2007-11-13(Tue)
雨宮処凛さんトークショー
すいた九条の会などの主催で、雨宮処凛さんのトークショーがあった。
吹田市役所を3年前に辞めてフリージャーナリストになり、イラクの取材を続ける西谷文和さんがコーディネーター。トークの相方には、ナショナルの偽装請負を告発した吉岡力さん。
話し出したら止まらない雨宮さんと西谷さんにはさまれて、吉岡さんはほとんど話す機会がなかったが、松下を告発するきっかけになった吉岡さんの友人の言葉が、今日のトークショーのテーマだった。
「どうせ将来はホームレスですから」
雨宮さんの話を聞くのも初めてだった。もう少し派手なゴスロリを期待(?)していた割にはおとなしめの格好で現れた。
自身の感じた「生き難さ」・「超人格否定」から、紆余曲折を経ながら、新自由主義やグローバリズム批判にたどり着いたという。

95年に戦争のことを知ろうと、左翼と右翼の話を聞きに行ったそうだ。
左翼の話は、難しくて高卒フリーターの自分には一言も理解できなかった。
右翼は、自分が感じている生き難さも人格否定も、全部「アメリカの民主主義が悪い」、と非常にわかりやすかった、という。
彼女の場合、自分の感覚を信じて実践することができたからこそ、今があるのだろう。他人から見れば、紆余曲折かもしれないが、常に自分の感覚に沿って、実践を続けている。
今は、時代の寵児のようにマスコミにも扱われ、たぶん、ご本人は違和感をもっているのではないだろうか。
今日のトークショーでも、主催者と雨宮さんの意識の差が垣間見えたようなところがあった。
雨宮さんは、毎年3万人が自殺し、おにぎり食べたいと言って餓死するのが結構リアルな将来像である日本の若者は、すでに戦争状態だという。そして、すでに戦争状態である人に、戦争はいけないことだと言っても意味がない、という。
これは、本当にその通りかもしれないと思った。
イラクに行って、イラクの人に「戦争はいけません」と説教するバカはいない。すでに、戦争状態の人に、平和なところから説教するほどナンセンスな話はない。
しかし、西谷さんのまとめの言葉は「平和な日本であり続けるために」であり、それはそのまま主催者の意識であろう。
今の日本を「平和」と感じるか、すでに「戦争」と感じるか。
これは、大きなテーマだ。
もちろん、毎日血の雨が降り注ぐイラクやアフガンに比べれば、まだ平和だというもの事実だろう。
しかし、当事者としては、「平和な日本」といわれても、はあ?という感覚があるもの、また事実だろう。
質疑応答で、関大生から「まわりの大学生は危機意識が無い」とうい意見が出たのに対し、雨宮さんは「あまりに過酷な現実なので、解決策とセットでないと伝えにくい。彼らも必ず直面する。」というようなコメントをしていた。
そこには、解決策なしで現実にぶち当たった若者が、自滅的な傾向に走ることへの危機感がある。
過去を振り返れば、日本のファシズムの背景は、農村の貧困であったことは周知のことだ。
貧困からの解放という正義感が、ファシズムを一気に戦争にまで押し進めたとも言える。
また、貧困は容易に排外主義と結びつく。
「「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」(赤木智弘氏)は、確信犯的にこの問題をえぐり出していると、雨宮さんは積極的に評価する。
この感覚を切り捨てた護憲運動や平和運動は、たぶん、これからもどんどん衰退していくだろう。
来賓挨拶にたった九条の会おおさかの津村明子さんも、九条の会が高齢者ばかりで、このままでは先が長くないと言っていた。
プレカリアートのデモ隊に、福島瑞穂さんはひっそりと参加していたが、志位さんも小沢さんも参加していない。大江健三郎も井上ひさしも参加したという話を聞かない。
雨宮さんは、たぶん、けっこう我慢して九条の会などに訴えているのだろう。
その訴えを、会場のほとんどを占めていた熟年層が、どれだけちゃんと受け止めたか。
護憲を言う人のどれだけが、ニートやフリーターが自己責任ではない、と理解できるだろうか。
心の中では、「最近の若いもんは・・・」なんて思っているのではないか。
吹田市職員はすいた九条の会の大きな母体である。(もちろんそれ以外もたくさんおられる)
クビになる心配が無い市職員が、明日の分からないフリーターの「恨み」を受け止めることができるのか。
この溝が埋まらなければ、護憲運動の老衰化は避けられない。
九条の会なども、雨宮さんを利用するだけでなく、重く受け止めて欲しいと思う。
これが、今日のトークショーの、私の感想。
吹田市役所を3年前に辞めてフリージャーナリストになり、イラクの取材を続ける西谷文和さんがコーディネーター。トークの相方には、ナショナルの偽装請負を告発した吉岡力さん。
話し出したら止まらない雨宮さんと西谷さんにはさまれて、吉岡さんはほとんど話す機会がなかったが、松下を告発するきっかけになった吉岡さんの友人の言葉が、今日のトークショーのテーマだった。
「どうせ将来はホームレスですから」
雨宮さんの話を聞くのも初めてだった。もう少し派手なゴスロリを期待(?)していた割にはおとなしめの格好で現れた。
自身の感じた「生き難さ」・「超人格否定」から、紆余曲折を経ながら、新自由主義やグローバリズム批判にたどり着いたという。

95年に戦争のことを知ろうと、左翼と右翼の話を聞きに行ったそうだ。
左翼の話は、難しくて高卒フリーターの自分には一言も理解できなかった。
右翼は、自分が感じている生き難さも人格否定も、全部「アメリカの民主主義が悪い」、と非常にわかりやすかった、という。
彼女の場合、自分の感覚を信じて実践することができたからこそ、今があるのだろう。他人から見れば、紆余曲折かもしれないが、常に自分の感覚に沿って、実践を続けている。
今は、時代の寵児のようにマスコミにも扱われ、たぶん、ご本人は違和感をもっているのではないだろうか。
今日のトークショーでも、主催者と雨宮さんの意識の差が垣間見えたようなところがあった。
雨宮さんは、毎年3万人が自殺し、おにぎり食べたいと言って餓死するのが結構リアルな将来像である日本の若者は、すでに戦争状態だという。そして、すでに戦争状態である人に、戦争はいけないことだと言っても意味がない、という。
これは、本当にその通りかもしれないと思った。
イラクに行って、イラクの人に「戦争はいけません」と説教するバカはいない。すでに、戦争状態の人に、平和なところから説教するほどナンセンスな話はない。
しかし、西谷さんのまとめの言葉は「平和な日本であり続けるために」であり、それはそのまま主催者の意識であろう。
今の日本を「平和」と感じるか、すでに「戦争」と感じるか。
これは、大きなテーマだ。
もちろん、毎日血の雨が降り注ぐイラクやアフガンに比べれば、まだ平和だというもの事実だろう。
しかし、当事者としては、「平和な日本」といわれても、はあ?という感覚があるもの、また事実だろう。
質疑応答で、関大生から「まわりの大学生は危機意識が無い」とうい意見が出たのに対し、雨宮さんは「あまりに過酷な現実なので、解決策とセットでないと伝えにくい。彼らも必ず直面する。」というようなコメントをしていた。
そこには、解決策なしで現実にぶち当たった若者が、自滅的な傾向に走ることへの危機感がある。
過去を振り返れば、日本のファシズムの背景は、農村の貧困であったことは周知のことだ。
貧困からの解放という正義感が、ファシズムを一気に戦争にまで押し進めたとも言える。
また、貧困は容易に排外主義と結びつく。
「「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」(赤木智弘氏)は、確信犯的にこの問題をえぐり出していると、雨宮さんは積極的に評価する。
この感覚を切り捨てた護憲運動や平和運動は、たぶん、これからもどんどん衰退していくだろう。
来賓挨拶にたった九条の会おおさかの津村明子さんも、九条の会が高齢者ばかりで、このままでは先が長くないと言っていた。
プレカリアートのデモ隊に、福島瑞穂さんはひっそりと参加していたが、志位さんも小沢さんも参加していない。大江健三郎も井上ひさしも参加したという話を聞かない。
雨宮さんは、たぶん、けっこう我慢して九条の会などに訴えているのだろう。
その訴えを、会場のほとんどを占めていた熟年層が、どれだけちゃんと受け止めたか。
護憲を言う人のどれだけが、ニートやフリーターが自己責任ではない、と理解できるだろうか。
心の中では、「最近の若いもんは・・・」なんて思っているのではないか。
吹田市職員はすいた九条の会の大きな母体である。(もちろんそれ以外もたくさんおられる)
クビになる心配が無い市職員が、明日の分からないフリーターの「恨み」を受け止めることができるのか。
この溝が埋まらなければ、護憲運動の老衰化は避けられない。
九条の会なども、雨宮さんを利用するだけでなく、重く受け止めて欲しいと思う。
これが、今日のトークショーの、私の感想。
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