2009-08-15(Sat)

保育園がアブナイ (自公の公約のウソ)

保育園をガタガタにするようなことが、すでに閣議決定されていたことを、どれだけの人が知っているだろうか。

マスコミもほとんど報じないし、保育関係の団体ですら、あまり知らないのではないか。

今年の2月に、厚労省の審議会で、第1回の答申が出たことは、関係者はみな知っている。
とくに、「保護者(利用者)が市町村を経由せずに、保育園と直接契約するようになるらしい」 という話は保育士は全員知っているし、マスコミでも報道された。

社会保障審議会 少子化対策特別部会

ところが、問題はその1ヶ月後だ。
まだ、たった一回目の答申が出ただけなのに、3月30日には、閣議決定されてしまったのである。

「規制改革推進のための3カ年計画」

しかも、その内容たるや、むちゃくちゃな審議会の答申ですら、ものすごくマトモに見えるくらい非道い。
審議会で言ってることなんて、まるで聞いていないかのように、平然と決めてしまっている。

あまりの非道さに黙っていられなくて、子どもが通っている保育園で、過日、勉強会をした。
10人以上のお母さんたちや保育士の先生が集まってくれた。

詳しくは、次の記事にその時のレジュメを転記しておくので、ぜひ目を通していただきたい。

ここでは、目が点になったものを、いくつか。
文章は、読みやすいように書き換えてるので、厳密に知りたい人は、それぞれのHPを当たられたい。

<審議会答申>
昼間の常勤の人だけが だけが保育園を必要としているワケじゃない。
早朝、深夜、休日、短時間パート、失業中、祖父祖母同居などなど。


≪閣議決定≫
専業主婦(夫)世帯でも保育園を利用可能にする


なんで?
いろんな働き方をしている人に対応できる施設がほとんどないので、対応しましょう。という答申にたいして、出てきた閣議決定が、親が働いていなくても保育園に入れるようにする というもの。

逆でしょ、ぎゃく。優先順位が。
タダでさえ保育園が足りなくて、働かなくては立ちゆかない人があふれているのに、決定したのは「専業主婦世帯でも保育園を利用可能にする」 って どういう脳みそからこういう結論がでてくるんだ??!!

つぎ

<審議会答申>
市町村が入園を決定するので、保護者と保育園の関係が深くならない。
市町村は保育の「必要性」と「量」だけを決めて、保護者は園に直接申し込んで契約する。
保育料は市町村が利用量ではなく「必要量」に応じて決定する。

≪閣議決定≫
直接契約にする
保育料は「利用量」に応じたかたちに見直す


保育園業界では大騒ぎになっている「直接契約」の、その理由は、隅から隅まで読んでも、この一文しかない。
「市町村が入園を決定するので、保護者と保育園の関係が深くならない。保育園は『選ばれている』という実感がない。保護者は、積極的な参画意識がわいてこない。云々」

ホンマカイナ? というのが、現場の実感だ。
市を通して契約している現在でも、父母会の活動は活発だし、保護者と保育園の関係が疎遠だなんて感じない。
それは、勉強会やその前後に話をした保護者は、口をそろえて言っている。

しかも、こんな程度のことを口実にして「直接契約」なんて、大変なことをしようとするのは、まったくコジツケにすぎない。「直接契約」が先に決めてあって、理由が見つからないから、苦し紛れでこんなことを書いたにちがいない。

「直接契約」の何が大変かというと、一つは、申込みがとっても面倒になる。今までは市役所に申し込むだけだったのが、市役所に申し込んで、市から認定書のようなものをもらって、それを持って自分で保育園に行って、もう一度申込みをする。もし入れなかったら、また他の保育園に走っていって申込みをする。それでもダメだったらまた他の保育園に・・・・

それでも、答申ではかろうじて「利用量」ではなく「必要量」に応じて料金設定しなさい、と言っていた。タイムカードを押して1時間いくら、というのはさすがにマズイということ。

ところが、これまた閣議決定では、「『利用量』に応じて決めろ!」ということになっている。
子どもがドロンコ遊びに熱中して、ちょっと時間オーバーしたら延長料金がかかる。キャバクラじゃあるまいし・・・

必要量にせよ、利用量にせよ、子どもの在園時間がバラバラになってしまうと、保育園のあり方は根本から変わってしまう。
現在は、9時から5時をコアタイムとして、子どもが生活力を付けていくような、緩やかなプログラムが組まれている。
タマネギの皮むきに始まって、プールがあり、給食があり、片付けをしてお昼寝、布団をたたんで、午後からは自由遊び などなど。

教育と違って、押しつけがましくない保育というのが、私はとっても好きだ。
小学校の3年生くらいまでは、教育なんて要らない と思う。保育のほうが、子どもは育つような気がする。

それはともかく、そうした毎日の生活のリズムを組むことができない。
バラバラの時間に登園して、バラバラの時間に帰っていくからだ。
保育園ではなく、託児所である。

それにしても、なんでこんなことをするのか。


<審議会答申>
保育料の補助金には「決まり」があるせいで、新規開業がしにくい。
NPOや株式会社には施設整備の補助が出ない。


≪閣議決定≫
園に補助するのではなく、利用者に補助を出す。園にとっては補助金ではないので、使い道に制約がない
株式会社などの民間業者が参入しやすいようにハードルを下げる



これをしたいために、直接契約なんていう七面倒くさいものを言い出したのである。

ちょっと分かりにくいかもしれない。
今は、料金の半分くらい(収入による)を利用者が市に払う。市は、不足分を補助金として補って、全額を園に払う。
そうすると、園には公的資金が投入されることになるので、そのお金の使い道は厳しく制限される。別の園に回したり、園長の臨時ボーナスにしたりしてはいけない。

ところが、直接契約になり、補助金は利用者に渡されるようになると、全額を利用者が園に払うことになる。一度利用者のサイフを経由しているので、もう公的資金ではない。
だから、園は、そのお金をどう使おうが自由なのである。

しかも、そこに営利企業を積極的に算入させるという。
営利企業が全部悪いわけではないが、子どもの保育に営利企業の論理がマッチするのか?
酪農のように赤ちゃんにミルクを飲ますのをオートメーションにしたり、セコムみたいに子どもの安全管理をテレビカメラでやるなんていうことが、あっていいのか。

保育は不採算でいい。
あたりまえだ。赤字でいい。
赤字分は社会的な負担である。そのために税金を払っているんだ。


最後に、メガ級のやつを

<審議会答申>
現在きめられている最低基準は低すぎる
限られた空間では主体的な活動がしにくい。子ども同士の関わりも少なくなる。
今の保育士の配置数は国際的にも充分ではない。
保育士の資格がない人に保育を担当させるのは子どもの発達に悪影響の可能性ある。


≪閣議決定≫
東京認証園では 1人当たり3.3㎡→2.5㎡ 資格者→6割でも問題ない
認定こども園では 3歳以上は保育士をめざす幼稚園教諭でOK
定員超過 現行25% →超過率の設定見直し さらなる「弾力」化


めずらしく、答申では良いことを言っている。
現行の最低基準を、もっと引き上げろ と言っているのだ。
基準というのは、おおざっぱに言うと、子ども1人当たりの部屋の広さと、保育士の人数だ。
もちろん、子どもの年齢によって変わる。

今の日本の基準は、昭和22年に決められた児童福祉法に基づいている。戦後すぐの時代だ。
当時の住宅事情や、戦死による母子家庭の多さを考えたら、そのままの基準で今日まで来ているというのは、ちょっとビックリだ。

だから、審議会では、さすがにもうちょっと基準を上げなさいよ、と言ったのである。

ところが、ところが!!
閣議決定では、面積で25%、資格者の数で4割も減らそうか という話になっている。
その根拠は、極悪=石原都知事がつくった「認証保育園」という名前の無認可保育園である。
低レベルな「認証」保育園でも何とかなっているのだから、その程度で良いじゃない、というわけだ。

実際は、何とかなっていない。

保育園児に36円の食事をさせる石原都知事

「待機児童ゼロ作戦」の正体

それにしても、これほどまでに、答申と正反対のことを閣議決定するなんて・・・
その挙げ句、シラッとして「不安なく子育てできる環境を充実させます」なんて選挙公約を書くのだから、やっぱり自民党と公明党は、大嘘つきで子どもの敵だ。

審議会の人たちも、これほどまでにコケにされて、まったく抗議もしないなんて、あきれた奴隷根性だ。おとなしくしていれば、厚労省の審議委員という大看板を下げてあるけるのだから、どんなにアホらしくても、コケにされても黙っているのだろう。

自民・公明が言う、3~5才の教育無料化は、その実はこういうカラクリが隠れている。
株式会社をドンドン参入させて、「効率化」「合理化」でコストを削減し、広さも人員も基準を大幅に引き下げて、子どもが死なない程度、死んでも国が責任をかぶらない程度を「最低基準」としてから、ありがたく無料化していただける。
ありがたや ありがたや。

では民主党はどうかというと、この問題については、まったくコミットしていない。
この方向で推進するという動きはないけれども、反対する気配もない。
要するに、保育に関する政策において、まだそこまで頭が回っていない。

ネクスト厚労大臣が、このブログに何回か登場した藤村修K。副大臣が、山井和則Rと中村哲治R。
ネクスト文科大臣が小宮山洋子Rで、副大臣が牧義夫と鈴木寛R。

Rが凌雲会、Kが花斉会、牧は無印だが党内極右。
ちょっと、旗色が悪い。この分野は、右派ががっちりと固めている。

ただし、藤村は前に書いたように子どものことがライフワークであるし、山井も高齢者福祉のスペシャリストである。中村は、一度だけ言葉を交わしたことがあるが、非常識な人間では少なくともないように見えた。

文科の3人組はちょっと・・・という感じだが、厚労の3人には、近いうちに質問をしてみたい。
くそ忙しい時期に返事してくれるかどうかは分からないが、一度閣議決定して官僚組織のレールに乗ってしまっている以上、自覚して潰さないと、政権交代してもそのまま進んでしまう危険性もある。

敗戦記念日の今日だからこそ、子どもたちのことを考えたい。

子どもたちの保育園を守ろう!


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そう!あれは面白かった!養世と言う人なんだ!猪瀬が泡食った答弁で同じ事繰り返して言ってました!
民主の勝ち!ってところでした

よくテロ朝とやゆされるテレビ朝日の報道ステーションだが、
17日22:40ころ すばらしいものを見せてもらった。

山養世VS猪瀬のデスマッチが行われ、
猪瀬完敗涙目、古舘顔面蒼白
かなり楽しませてもらった。

長妻VS大村のバトルを思い出してしまった。
ネットに出回ったら見てみるといい。
自由党 近畿ブロック
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自由党
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山本太郎となかまたち
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