2008-04-17(Thu)
現代の姥捨山=後期高齢者医療
ほんとうに この国は壊れはじめている。
先年の建築基準法の改悪でも感じたけれども、今度の後期高齢者保医療でもその感は強い。
制度自体の無茶苦茶さももちろんだけれども、とにかく、ものすごく大きな変更をするのにもかかわらず、周知徹底がぜんぜんなされない。
混乱してから、情報が飛び交うという状況は、建築基準法のばあいと同じだ。
その心根には、民主主義の残り滓もなくなってしまっった日本の現状があるだろう。ほんの少しでも、「国民が主人公」という意識があれば、こんな酷いやり方はできないはずだ。
「お国が決めたことに黙って従え」という意識が、官僚の末端まで浸透してしまったからこそ、このような惨状が生まれているのだ。
そんなのは、昔から役人は同じだと思うかもしれないが、本音はそうでも、一応民主主義という建前が、役人や政治家に対する「しばり」になっていた。
その「しばり」がなくなって、「国に従え」というむき出しのやり方が現れているのである。
内容も非道い。
中日新聞のレポートから、少し長くなるが引用する。
混乱する-後期高齢者医療制度- 障害者は65歳から“強制加入”
2008年4月17日 中日新聞
愛知県で一人暮らしの平田敦子さん(66)=仮名=は一九九六年、事故で右手の指をすべて失った。「一定の障害」と認められ、九七年から医療費の自己負担分は、県と市が半々で肩代わりしている。これまでは、健康保険に加入する息子の被扶養者だったので、保険料は必要なかった。
三月中旬、市からの通知で、後期高齢者医療制度に入らないと、医療費の自己負担が生じることを知った。市の窓口で確認すると、保険料は年額約一万二千円。ただし、被扶養者からの移行のため半年は保険料が免除、その後の半年は年額換算で四千円程度の負担で済みそうだ。
それでも、平田さんにとっては痛い出費だ。月収は、約十万円の年金のみ。五万円強が家賃に消え、残りの五万弱で生活費の一切と介護保険料などを払う。手が不自由で料理ができないため、総菜を買うことが多く、食費が意外とかかる。「毎月千円でも、負担は大きい」という。
しかし、息子の被扶養にとどまり、後期高齢者医療制度に加入しなければ、医療費の自己負担額のため、生活はさらに厳しくなる。平田さんは、八年前に患った乳がんの定期的な検査のほか、緑内障と白内障の治療で眼科通いが欠かせない。自己負担すると、医療費は年間七万円以上になる。
「後期高齢者の制度を選ぶよりほかにない。でも、どうして同じ年代の健常者が、被扶養者で保険料を払わなくていいのに、障害者だと払わなければいけないの」
中途全盲で、夫と二人暮らしの高橋久江さん(70)=仮名=も同じ思いだ。共働きだったが、これまでは夫(70)が夫婦二人分の国民健康保険料をまとめて払っていた。高橋さんはもともと被扶養者でないため、年金からの天引きが今月から始まり、夫婦合わせた保険料負担は昨年より年額五千円程度増える見込みという。
「健常者は七十五歳から天引きなのに、障害者は六十五歳から。医療費の自己負担を免除されているから、早く自分で払えということ? それに、わたしのように目が不自由だと、制度の仕組みも分かりにくい」と得心がいかない。
まったくもって、早く死ねと言わんばかりの制度であることがわかる。
こんなことも起きている。
国保離脱で助成対象外に 後期高齢者制度、75歳以上に不利益続々
2008.4.17 北海道新聞
一日に始まった後期高齢者医療制度の導入に伴い、国民健康保険から外れた七十五歳以上のお年寄りが、国保加入者を対象にした自治体の助成制度を利用できなくなる事態が道内で相次いでいる。
札幌市は一九六二年から、はりやきゅうなどの施術を受けた場合、国保が使えない一部症例の患者を対象に一回あたり千六百円を助成する独自制度を設けてきた。昨年度は、腰痛などの治療に必要なマッサージを受けた人など約十四万五千件の利用があり、うち約三万件が七十五歳以上のお年寄りだった。
しかし、後期高齢者医療制度が始まった四月から七十五歳以上は対象外となり、全額自己負担となる。
帯広市では、五千円の自己負担で日帰り人間ドックや脳ドックを受けられる助成制度の対象から、七十五歳以上が外れ、「無料のがん検診などほかの制度を利用してもらえれば」と同市担当者は話す。
函館市や苫小牧市でも七十五歳以上は脳ドックなどの助成対象外となり、旭川市でも保健所のがん検診の割引制度が使えず、約三万人が影響を受ける。釧路市では国保加入者を対象にした骨粗しょう症検診の半額助成制度が使えなくなった。
厚労省は「当時の担当者は法が成立した二年前の時点でこの問題を認識していたはずだが、そこまで手が回らなかったか、無視する結果になったかは分からない」(保険局)とあいまいな答えに終始。
わかっていたと開き直る厚労省。
たしかに、昔から自民党政治はロクなもんではなかったけれども、コイズミ-安倍-福田の自公政権下で進む、社会崩壊とも言うべきこの惨状は、以前とはレベルが違う。最低限、国民の命を考えるという底の部分が抜けてしまった。
民主党が必ずしも良いとは思わないけれども、ここは自民公明を一度どん底までたたき落とさないと、私たちや私たちの子どもたちは、生きることさえ難しい。
先年の建築基準法の改悪でも感じたけれども、今度の後期高齢者保医療でもその感は強い。
制度自体の無茶苦茶さももちろんだけれども、とにかく、ものすごく大きな変更をするのにもかかわらず、周知徹底がぜんぜんなされない。
混乱してから、情報が飛び交うという状況は、建築基準法のばあいと同じだ。
その心根には、民主主義の残り滓もなくなってしまっった日本の現状があるだろう。ほんの少しでも、「国民が主人公」という意識があれば、こんな酷いやり方はできないはずだ。
「お国が決めたことに黙って従え」という意識が、官僚の末端まで浸透してしまったからこそ、このような惨状が生まれているのだ。
そんなのは、昔から役人は同じだと思うかもしれないが、本音はそうでも、一応民主主義という建前が、役人や政治家に対する「しばり」になっていた。
その「しばり」がなくなって、「国に従え」というむき出しのやり方が現れているのである。
内容も非道い。
中日新聞のレポートから、少し長くなるが引用する。
混乱する-後期高齢者医療制度- 障害者は65歳から“強制加入”
2008年4月17日 中日新聞
愛知県で一人暮らしの平田敦子さん(66)=仮名=は一九九六年、事故で右手の指をすべて失った。「一定の障害」と認められ、九七年から医療費の自己負担分は、県と市が半々で肩代わりしている。これまでは、健康保険に加入する息子の被扶養者だったので、保険料は必要なかった。
三月中旬、市からの通知で、後期高齢者医療制度に入らないと、医療費の自己負担が生じることを知った。市の窓口で確認すると、保険料は年額約一万二千円。ただし、被扶養者からの移行のため半年は保険料が免除、その後の半年は年額換算で四千円程度の負担で済みそうだ。
それでも、平田さんにとっては痛い出費だ。月収は、約十万円の年金のみ。五万円強が家賃に消え、残りの五万弱で生活費の一切と介護保険料などを払う。手が不自由で料理ができないため、総菜を買うことが多く、食費が意外とかかる。「毎月千円でも、負担は大きい」という。
しかし、息子の被扶養にとどまり、後期高齢者医療制度に加入しなければ、医療費の自己負担額のため、生活はさらに厳しくなる。平田さんは、八年前に患った乳がんの定期的な検査のほか、緑内障と白内障の治療で眼科通いが欠かせない。自己負担すると、医療費は年間七万円以上になる。
「後期高齢者の制度を選ぶよりほかにない。でも、どうして同じ年代の健常者が、被扶養者で保険料を払わなくていいのに、障害者だと払わなければいけないの」
中途全盲で、夫と二人暮らしの高橋久江さん(70)=仮名=も同じ思いだ。共働きだったが、これまでは夫(70)が夫婦二人分の国民健康保険料をまとめて払っていた。高橋さんはもともと被扶養者でないため、年金からの天引きが今月から始まり、夫婦合わせた保険料負担は昨年より年額五千円程度増える見込みという。
「健常者は七十五歳から天引きなのに、障害者は六十五歳から。医療費の自己負担を免除されているから、早く自分で払えということ? それに、わたしのように目が不自由だと、制度の仕組みも分かりにくい」と得心がいかない。
まったくもって、早く死ねと言わんばかりの制度であることがわかる。
こんなことも起きている。
国保離脱で助成対象外に 後期高齢者制度、75歳以上に不利益続々
2008.4.17 北海道新聞
一日に始まった後期高齢者医療制度の導入に伴い、国民健康保険から外れた七十五歳以上のお年寄りが、国保加入者を対象にした自治体の助成制度を利用できなくなる事態が道内で相次いでいる。
札幌市は一九六二年から、はりやきゅうなどの施術を受けた場合、国保が使えない一部症例の患者を対象に一回あたり千六百円を助成する独自制度を設けてきた。昨年度は、腰痛などの治療に必要なマッサージを受けた人など約十四万五千件の利用があり、うち約三万件が七十五歳以上のお年寄りだった。
しかし、後期高齢者医療制度が始まった四月から七十五歳以上は対象外となり、全額自己負担となる。
帯広市では、五千円の自己負担で日帰り人間ドックや脳ドックを受けられる助成制度の対象から、七十五歳以上が外れ、「無料のがん検診などほかの制度を利用してもらえれば」と同市担当者は話す。
函館市や苫小牧市でも七十五歳以上は脳ドックなどの助成対象外となり、旭川市でも保健所のがん検診の割引制度が使えず、約三万人が影響を受ける。釧路市では国保加入者を対象にした骨粗しょう症検診の半額助成制度が使えなくなった。
厚労省は「当時の担当者は法が成立した二年前の時点でこの問題を認識していたはずだが、そこまで手が回らなかったか、無視する結果になったかは分からない」(保険局)とあいまいな答えに終始。
わかっていたと開き直る厚労省。
たしかに、昔から自民党政治はロクなもんではなかったけれども、コイズミ-安倍-福田の自公政権下で進む、社会崩壊とも言うべきこの惨状は、以前とはレベルが違う。最低限、国民の命を考えるという底の部分が抜けてしまった。
民主党が必ずしも良いとは思わないけれども、ここは自民公明を一度どん底までたたき落とさないと、私たちや私たちの子どもたちは、生きることさえ難しい。
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