2008-02-21(Thu)

そこのけそこのけお船が通る

一茶の句からは雀へのさりげない愛情がにじんでいるが、イージス艦からは国民への果てしない傲慢がのぞいている。

幸運丸は、イージス艦から見て右舷から左舷に横切る形で前方を通り抜けた。清徳丸などの船団が後ろに続いていたが、イージス艦はそのまま直進してきた。

 「危ない」

 後続の船は無線で連絡しあい、衝突を回避するため、次々とかじを切った。イージス艦は、曲がったり止まったりする様子がなかったという。清徳丸はこのときも無線連絡に反応しなかった。幸運丸のレーダーには、直進している清徳丸の影が映っていた。

 イージス艦は前方に向かってライトを4、5回点滅させた。その後に停船し、今度は作業灯のような強い光で海面を照らし始めた。堀川さんは「汽笛などイージス艦からの危険を知らせる合図には気づかなかった。何かが起こったと思ったが、まさか衝突とは思わなかった」と振り返る。

2008.2.20 朝日

漁船のごときは、勝手に逃げまどうだろう、というあまりにも傲慢な直進。汽笛すら鳴らさない。

 海上衝突予防法では、相手を右側に見ていた船に回避義務があり、状況から、あたご側に回避義務があった可能性が高まった。同法では、緑色の灯火(「舷灯」)は、四キロ先から見えることになっている。僚船の康栄丸の中ノ谷義敬船長は、出港時に清徳丸が法定の照明をすべて点灯させていたと証言しており、あたご側が、清徳丸に接近するまで灯火を見落としていた可能性もある。
2008.2.20 東京新聞) 

あきらかに、イージス艦側が舵をきって避けなくてはならなかったのに・・・・

 防衛省などによると、あたごが清徳丸の存在に気付いたのは衝突2分前の19日午前4時5分。この時点で距離はわずか500メートルだった。あたごの艦橋や後部の甲板で計10人程度が目視による見張りにあたっている。事故当時、霧は発生しておらず視界は良好。夜間の場合、一般的に8キロ程度先の船の明かりは視認できるという。
 10人の見張りがなぜ、回避不能な至近距離まで漁船を見つけられなかったかは現時点では明確でない。

2008.2.20 15:02 日経
 
と、直前まで気がつかなかったような、バレバレのウソをつき、そのあげく

あたごの見張り員が事故の約12分前には清徳丸に目視で気付いていたことが20日、分かった。あたごはその後も自動操舵を続け、手動切り替えは事故1分前だった。
清徳丸と航行していた別の漁船のレーダーが事故の約35分前にあたごの船影をとらえていたことも判明。あたご側が早い段階で漁船に気付きながら、回避のための適切な対応を取らなかった可能性が一層高まっている。

2008.2.20 23:28 東京新聞) 

なんと、発見してから11分間にわたり、自分のほうが避けなくてはならないことを知りながら、漁船のごときは蹴散らせとばかり、自動操縦で直進したのである。
これはもう、事故ではなく、殺人である。

100m先の横断歩道に人が渡っているのを見ながら、歩行者なんて走って逃げるだろうとアクセルもゆるめず、ハンドルも切らずに突っ込んだようなものだ。

「12分間何していた」 防衛省「2分前」翻す
2008.2.21 朝日) 

この記事を見ても、イージス艦に、過失以上の過失があることがわかる。

これが、「国民を守る」自衛隊だ。

沖縄でも、米軍のための自衛隊という本性を見せ始めた自衛隊であるが、ここでもまた、守るべき国民など木っ端のごとくにしか見ていない自衛隊の姿があらわになった。

清徳丸の乗組員親子が、なんとかどこかで生きていることをお祈りしたい。


※何をかいわんや!の追記

海自横須賀地方総監部の山崎郁夫幕僚長は、親族に対し「報道陣には何も話さずに通り過ぎてください」と話し、取材に応じないよう求めた。 海自側は「報道陣の多さに親族も驚いていたため」と、過熱報道への配慮を理由に挙げている。
 報道陣は親族の心情に配慮して、代表の二人が取材をしていいかどうか親族の意向を聞くため、下船場所に待機。そのほかに数十人が離れた場所にいた。

2008.2.21 中日新聞


※わざわざ東京大学情報基盤センター方面を「通りすがり」の方から,
「マスコミを無視しろ」という発言は親族の希望だった,というようなコメントをいただきましたが,論理矛盾ということには当然気が付かれたうえで,わざと書いているんでしょうね。

毎日の記事からは,親族の発言は「船体の公開からマスコミをシャットアウト」という意味に読める。事後のマスコミ対応とは別物だ。

しかも,親族への配慮なのであれば,マスコミに対して親族の意向を説明するのであればまだ話は分かるが,マスコミを無視したいと思っているはずの親族にたいして「無視しろ」と言う意味がまったく分からない。

さらに,最大の問題は,無視するかどうかは親族のかたが決めることで,自衛隊がそれを「指示した」ということそのものにある。

これは,親族がマスコミをうっとおしいと思っていたかどうかとは,まったく関係ない。
最高学府の方々を含めて,そのくらい区別はつけて,ものを考えたい。






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http://mainichi.jp/photo/archive/news/2008/02/20/20080221k0000m040114000c.html

>公開に参加した親族の女性は「『取材が殺到して困る。マスコミをシャットアウトしてほしい』とこちらからお願いしたうえでの発言で、責めないでほしい」と話した。

マスコミの誘導には気をつけたいですね。

潜水艦もおなじことをやったなぁ

海自が表明する「緑色灯」に作意が感じられる。
右前方を横切ると赤色灯が見えて当たり前。
真っ先に緑色灯を強調する理由は漁船が衝突を避けるためルールを無視した左転舵を行ったと言う事へ持って行く伏線ではないか?
これを補完する意味で認識時間を10分延ばし12分前としたのではないか?

複数僚船が海自艦を視認している状況だとすれば海自艦も進行方向に漁船が複数いる事を視認出来た筈。
また往来の激しい沿岸海域だからレーダーの監視も行っていただろうからそれでも把握出来た筈。
この状況では停船を視野においた減速行動をとるのが一般的。
それとも海自は作戦行動以外でも超法規的航法を内規で持っているのか?

こんな事言っちゃやばいが我が地域のプレジャー船は分かっていて大型フェリーの前に出てゴースタン掛けるのを楽しんでいる奴もいた。
それほど大型船のレーダーは優秀なんだよ。

それと巡航速度だが本当に10ノットなのか?もっと出ていたんじゃないか?
暴走ダンプが道路を横断する歩行者がいてもおまえが避けろと突っ込んでいくように。

国民の税金でおもちゃを貰い、給料を貰っている事を忘れているんだな@軍。(涙)
これを言うと似た様なものがいるなぁ・・・・、公務員。(ボソッ)

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