2007-02-16(Fri)

6カ国協議に見る安倍晋三の惨状

今日は体調が思わしくないので,ぼつぼつと書いてみようと思う。

言うまでもなく,6カ国協議の実態は米中協議だ。アメリカと中国のバランスをどうするか,というのが,ことの本質であり,北朝鮮はバランサーにすぎないというのが私の考えだ。

アメリカも中国も,お互いにまともにツッコミをいれると,相手もボケルわけにはいかないので大事になる。そこで,北朝鮮を使って,お互いに牽制しているのである。北朝鮮は,その道化を演じることで,巨額の援助をもらって独裁体制を続けている。

その米中のバランス牽制に取り残されまいと,ロシア,韓国,日本がちょろちょろ走り回っている,という構図なのだが,今回,安倍政権が決定的に読み違えたのは,中国の立ち位置が変わったということだ。

中国衛星破壊実験 米高官「安定脅かす能力」 産経2007/02/02 

今回の6カ国協議が共同宣言まで行き着いた最大の原因は,これにちがいない。
アメリカは,この中国の衛星破壊に確実に対抗できると確信できるまで,時間を稼がなくてはならないからだ。

こうした流れにまったくついていけない安倍晋三は,いつの間にか共同宣言,重油100万トン援助が決まってしまって,ウチは援助しないとダダをこねている。
しかし,ブッシュをはじめ他の国がそんなことを許すだろうか。

「6か国」合意批判にヒル氏反論…94年とは違う 2007年2月16日読売 

次官補は、北朝鮮が第1段階として取る核施設の「活動停止・封印」への見返りとなる重油5万トン相当の支援は約1150万ドル、第2段階の「無能力化」に対する重油95万トン相当の支援は2億3000万ドルに相当するとした上で、いずれも「5か国間で負担する」と述べた。

支援の形態はともかく,総額300億円,5等分すると60億円ほどの分担を,「ウチはイヤだ」と言って,他の国が負担してくれるだろうか?? 現に,ヒル次官補も「5か国間で負担」と言っている。

ブッシュも,「気持ちはわかるけど ちゃんと金出せよ」,と言ったかどうかは知らないが,わざわざ直接電話をかけて,安倍をなだめつつタガハメしている。

ブッシュ大統領「拉致置き去りにせぬ」 日米電話首脳会談 産経2007/02/15 

これはもう一つ深読みするならば,日銀を押さえ込んで,何が何でも金利を上げるな! というメッセージでもある。
拉致で面目丸つぶれの安倍晋三が,自棄になってアメリカの言うことを聞かなくなったら,アメリカの経済も財政もエラいことになるからだ。

その意味では,6カ国協議のもう一つの陰の主役は人民元だ。

米財務長官、G7で円安より人民元問題に注目の姿勢鮮明に 2007年2月11日 日経ビジネス 

以前のエントリーでもその間連について書いた
六者協議 人民元 安倍晋三 2006/11/1
核実験問題の本質は,人民元の切り上げではないか 2006/10/12
核実験と人民元問題の補足 2006/10/13

人為的に低く抑えられた人民元は,確かに中国のアキレス腱だ。だから,じわじわと上げていって,いずれは他国に文句を言われないレートにするのだろうが,急激に上昇したら,輸出がストップして中国経済は壊滅する。経済が壊滅したら,衛星の撃ち落としだって覚束無い。

そんなせめぎ合いの中で,良いように使い回されているのが安倍内閣の惨状なのである。


そこで,だ。そこで,どう考えるか。

そんな「国」の惨状を嘆くだけでは,反米右翼である。つくる会をはじき出された,西尾幹二や小林よしのりと変わらない。「国」を単位にして考えると,こういう考えに行き着き,結局戦争の方向へ,我々一般人の生活も生命もぶちこわしの方向へ行ってしまう。

私は,国破れて山河あり だと思っている。この杜甫の春望は,戦乱のむなしさと嘆く身のはかなさを歌いながら,実はそれでも生き抜く山川草木のしぶとさを感じさせて,私は好きだ。

国がどうこうではなく,山河,民草の命こそが大事なのだと言うこと。その命には,地図上の点線(国境)は関係ないのだと言うこと。そんな,基本中の基本を,体調不良の日には,つらつらと考えたりする。

だから,共謀罪にも,国民投票法にも,絶対に反対なのである。
関連記事

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

日朝作業部会決裂

予想通り(?)物別れに終わったようです。このことに関して、以前にも引用した吉田康彦氏(大阪経済法科大学教授)は次のように述べています。ますます遠のく拉致問題解決ー日朝作業部会決裂は当然の結果 3月7-8日、ハノイで開催された「日朝国交正常化に関する作業部会...

六ヶ国協議

毎日の社説より抜粋引用。 6カ国協議 実行するまで信用するな  北京で開かれていた6カ国協議が終わり、北朝鮮の核放棄に向けた合意文書がまとまった。  核実験を行った北朝鮮に核放棄を迫る第一歩がこの文書である。だが、1994年の米朝枠組み合意は失敗に終わった

どうしょもない柳沢厚労相と、それを擁護する人々

 今月15日の参院厚生労働委員会で、あの柳沢伯夫厚労相がまたもや問題発言をやらかしたらしい。 今度は「工場労働者は労働時間だけが売り物」などともとれる発言をしたという。 以前のエントリーでも取り上げたが、や

玲奈、民主主義履修中。

「多数の国民が反対する法案の通し方(政府与党・自公政権に捧ぐ)」に続いて、民主主義について自分の考えをはっきりさせ、日本の民主主義のあり方を別の角度から問うため、続けてもう一つ記事を書きます。「とむ丸の夢」さ

憲法は内閣総理大臣に無条件の衆議院解散権なぞ付与していない

何度も続いたり長期に存続するものは違憲であっても見過ごされるようになるという典型が、自衛隊と「七条解散」である。小泉首相は積年の主張であった郵政民営化法案を今国会で成立させるため、衆議院の解散をもちらつかせて自民党内の反対派の動きを抑え込もうとしている。

国民投票???また電通とテレビ局を儲けさせるだけ!!!

こんなの民主主義じゃない!!!■警告!!! / 国民投票法案けっして今論じられている国民投票に賛成しているのではなく「そのシステムが公平ではなく多くの矛盾のうえに論じられている」ということを示唆している。

6か国協議だけを目立たせて電波法改正こそこそと・・・ + 国民投票法案

■「国民投票法案」自公・・・「今国会で強行採決も辞さない構え!」 で一致。民主党へ意見の集約を促しているようだけど、これはもう脅し・・・。小沢党首の真っ直ぐな男気を・・・信じています!!!<わんばらん

検察が狙う安倍金脈

 安倍金脈の中枢にあるのは安晋会と慧光塾である、と言われている。これは、メディアでほとんど報道されていないのが不思議だ。政治権力とメディアが癒着している可能性もあり、こう仮定すると、もはや国民には、明確にメデ

自民党などが考えている「憲法改正」は“違憲”です

以前にも投稿したことがあるが、憲法改正は多くの人が考えているようなかたちでは実現できない。憲法改正は、「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選

明るい兆し-晋ちゃんメタメタ(笑)

夕方、ニュースの時間にラジオをつけて車を走らせていたら、6ヶ国協議の話題のようだった。いまだに幼児程度のヤップ語能力しかないわたしには、「だいたい、こんなこと言ってるんだろうな」程度しかわからなかったけど、それでも、あれほど北朝鮮を敵視していたアメリカ圏

日本の子どもは「孤独」、誰がこうしたのか

ユニセフ・イノチェンティ研究所は14日、経済先進国(全て0ECD加盟国)の子どもや若者を取り巻く状況に関する研究報告書(Report Card 7)を発表しました。 読売新聞はこれをつぎのように伝えました。国連児童基金(ユニセフ)は14日、先進国に住む子どもたちの「幸

comment form

管理者にだけメッセージを送る

comment

共謀罪反対 当たり前の生活人の分断はやめろ!売国奴

  はじめまして、失礼します。全て読む時間もないので(貧乏暇なしで日々の生活に追われていますので)、たまに寄らせてもらってます。つまみ食いして偉そうに書かせてもらいます。すいません。簡単に言って、いつまで政治を私物化している連中にわたしたち、ま、真面目でもないが、汗かいて朝から晩まで働いている人間が生活の邪魔をされなければいけないのか!当たり前の生活、安心で最低限度の生活を営む権利を邪魔されないで行使できるのか!あいつらは暇でやることねえから人から税金搾り取ることばかり企んでいるが、いったいそういう売国奴というかなんというか弱いもんいじめ勘違い野ロウ・女ロウをいつまでのさばらせておくのか?民主主義が問われていると思います。民主主義!って言えば大げさな言い方かもしれませんが、当たり前の生活を取り戻したいだけです。どこぞの宗教団体みたいに政治!政治!勝利!勝利!なんて言って関わりたくもないが、ゆとりもなく、生活に追われ、時間に追われ、イライラしストレスばかり溜め込んで、挙句の果てに、ストレス溜め込んだ者ドオシが殺しあわされるなんてのはごめんだからです。なんとも悲しい世の中にしたのはいったい誰なんだと!国というものに寄生し血を吸う輩にはどうか自己責任という言葉を知って実践してもらいたいです。
 まだまだ書きたいこともありますが、愚痴ばかりになってしまい失礼なので止めます。
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
20140723-3.jpg
カレンダー
11 | 2023/12 | 01
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
リンク1
貴重な情報をいただいています
(順不同)
リンク2
ブログ内検索
twitter
田中龍作ジャーナル
20140723-4.gif
ひとびとの経済政策研究会
松尾匡氏ら気鋭の経済学者による  政策提言と勉強会
ひとびとの
マガジン9条
パレスチナ・オリーブ
パレスチナで作られたオリーブオイルやオリーブ石けん。これはお勧め。
palestineolive.jpg
RSSフィード
blogranKing.net

カウンター
最近の記事
プロフィール

明月 こと 山岸飛鳥

Author:明月 こと 山岸飛鳥
木の家プロデュース 明月社 主宰
一級建築士
趣味 キコリ 畑
取り柄 貧乏
Email : info@mei-getsu.com

明月社のアルバム
明月社の作品や家づくりのアイディアなど ちょくちょく更新しています
アルバムLOGO
木の家プロデュース明月社
ホームページをリニューアルしました
meigetsusha.jpg
明月社へのご連絡

名前:
メール:
件名:
本文:

明月社 facebookページ
六甲菜園ブログ
郊外楽園プロジェクトの六甲菜園
rokkou-sides.jpg
おすすめの本
こんな時代だから、お薦めしたい本。アフィリエイトではありません。

自伝的戦後史(羽仁五郎) jidentekisengosi.jpg

おすすめの本 2
日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか

nihonhanaze.jpg

おすすめの本 3
日本はなぜ「戦争ができる国」になったのか
nihonnhanaze2.jpg
おすすめの本 4
世界超恐慌の正体

sekaichoukyoukou.jpg

おすすめの本 5
そして、日本の富は略奪される

sositenihonnno.jpg

おすすめの本 6
コンクリートが危ない

conclete.jpg

おすすめの本 7
家を建てる。家づくりはたたかいだ

iewotateru.jpg