2006-10-11(Wed)

「つくる会教科書」の品性

たまたま古本屋で 「つくる会」教科書はこう読む!(明石書店) という本を見つけた。かわいそうに,100円均一コーナーに放り込まれていたのを,救出した次第。

パラパラとめくっていて思ったのは,一度実物を読んでみようということ。先のエントリーでもふれたように,つくる会の連中は,ある意味「正直者」だ。あからさまな意図を隠すことがない。

その点,安倍晋三などは鵺(ぬえ)のような気持ち悪さ全開だが,つくる会の面々は,自らの差別主義を露ほども恥じることがなく,天真爛漫とさえ言える。(言い過ぎか・・・)

それはともかく,この本の中で一部引用されているだけでも,なかなか凄い。これは,ぜひ多くの大人に読んでもらって,直接に評価をしたほうが良いのかもしれない,と思ったわけだ。

たとえば,「品性欠けるセクハラ教科書」という項から,少し長いが引用する。

「つくる会歴史教科書」を開いて仰天するのは,性の記述にあふれていることだ。(中略)
次のような記述が登場する。「アメノウズメの命が,乳房をかき出して踊り,腰の衣のひもを陰部までおしさげたものだから,八百万の神はどっと大笑い」(中略)
「イザナキの命とイザナミの命の二神が性の交わりをして生まれた子供が淡路島・・・」(中略)
家斉は四〇人の妾(めかけ)をもち,五五人の子供がいた」という記述などが何の脈絡もなく登場する。

問題は,「つくる会歴史教科書」が,「慰安婦」問題を全く書かなかったことの裏側で,このように女性差別的な記述をいくらも載せていることだ。性的な表現に加えて「八百万の神はどっと大笑い」などには,女性を辱める差別な視線がある。「妾」の用語もそうだ。(後略)


従軍慰安婦のことは,中学生には教えるべきでないという屁理屈で書かないくせに,このような,あたかも自分たちの「ふだんの行い」を書くがごとき差別的な性の記述は平気でしている。

反ジェンダーフリーの急先鋒の,山谷えり子は一体どう見ているのだろうか。

安倍レンジャーの一人として,
「行き過ぎた「性教育」にストップをかけます」とか
「道徳教育、生命尊重教育、宗教情操教育の充実を図ります」とか言っているけれど,「乳房をかき出して踊り,腰の衣のひもを陰部までおしさげたものだから,八百万の神はどっと大笑い」なんて教科書を書いた連中と同じ穴のムジナ。
yamatanieriko.jpg

言うまでもないが,山谷は,つくる会から
「私たちは山谷先生の今日までの政治姿勢を高く評価し、会員一同、今後のご活躍を大いに期待いたしております。」
と絶賛され,
つくる会の宣伝パンフ(歴史編)にも登場する。
(ちなみに,公民編には高市早苗が登場。)

山谷は,このように,表向きは反ジェンダーフリーを唱えながら,「八百万の神はどっと大笑い」の「つくる会」と手に手を携えて,安倍晋三の補佐官(教育再生担当)として,教育改悪の先頭に立っている。
こういう人をお手本にして,これからの子どもらが育っていかなければならないのかと思うと,それだけで嘔吐をもよおしてしまう。


※文中「教科書」としているのは旧版のほう。今年から改訂されたようで,つくる会のHPで公開されているページを覗くと,だいぶ表現を薄めた模様。「八百万の神はどっと大笑い」の部分は,あるのかないのか不明。ただし,旧版では確かに書いてあることを確認。
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