2005-10-26(Wed)

なぜ靖国に右翼は反応するのか

改革ファシズムを止めるブロガー同盟



上野の森にある東京国立博物館は、知る人ぞ知る有名建築だ。いわゆる帝冠様式という、戦時建築様式の代表とされている。1937年にできたこの建物は、コンクリートの建物の上に、靖国神社みたいな屋根が乗っている。

これが綺麗かどうかは別として、当時、この帝冠様式でなければ、公共建築を建てることはできなかった。建築デザインまで、実質的に統制されていたのだ。モダニズムの建築家・前川国男はこれにただ一人抵抗したが、ただの一つもコンペで選ばれることはなかった。

これに対して、先日無くなった丹下健三は、帝冠様式バリバリで頭角を現した。くだんの国立博物館を設計した渡辺仁は戦後は設計をやめてしまったが、丹下は、帝冠ってなんだっけ?てな調子で、敗戦と共にモダニズムの建築家に変身した。

前川国男とて、反戦建築家だったわけではない。ただ、せめてもの抵抗をしていたに過ぎないが、それにしても、丹下健三との対比を考えると、「責任」ということを考えさせられる。

「責任」を感じないものは、「強い」のだ。前川国男を知らない人は多いだろうが、あの東京都庁を設計した丹下健三は知っているのではないだろうか。(前の東京都庁も丹下の設計だし、大阪万博を仕切ったのも丹下である)

この精神構造は、コイズミ総統にもつながる。内心忸怩たるものを、全く感じない人間というのは「強い」。恥を知らない人間に勝つ方法というものを、私は未だ知らない。

でも、それにしては、靖国問題になると右翼にしてもコイズミ総統にしても、なぜあんなに激しい反応をするのだろう。

世に倦む日々でも指摘されていたが、靖国問題になると急にアクセスが増える。喜んでいたら、何のことはないネット右翼の到来というわけ。この「反戦な家づくり」をリンクしてくれたスコヴルテイチョウなどは、開設3日目でエライ騒ぎになっている。

有名どころでは、シバレイさんのブログもいつも異様なにぎわいを見せている。

ちなみに、ここで言われていた「靖国参拝は内政問題!! でもある」という指摘は、さすが、と言うべきか。また、紹介されていた靖国神社のホームページは、じつに面白い。

「戦争を知らない世代に伝えたい、この感動」とくるのだから、すごい。
また、「A級戦犯とは何だ」という論考もあり、きっぱりと戦争責任を否定し、東京裁判は不当だと断じている。靖国に代表される考え方が、何のオブラートも無しに表現されているので、ぜひ一見するべきだろう。


話を「責任」に戻そう。ふつう、人が大きな反応をするときと言うのは、痛いところを突かれたときだ。傷口をつつかれると、ギャーと飛び上がるのは人の世の常。とするならば、靖国は右翼~ファシストの傷口なのだろうか。傷口と感じているのだとすれば、実は「責任」や「恥じ」を感じているのだろうか。

いちばんソフトに靖国を理解するとしたら、「戦争で死んだ人はかわいそう」という感情になるだろう。だから、せめて国によって祀って欲しい、国の責任者に拝んで欲しい、と言うことになるのだろう。

もし、国が靖国を否定し、自民党の議員さえ参拝しないようになれば、遺族は、戦死した家族が犬死にだったことを思い知らねばならない。これは、戦後の日本の権力者にとって、まさにパンドラの箱を開けることになる。

JR西日本の事故で亡くなった107名の遺族の怨嗟の声は、まさに悲痛なものがある。靖国神社に祀られている、第2次大戦の戦死者は200万人を超える。200万の遺族が、犬死にさせられた怨念を抱いたとき、その権力は存続すること叶わないにちがいない。

その怨念を封じ込めたのが、まさしく靖国神社なのだ。この封印が破られることは、戦後の権力者にとってなによりも怖いことなのだ。

その意味では、おかしな話だが、憲法と靖国は、戦後社会の天秤棒を担いできたのかも知れない。憲法は戦争放棄という手法で、靖国は戦死者遺族の懐柔という手法で、それぞれ戦争責任を封じ込めてきた、と言える。

しかし今、戦争責任の封印を、あえて解き放った上で開き直ろうという改憲のプログラムが動き出した。それに連動して、靖国も、これまでの慰撫・懐柔という消極的な位置づけから大きく変わろうとしている。戦争責任の封じ込めから、戦争の積極的な肯定へ、転換しようとしている。

ただ、転換期は、敵も怖いのだ。60年間封じ込めてきた亡霊が、いま墓穴から飛び出してきやしないか、ビクビクしているのだ。それが、ファシストの靖国反応なのであろう。

そう考えると、靖国はやはり、突いて突いて突きまくらねばならない。60年間靖国神社の礎石の下に閉じこめられていた、亡霊諸君と共に。

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