2007-03-06(Tue)

パンドラの箱を開けた安倍晋三

やや表現が妥当では無いかもしれない。
従軍慰安婦の問題は,もちろんパンドラの箱ではない。

ここで言いたいのは,戦後60年間,戦争責任を頬かむりしてきたものたちにとってのパンドラの箱 ということだ。

以前から何回も書いているが,日本国憲法と戦争責任はコインの裏表なのである。戦争責任の追及をあいまいにし,天皇を存続させることの「条件」としていわゆる平和憲法はできた。

アメリカの押しつけ憲法とか言うが,アメリカに押しつけられていなければ,ソ連・オーストラリアなどが参加する極東委員会が憲法制定にかかわることになっていたのだから,戦争責任の追及はより厳しいものになっていたはずだ。

アメリカとしては,半分は戦争犯罪者を助ける意味で,この憲法を押しつけたという経緯がある。このあたりは前にも紹介した「史録 日本国憲法」に詳しい。

そして,この日本国憲法と表面的な「謝罪」をもって,本当の謝罪と贖罪をまのがれてきたのが,戦前から戦後を通して権力を持ち続けた,岸信介のような連中の生き方だった。

彼らは,本心では反省なんて針の先ほどもしていないから,謝罪することを屈辱と感じ続けていた。反省をしていない様子も,「史録日本国憲法」を読むとありありとわかる。

その捻れた屈辱感が60年を経て産み出したものが,安倍晋三という人格である。だから,安倍は,権力を維持するためには絶対に不利だとわかっていても,こと憲法と戦争責任のことについては,暴言とも見える発言を繰り返す。

慰安婦:安倍首相また強硬発言「強制連行の証言もない」

 安倍晋三首相が5日、日本軍慰安婦問題について、再び数々の強硬発言を行った。

 安倍首相は米下院に提出された日本軍慰安婦非難決議案について、「決議案は客観的事実に基づいていない。決議があっても謝罪することはない」と述べ、決議案に強い不快感を示した。

 また、安倍首相は「慰安婦強制連行に日本政府が介入したことを証明する“証拠”はない」とする見解からさらに1歩踏み込み、「強制連行を証明する“証言”はない」と主張した。この主張は、日本軍慰安婦被害女性の証言を基に作成された「慰安婦らは家にいたところ誘拐された」などとする米下院決議案の内容を根本的に否定するものだ。

 以下は、安倍首相がこの日、参議院予算委員会で民主党の小川敏夫参院幹事長と繰り広げた国会質疑の内容。

小川「旧日本軍の慰安婦問題に対する安倍首相の最近の発言は、“強制性はなかった”という主張なのか」

安倍「河野談話を基本的に継承している。自ら自発的にその道(日本軍慰安婦)に進もうと考えた人はいなかっただろう。中間に入った(民間)業者が事実上強制したという事例があり、こうした広義の解釈において“強制性”はあった。しかし、官憲が家に押し入って誘拐するかのように連れ去ったという意味での強制性はなかった」
(1993年に日本政府が発表した「河野談話」は、日本政府が介入した事実を認め、「日本政府」「日本軍」を「官憲」という単語で表現している)

小川「証言がないとはどういうことか」
(各国の日本軍慰安婦被害女性らは、日本軍と警察に直接拉致されたと証言し、この主張が今回の米下院決議案に反映されている)

安倍「裏付けのある証言はないという意味だ」

 続けて安倍首相は、米下院決議案について、「もし決議が採択されたとしても謝罪することはない」と発言した。

安倍「決議案は客観的事実に基づいておらず、日本政府のこれまでの対応も(決議案に)反映されなかった。政府としては、日本の立場が理解されるよう努力する」

小川「きちんと謝罪しないと、日本が戦争に対する反省をしていないと受け取られる」

安倍「戦後60年の日本の歩みは高く評価されてきた。小川氏は日本の歩みをおとしめようとしている」
(この発言の後、与野党の議員らの応酬で予算委員会がしばらく中断した)

小川「おとしめるとは何事か」

安倍「ならば、小川氏は米下院の決議案が正しいと思っているのか」

abe070306.jpg

朝鮮日報 2007/03/06


参議院のビデオライブラリーはこちら

小川氏の質問の 1時間02分から,この質問である。
1時間11分に,「小川氏は日本の歩みをおとしめようとしている」という暴言がある。

しかし実は,多くの自民党や公明党は,この安倍の恥知らずな言動を苦々しく思っているはずだ。
それはまさに,憲法と戦争責任が,彼らにとってのパンドラの箱であるからだ。

確かに,安倍の言動は危険であり不愉快であり,日本人として恥ずかしい限りだ。
がしかし,この箱を開けた向こうに何があるのか,安倍自身も実はわかっていない。その見通しもなければ覚悟もないにちがいない。

※「史録日本国憲法」は,憲法が押しつけであることを証明しようとして書かれたものだ。それだけに,克明に当時の状況が記されており,押しつけであることもよくわかるが,日本政府側が戦争に対していかに無反省であり,負けたという認識すら薄かった様子もよくわかる。
関連記事

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

改憲手続き法案を廃案に -委員会開けず、公聴会も

ファクスとメールが私のところに届きました。憲法改悪反対共同センターからのものです。(右図、クリックすると拡大します)それによると、本日開かれる予定の衆院憲法調査特別委員会は、開会できないまま推移していましたが、委員会は開かれず、15日に政府与党が予定して

国民投票法案が悪法であるワケ

 憲法改正のための国民投票法案が,いよいよ,この1~2か月の内に成立してしまいそうです。 今日(3/8)は,形ばかりの公聴会を開催して,強引に通しちゃえという流れです(教育基本法の強行方式と同じです) ホンマに

国際管理通貨制における外貨準備 《米国政府の対外債務返済能力》 上

■ 国際管理通貨制における外貨準備このようなタイトルを付けたが、元々は、公的年金制度のなかで述べた“余剰資本”や“余剰通貨”に関する説明の延長線上で書いたものであり、国際収支や貿易の問題としてではなく、国際管理通貨制において国際基軸通貨を蓄蔵する意味とい

浅野出馬表明はどのように読めるのか

最初に申し上げると、首都・東京で長年つづいている自民党都政を、ここで転換させたいと強く私は願っています。この立場から、昨日の浅野史郎氏の出馬表明の感想をのべてみます。私の関心は上にのべているように、石原都政、つまり自民党都政の転換にあるので、この点にかか

窒息社会

 ワタクシたちの社会は、一体どうなっているのだろう、どうなっていくのだろう。新聞や雑誌ほかメディアの伝えるところから世相を手繰り寄せてみれば、非常なる不安を覚える。こんな社会でいいのだろうか、そんなため息交じりの気持ちしか、おこらないのである。 政治でい

安倍政権、それぞれの思惑に走る。で、この政権は風前の灯火~~~(アベシ自分で自分の首を絞めるの巻)

今、水面下で内閣改造人事の鞘アテが行われているという。自民党重鎮たちはこのままでは参院選は戦えないという危機感を持っているという。今の政権をみれば、極々自然な感情であろうかと思う。さて、どんな思惑で動いているのやら、・・・・・青木の「タヌキジ....

都知事選 浅野氏が正式出馬表明

遂に、待望の浅野氏が出馬表明となった。我々庶民の声が直に浅野氏へ届き「社会的弱者への差別、都政の私物化などを変えるため、立ち上がらなくてはならない。このまま石原都政が4年間続くと、取り返しの付かないことになる」と力

今こそ革命的祖国敗北主義を

 昨日の「漂泊の民・道みちの輩(ともがら)」に付いたコメントへの返事を書いていた

勝者の歴史と敗者の歴史

ヤップの日常的なことで忙しくしている間に、ニホンの国怪(衆議院)ではまたもや強行採決が行われ、アベシは「従軍慰安婦は強制ではなかった」などと発言して、またまた世界に大恥をさらしてくれた。世界を駆け巡った安倍発言の様子は、こちらのブログからどうぞ〇カナダde

国民経済における余剰資本と余剰通貨 《年金問題の本質は“高齢化”にあらず》 1

■ 国民経済における余剰資本と余剰通貨“余剰資本”と“余剰通貨”という概念は、一般的にイメージされている過剰とか余分のといった意味ではなく、次のようなものとして使用する。“余剰資本”:労働成果財生産の資本活動に従事しない国民のために活動している資本“余剰

自民党政治=闇政治。真っ暗闇じゃぁ~ございませんか!(サラ金の段)

< 支持・不支持逆転の世論調査> 下がって下がって下げ止まりが利かない★・FNN・産経新聞 支持39.1% 不支持40.9% ★・共同通信 支持40.3% 不支持44.1% (2月3~4日) ★・JNN(TBS) 支持42.8% 不支持55.9...

comment form

管理者にだけメッセージを送る

comment

美しい国とは互いに尊重しあう相手の痛みを考えられる心温かであって欲しいです。平和こそ美しく輝くものでは?
自由党 近畿ブロック
国民の生活が第一!
KINKILOGO.png
自由党
jiyutoulogo.jpg
山本太郎となかまたち
bnr_nakamatachi.png
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
20140723-3.jpg
ひとびとの経済政策研究会
松尾匡氏ら気鋭の経済学者による  政策提言と勉強会
ひとびとの
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
リンク1
貴重な情報をいただいています
(順不同)
リンク2
ブログ内検索
twitter
田中龍作ジャーナル
20140723-4.gif
マガジン9条
パレスチナ・オリーブ
パレスチナで作られたオリーブオイルやオリーブ石けん。これはお勧め。
palestineolive.jpg
RSSフィード
blogranKing.net

カウンター
最近の記事
プロフィール

明月 こと 山岸飛鳥

Author:明月 こと 山岸飛鳥
木の家プロデュース 明月社 主宰
一級建築士
趣味 キコリ 畑
取り柄 貧乏
Email : info@mei-getsu.com

明月社のアルバム
明月社の作品や家づくりのアイディアなど ちょくちょく更新しています
アルバムLOGO
木の家プロデュース明月社
ホームページをリニューアルしました
meigetsusha.jpg
明月社へのご連絡

名前:
メール:
件名:
本文:

明月社 facebookページ
六甲菜園ブログ
郊外楽園プロジェクトの六甲菜園
rokkou-sides.jpg
おすすめの本
こんな時代だから、お薦めしたい本。アフィリエイトではありません。

自伝的戦後史(羽仁五郎) jidentekisengosi.jpg

おすすめの本 2
日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか

nihonhanaze.jpg

おすすめの本 3
日本はなぜ「戦争ができる国」になったのか
nihonnhanaze2.jpg
おすすめの本 4
世界超恐慌の正体

sekaichoukyoukou.jpg

おすすめの本 5
そして、日本の富は略奪される

sositenihonnno.jpg

おすすめの本 6
コンクリートが危ない

conclete.jpg

おすすめの本 7
家を建てる。家づくりはたたかいだ

iewotateru.jpg