2007-10-01(Mon)

ひさびさに家のはなし

今日はひさびさに家のはなし。

グーグルで「家づくり」と検索すると、おかげさまで23番目に当ブログが出てくるようになった。
戦争反対の切り口ばかりでなく、家づくりの切り口からこのブログを見てくれる人も、増えてくれているかもしれない。

けれども、家づくりの話題を期待して来てくれた読者の方には、すっかり肩透かしだ。
季節に1回くらいしか家の話題がない。
それも、耐震偽装とか、その手の話が多い。

一度だけ、なぜ「反戦な家づくり」なのか書いたことはあった。
スギ花粉から平和を考える 
主に、日本の山林から住まい、生活、そして住まい手の感性を考えた。

■■
この2年間ほどは、ありがたいことに、非常に忙しくたち働かせてもらった。8軒の家が竣工し、2軒の家が工事を目前に控え、3軒の家が設計中である。

もちろん、来年が忙しいなどと言う保障は全くなくて、反戦な家づくりどころか反戦な失業者になっている可能性も否定はできない。
私のようなフリーランスは、職種に限らず似たような状況だろう。たぶん。

大手の下請けに入れば、仕事はあるけれども、まるで秀吉に搾り取られた農民のようなもので、生かさぬよう殺さぬよう こき使われる。
しかも、自分の考えで設計するなんてことは、100年待ってもできるはずもなく、大手の営業に言われた通りを図面にするだけだ。

それを嫌ってフリーを貫くと、なんで仕事があるのか自分でも不思議なくらい、不安定な暮らしになる。
ほんとに、独立して以来なんで生きているのか、自分でもよく分からない。

それでも、やはり自分で設計することで、材料、間取り、構造など、「こうでなくっちゃ」という<自分の最低限>が決まってくる。
数年前に書いた本の内容からも、少し進化したように思う。

その<自分の最低限>を詰める作業は、非常に有益で、何が有益かというと、要らないものが見えてくる。

■■
実際に設計を突き詰めて行くと、「本当に家なんて必要なの?」と思うときすらある。
それほど、家には要らないものが多い。

建築家とか住宅作家と言われる人たちの設計した家、いわゆる作品を見る機会も多い。
確かに、一定のレベル以上の人の作品は、見ていても気持ちがいい。
すごい人は、ミリ単位で神経が行き渡っており、そういう空間が引き締まった印象を受ける。

私自身も、以前は店舗デザインをやった時期があり、実に細々したデザインコントロールをしたものだ。
しかし、そういうことをず~と続けていると、それに何の意味があるの? という気になってくる。

数秒からせいぜい1時間程度の滞在で、強烈印象を残すべく作られる店舗と、何十年も暮らす住まいとは、自ずから違う空間であるはずだ。

住宅は、空間の緊張感とか格好良さよりは、動きやすいとか、落ち着くとか、なんとなくすがすがしいとか、ほっとするとか、そういう”そこはかとない”感覚が長年薄れないことのほうが、よほど重要だ。

■■
以前、知る人ぞ知る左官職人の久住明さんに 「手をかけない家はいい家だ」という意味のことを言われたことがある。

チベットだったか国の名前は失念したけれども、とにかく土を固めただけの素朴な家が、毎日きちんと掃き清められている姿は本当に綺麗だ。
手をかける建築なんて、権力者が権威を見せびらかすために作った建築だ。
と言うような主旨だったと記憶する。

そのときは、理屈でなるほど、と思っていたが、実際に家の設計の作業を繰り返すうちに、実感として久住さんの言葉が分かってきた。
考えれば考えるほど、真四角でガランドウの家が良いなあ と思えてくるのだ。

実際はあれこれの条件でそうはならないけれども、できることならば、風呂とトイレ以外はガランドウにしたい。
家に求めるものが多すぎると、住むひとが幸せになれないような気がしてならない。

これでは、建築家として自己否定かもしれない。

■■
実は、もし真四角のガランドウを作るとしても、私のすること、私ならではのことは、たくさんある。
そして逆に、真四角のガランドウも満足に作れない建築家は、山ほどいるはずだ。

あの耐震偽装事件がおおきなエポックにはなった。
以前から建築の構造には疑惑を持っていたけれども、あの事件を契機に、いっそう確信した。
日本の建築構造は、工学ではなく、経済学で決定されている、ということを。

とくに、木造はその傾向が顕著だった。
構造計算を要しない木造2階建ては、どう考えても「たぶん大丈夫」というレベルで建てられてきた。
そして、被害があるたびに「じゃあもうちょっと強くしよう」という法改正を繰り返してきたのである。

絶対大丈夫、なんていうことは誰にも言えないけれども、少なくとも「理論上は大丈夫」というレベルにはするべきだろう。
ところが、建築基準法はそんな理論的な法律ではない。
なぜなら、建築の安全を確保するための法律ではなく、「何かあったときの行政の責任を免責するため」の法律だからだ。

そのことが、はっきりとむき出しになってしまったのが、あの耐震偽装事件だったのだ。
その一線を越えて、責任を感じて行動をとったイーホームズの藤田東吾氏は、ものの見事にさらし者にされてしまった。
責任を感じずに開き直った日本ERIは、今でも繁盛している。

■■
法律もさることながら、少なくとも、材料と構造は、建築家として絶対に責任をもたなくてはならない。

基準法を初めとして、業界の常識は、ほとんど住む人にとっては非常識なのだが、それを言い出すと、設計の仕事は飛躍的に面倒になる。
なぜこれを使うのか、なぜこうするのか、一つ一つ根拠を求め、計算し、思考しながら進めなくてはならないからだ。
しかも、デザインのように目に見えるものではない。

だれも評価してくれなくても、それでもやらなくてはならないこと。これが実に多い。
だから、真四角なガランドウを作ることは、実は大変なことなのだ。逆にいうと、そうは思わないプロは、無自覚な手抜きとも言える。

人間の骨や内臓のことをいい加減にして、ドレスや靴のことを考えても仕方がないということ。

■■
にもかかわらず、現代の住まいのキーワードは「快適」だ。
多くの人は、「快適」のなにがいけないの? と思うだろうけれども、私は好きではない。

あえて言うなら、快適ではなく「回復」であるはずだ。
生き働き疲れた心身を回復する場。そのための安全を確保する場。
もちろん、子孫繁栄も含まれる!

快適は回復のための手段であって目的ではない。
快適すぎて人間が弱ることは多いし、何より「快適」は人間のエゴをいたく刺激する。
「金が欲しい」と一緒で、正直な気持ちには違いないが、野放しにすると人間の嫌な部分が解き放たれる。

■■
ここからが、反戦な家づくりの本論なのだが、日付が変わらないうちに帰って来いというカミさんの厳命が下ったので、本日はここまで。
書きたいことがいろいろたまってきてしまった。

それにつけても、福田詐欺内閣は気持ちが悪い。



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そういえば、最近ちらっと見た「リフォーム成功例」って本ではほとんどの家が部屋の壁とかくぎりを無くしちゃってました。3DKを1LDKに、とか。今流行している「外断熱工法」って本当にいいんでしょうか?断熱材外に張るのはいいとして、高気密っていうのが気になります。換気大丈夫なのかな~とか;すみませんズブの素人感想で;;

家と政治

家は基礎がしっかり施工されていなければならない。政治もインフラ整備ができていなければならない。考え方としては家作りも、政治も似たところがあります。

格差は左派ブローガーの中にも現出しております。偽善者の集まり???一遍いってみたい気もするけど、決して言えません。(+_+)

今後、家作りについて思いの丈を述べてみたい。ガランドウの家、やはりそこに行き着きますね。無垢材と自然素材。そして、何もない。住む人が家を作る、これが自然でしょう。

意外と昔の家って地震に強いよね。
昔の家で地震に弱くなってるものというと、木が朽ちてしまったり
しろありにやられたりで弱くなるのかな。
でも、築何百年の家でもいまだにしっかり立っているものもあるし、
だめになったものとの違いってなんだろう?

前テレビで見たけど、どこかヨーロッパの国で
木を切るのに適した日があって、その日に木を切ると、
水気が少ない木材になる、とか、だったっけ。

気は乾くほど強く、また合掌造りの家に見られるように、
煙にいぶされた柱は長持ちする。

日本は台風と地震への対応という、二律背反の対応を迫られるので、
世界で最も住みづらい国のひとつといえる。

台風に対しては、かわらを用い、屋根を重くする。
しかし屋根を重くすれば、地震に弱くなる。
よほど柱の筋交いなど多くしなければ、本来耐えられないはずなのに、本物の木材は高いから、柱の数を減らす。
で、ちょっと強い地震がくるとぺしゃんこ。

それくらいなら、2×4の家でも建てて、
屋根飛ぶのは覚悟の上でトタンにしたほうが、
強度のある家作れるような気がするけどどうですかね。

まあ、左派ブロガーに一軒屋建てれる人がどれだけいるか知りませんが。
生きていくにも汲々としている左派ブロガーに援助もせず、
自分さえよければいい一部左派ブロガーもいたりして、
格差って、国民とか右派だけでなく、左派にもあるんだけど、
それをとりあげない左派ブロガーって、やっぱ偽善者の集まり?
って、死ぬのは奴らださんなら言うんだろうな。
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