2005-11-10(Thu)
あいのり現象

検索キーワードのランキングを見ていたら、「yahoo」とか「地図」とかいう当たり前の言葉に混じって「あいのり」というのがある。
ひょっとして、テレビ番組のそれかと検索してみるとその通り、フジテレビのその番組のこと。はあ? という感じ。
本田美奈子が上位なのはわかるが、何でこんな番組が?? と思って検索画面をよく見ると、関連サイトが多いことに気が付く。
思い起こせば、この手の番組の元祖は「ねるとん」だった。 ねるとんパーティーというのが、一般名詞になるくらい流行した。
「ねるとん」と「あいのり」を比べてみると、前者は一発芸、後者は劇画のようなものと言えるかもしれない。それと、ねるとんの発展型は、実際のお見合いパーティーだったが、あいのりの発展型は
この診断は20の質問に答える事により,あなたの積極性,柔軟性,人の良さ,第一印象,才能を測定しあなたがもしあいのりに参加したら,どの国で誰になんという言葉で告白されるかが分かる「あいのりファンいちおし」の診断です。
とか
あいのり放送後の感想を主に話し合う掲示板です。好き嫌いを書くのでなく、愛情のある書き込みをお待ちしています。
など、自分は直接の当事者にならず、ヴァーチャルな世界で追体験、疑似体験をして感情移入するという話だ。
そう、このパターンは、かの小泉劇場に似ている。もちろん、劇や小説は皆この世界だから、これが悪いというのではない。ただ、「当事者にならない」「現実とヴァーチャルの境界が曖昧になっている」という点で、不気味なものを感じるのだ。
小泉劇場の最大のポイントは何かというと、決して勝ち組ではない連中が、あたかも「勝ち組」の仲間になったかのような錯覚を起こさせる、ということにある。冷静に考えれば、自分が「勝ち組」に入れないのは分かっていながら、いや、分かってるからこそ錯覚の世界に自ら溺れていく。
「あいのり」に文句を付けるわけではないが、コイズミ人気や、その裏返しとしての差別事件の多発、激化、あるいは例の人質事件での「自己責任」など、現在のファシズム的な心情の一端を見る思いがする。
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