,「美国」にとって「美味しい国」を作るんだという説もあるけれども。
- 関連記事
-
- 「反戦な家づくり」をリンクしていただいている方へ (2006/10/18)
- やはり追い込まれているのは中国 (2006/10/18)
- 対北朝鮮を巡る日本の異常行動 (2006/10/15)
- 現場から見た「死刑」 (2006/10/14)
- 核実験と人民元問題の補足 (2006/10/13)
- 核実験問題の本質は,人民元の切り上げではないか (2006/10/12)
- 「つくる会教科書」の品性 (2006/10/11)
- 「美しい」ことは良いことか? (2006/10/10)
- 金正日が核実験を宣言した理由 (2006/10/08)
- 埋め込まれたスイッチ (2006/10/07)
- この秋の攻防は,やはり共謀罪だろう (2006/10/04)
- 正直者の教育改革国民会議 (2006/10/03)
- 小泉1兆円・竹中2兆円疑惑を検証する (2006/10/02)
- 耐震偽装 忘れてませんか (2006/09/29)
- 日本医師会をして「懸念」を抱かせる安倍内閣の非道 (2006/09/28)