2008-07-09(Wed)

拉致問題の異様さを再考する

拉致問題と光市事件という、近年の犯罪報道の中で際だって異常な扱いがなされている二つの事件に共通しているのは、被害者家族が極めて積極的に行動し主張し、それをマスコミが諸手を挙げて狂信的なまでに持ち上げることだ。

いかにそれが本当の悲劇であったとしても、だれも異を唱えることのできない悲劇を「ペーブサート」にして、政治的な芝居を展開するという構図は、私には許容できない。

そんななかで、かつて実家を焼き討ちされた加藤紘一の発言は、勇気ある発言だと思う。

拉致被害者「戻すべきだった」=日朝交渉停滞の原因-自民・加藤氏 
2008/07/07 時事通信

私としては、当時のままの被害者自身の意志に任せるべきだったと思っている。
もちろん「洗脳」されていたかもしれないが、今現在が日本側に「洗脳」されていないとは、誰にも証明できない。
だから、どういう状況だったかは別にして、一人の人間としての意志を尊重すべきだった。

本人が、ようやく帰れた!と思っているのに、いくら国と国の約束だからと言って、北朝鮮に送り返すのは残酷に過ぎる。
しかし、本人がとりあえず一度北朝鮮に戻るという意志をもっていたのならば、当然戻ることを優先すべきだった。
今となっては、永遠にあかされない歴史の闇である。

それにしてもだ。またまた放火されかねないということは承知の上で、上記のような、無形の暴力に流されない発言をしたことは、やはり私は評価したい。

だいたい、死んだという回答に対し、ちゃんと証明せよというのは分かるけれども、ネイチャー誌ですら?な根拠で「生きている」と決めつけて「返せ」と言うのでは、いくら独裁者でもどうにもならないこともあるだろう。

問題は科学にあるのではなく、政府による科学の問題への干渉【Natureの論説】 

まさにこのとおりで、家族が感情的に「生きている」ということと、国が政策として「生きているから返せ」ということは別だ。
金正日にしてみれば、核カードをキープしているのだから、拉致カードはもう切ってもいいや と思ってコイズミに最高の土産を持たせたつもりだったのに、かえってそれが拉致問題に火をつけることになってしまい、目を白黒させていたのではないか。


この金正日の計算違いはどこから生じたのか。
日本での、拉致問題への異様なまでの執着はどこから生じているのか。

一つは、反米右翼の勢力は思った以上に強いということだろう。コイズミポチのように、アメリカ隷属を鮮明にしている連中ばかりではないということ。

安倍晋三が、チビリそうになって総理大臣を投げ出したのも、CIAと国粋右翼のどっちが怖いか考えたら、声も出なくなって逃げ出したのだ。
国粋右翼ファシストの勢力は、表面的に見えているより力を持っていると見て良いだろう。


もうひとつは、北朝鮮のウランだと思う。

うごめきだした対北朝鮮利権獲得 
2008.7.5 産経

米政府の対北朝鮮テロ支援国家指定解除決定を受けて、英国のロンドンではウランを含む対北朝鮮の鉱山利権獲得を目指す投資ファンドが相次いで本格的な活動に入った。

北朝鮮はウランや金、チタンなど鉱物資源が豊富で、米国の穀物・金属商社カーギル、鉱山開発技術を持つエンジニアリング大手のベクテル、さらにゴールドマン・サックス、シティ・グループの金融大手などがウラン濃縮疑惑が表面化するまでは対北朝鮮投資に強い関心を寄せていた。


国粋右翼ファシストにとって、核武装は絶対条件だろう。
核武装しない限り、対米従属か、中国傘下に入るか、絶対中立(非武装)しか道がない。
そのときに、ウランをアメリカ(IAEA)に握られていたのでは、何にもできない。

日本が自前で調達できるウランは、北朝鮮にある。
対北朝鮮のプレゼンスを最大限にデカクして、ウランの権利をせしめよう、というのが、何が何でも拉致問題を言う勢力の狙いではないか。
ブッシュの、「拉致は忘れない」という決まり文句は、「ウランはやらないから、他の物にしろ」という意味に、私には聞こえる。


いずれ近いうちに、CIA+統一協会グループと、反米右翼グループの、抗争が始まる。
それを、いい気味だなんてお気楽に眺めていると、返す刀でぶった切られるかもしれない。

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