2007-05-08(Tue)

消えた75兆円

このところ、改憲だの集団的自衛権だのと、あまりに物騒なことを安倍晋三が並べ立てるので、経済の話がどっかに吹っ飛んでいるような気がする。

もちろん、一介の建築家である私に、経済の詳しいことは分からない。それでも、この流れの大元は、やはり経済にあるはずだから、なんとかして見ておく必要がある。

ここに、戦争の必然性もある。

たまたま原資料の関係で、1994年(平成6年)4月から2006年(平成8年)3月までの12年間の統計を調べてみた。

財務省のホームページを見ると、実に単純なダマシ絵が描かれている。すなわち、「膨大な国の借金は、増大する社会福祉関連費のせいなので、福祉切り捨てを我慢しろ」というものだ。
このページを見たら、本当にそんな気がしてくる。

しかし、詳細に数字を見れば、そのウソはすぐに分かる。

まず、借金(国債)の残高は、12年間で2.5倍にふくれあがり、額にして320兆円増えている。(2006年3月で530兆、本年度末で547兆円の見込み。)
新規の借金が490兆、返済が170兆という勘定だ。

そのうち、税収の減少分が、約28兆円ある。ずっと94年のままの税収だった場合と比べての、減少額の総額だ。
また、支出(歳出)の増加が、約109兆円。これも考え方は同じ。
従って、320-(28+109)=183兆円は、利払いに消えたワケだ。

490兆の借金をして、170兆は別の借金の返済に回し、183兆は利払いになり、137兆だけが本来の予算として使われた。まず、これ自体が、トンデモ無いということは、誰にでもわかる。社会保障だけに責任を転嫁するな と言いたくなる。

その上で、財務省の言い分が正しければ、この109兆円の歳出増加が、社会保障費のせいだということになる。
しかし、数字をよく見れば、社会保障費の12年間のトータル増加額は34兆円にすぎない。
もちろんこれは、高齢化社会という、何年も前から簡単に予測できる社会現象なのであって、これに責任をなすり付けるということは、為政者の無能と無責任を自らさらけ出しているようなものだが。

それにしても、109兆のうちの、34兆円なのだ。では、残りの75兆円はどこに消えたのだろう??

ここで、もう一つの指標を見てみる。

国内総生産
GDPというやつだ。生み出された付加価値の総額、という分かったような分からん指標なのだが、要するに、日本全国の会社の粗利の総額、と意訳しておこう。当たらずとも遠からずだ。

で、このGDPが12年でどれだけ増えたかというと、469兆から539兆へ、実質で約70兆円なのである。12年で15%経済成長しているとも言える。

こうしてみてくると、われわれ生活者には実感の無い、好景気とか企業の高収益というモノが、実は国の借金を企業に分け与えているのではないか、という姿が透けて見えてくる。

ドンドン借金して、その金を減税やら公的資金やらで、大企業に投入し、その結果の「好景気・高収益」にすぎない、ということだ。天から金が降ってくるようなものだ。そしてその金は、国の借金なのである。

これは、恐るべきことだ。詳細は別の機会にしたいと思うが、日本の経済は、国が借金してお金をくれてやらないと成り立たないところまで、ボロボロになっている、ということだからだ。そして、その借金が、高齢化社会と相まって、年収の12倍にまでふくらみ、どこまでも増え続けている。アコ○の借金を返すために武富○で借りるような、そんな雪だるまになっているのだ。

この究極の、日本にとって、もっとも恐ろしいのが円の暴落だ。なぜか。

この膨大な国債を、ついに禁じ手である、日銀引き受けに踏み込んでしまったからだ。2005年度には、新規発行分の実に67%、3分の2が日銀引き受けである。

日銀引き受けとは、お札を刷って国債を買う、つまり、お金が足りないからお札を刷るという、トンデモ無い方法である。「円」は、じゃぶじゃぶと大量に発行される。当然、ありあまる「円」は暴落の危機にある。

しかし、円が暴落し、円建ての国債が暴落すれば、金利は急騰し、国債による打ち出の小槌も、低金利策による銀行の暴利も吹っ飛び、日本経済は個人から企業から国に至るまで、奈落の底に落っこちる。

この恐怖におののいているのが、安倍政権の姿だ。そして、もっともおそれているのが、以前にも指摘したように、人民元なのである。

人民元が台頭し、アメリカが中国と組むことを考え出したら、瀕死の「円」は間違いなくご臨終である。

これが、安倍がアメリカにすり寄る、もっとも大きな原動力であろうし、中国に対抗できる戦争力を本気で準備しようとする理由だ。

だから、今後の展開は、「成長のための」とか「福祉のための」とか、耳障りの良い言葉で侵略への誘惑が喧伝されるだろう。前のエントリーで書いた「満蒙開拓」とか「王道楽土」と同じだ。

この毒ニンジンにかぶりついて戦争への道を選ぶのか、同じ苦労するなら戦争に反対する道を選ぶのか、
なかなか辛い選択がまっている。しかし、戦争に反対する道の向こうには、少なくともひとの未来がある。苦労してでも子どもらが成長し、生きていく希望がある。

私は、それを楽しみに、戦争反対を言い続けたい。
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初めまして。大分県北からお邪魔します。
連れも一級建築士なので、身近に感じました。

1997年のビルダーバーグ会議では、サミュエル・バーガーが「中国を強大な軍事国として新世界秩序に組み込む事は、可能である。中国の軍事力が、強くならなければ、世界政府を構成する主要な3地域の一つとして欧州連合(EU)と北米連合(NAFTA)と並んで成立する要件を満たし得ない。中国への貿易最恵国待遇の目的は、軍事的に強大な中国の存在である。これにより、太平洋地域における米軍の軍事的プレゼンスを正当化する事が出来、国際金融機関は、アメリカと中国双方の軍備強化から利益を得る事が出来る」と語っています。その後、2000年に米国は、中国に最恵国待遇を恒久的に供与する事を決定しています。
日本人は、新世界秩序構築の為に使い捨てにされています。
これは、明治傀儡政権以来、変わらない日本が置かれてきた立場です。
地方銀行と中小企業は、悪政により、既に青色吐息。
遠くない未来、ヘリコプターマネーが、貯金封鎖を引き起こす時、海の向こうから禿鷹が飛んで来て、弱り切って倒れた地方銀行や企業をさらって行くでしょう。
そして、地方葬逝が完成するのだと思います。
そうさせる為に安倍や竹中平蔵(PIIEの奴隷)ら、ロス茶の猛犬らが、我が国に解き放たれているのだと思っています。
拝読させて頂き、有難うございました。

怖いのはむしろ円高・デフレ

「日本の経済は大変なのだから国民は我慢すべきだ」という政治家やマスコミの宣伝は全くのデタラメです。

政府(中央政府と地方自治体)の財政は赤字ですが、国全体の経常収支は黒字であり、世界でもトップクラスです。
自動車・鉄鋼・家電などの輸出産業は史上空前の利益を上げています。
その儲けが国民には還元されずにアメリカの戦争費用に充てられているのです。
日本人の勤勉さが戦争を支えているというのは皮肉なことです。

経常収支が黒字である限り、簡単に円安になることはありませんが、仮に円安になったとしても国民にとっては悪いことではありません。
円安になれば輸入品の価格は上がるので、価格競争は緩和されます。そうなれば農業や中小企業はかなり楽になります。

この国が急に“右傾化”し始めたのは1980年代半ばぐらいからですが、それは、貿易黒字の増大から円高になった時期と一致します。

森永卓郎氏によれば、「デフレ時には独裁者が生まれやすい」という歴史的事実があり、戦前日本のファシズムもヒトラーもムッソリーニもスターリンも皆、デフレの中から台頭してきたということです。
↓こちらを参照
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/column/o/02/

実際、今の日本でも戦争を待望する人が増えてきました。
↓こちらを参照
http://alcyone.seesaa.net/article/41147192.html

それこそがデフレ政策を続ける自公政権の狙いなのかもしれません。
自由党 近畿ブロック
国民の生活が第一!
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