2009-09-11(Fri)
政治の世界のスクウォッター
スクウォッター。ずいぶん前にそういう名前の本屋さんがあった。
大島哲蔵さんという建築批評家が、大阪のど真ん中にある大正建築の地下室に作った本屋さんだった。もちろん、不法占拠ではないのだけれども、都市の真ん中の異空間を目指していたのだろう。
なにせ、置いてある本も先生の話しも難しいので、当時の私にはほとんど理解できなかったけれども、なんとなく、そういう雰囲気は感じた。
スクウォッターという言葉は、直訳すると空き家の不法占拠という意味らしい。
毛利嘉孝という人の「はじめてのDiY」という本によれば、世界中で10億人がスクウォッティングして暮らしているという。世界的にはメジャーな暮らしかたなのだ。
この本を読んで、久しぶりにスクウォッターという言葉を目にした。
そして、ゾクゾクッとする感じを味わった。
インターネットというのはペンタゴンが作ったものだから、本来は官製の情報網だ。
ところが、そこにブログという訳の分からないものが侵入して、居座ってしまった。
ワープロ程度の知識があれば、誰でも情報を発信できるという、画期的なブログという異物の正体は、情報を管理する権力には理解できなかったのだろう。ほぼ、野放しのまま一気に増殖した。
その勢いはまさにパンデミックで、豚インフルエンザの比ではなかった。
情報の独占、または管理というのは、権力を握ったものにとっては基礎の基礎。
その鉄壁の情報網に、まさにスクウォッティングしたのがブログというものだった。
もちろん、おおもとがペンタゴンである以上、情報はすべて管理されているとも言える。
が、有象無象、玉石混淆、なんでもアリで大発生したから、これを管理するのは並大抵ではないだろうと思われる。
もともと非合法の地下活動をするわけではなくて、バレてるけれど居座っているスクウォッターとしてはこのくらいが好い加減なのかもしれない。
情報のスクウォッターがブログならば、政治の世界のスクウォッターはプレカリアートのたたかいだろうか。
具体的な空間のスクウォッティングもやらかすらしいが、むしを、その存在自体が「占拠」している。
いわゆる政治家の世界にも、いわゆる左翼や右翼の世界にも、普通の労働運動の世界にすら属さないプレカリアートのたたかいは、政治の世界のスクウォッターというにふさわしい。
雨宮処凛さんの、このレポートは、その面目躍如だ。
真夏の夜の夢~フリーター労組のキャバクラ争議。の巻
雨宮処凛がゆく 113
キャバクラに団体交渉を申し入れに行くなんて、これまでの労働運動ではどうひっくり返ってもありえなかった。組合の連中がキャバクラに遊びに行くことはあっても、そこのキャバ嬢の労働条件をなんとかしようなんて誰も考えなかった。
派遣は、待遇改善は遠い道のりとは言え、少しは日の目を見るようにはなった。
注目され、「労働問題」として認識されるようにはなった。
でも、風俗産業は今でも「労働者以下」として切り捨てられている。
かりに、風俗産業はない方がいい、という説を正しいとしても、三菱重工で人を殺すための戦車や戦闘機を作っているエリート社員は立派な社会人で、風俗産業に働く女の子が労働者以下というのでは、やはりオカシイに決まっている。
これまで、労働組合からも「労働者以下」として見下されてきた存在が、今、じわじわと政治の世界に浸食している。目に見えるような見えないような、微妙な存在感と距離感を持ちながら。
なんやかんやとコメント欄が賑やかになるのを覚悟で、田中美絵子さんのことについて、あえて昨日書いたのは、そんな意味がある。
田中美絵子さん自身が、どのように総括し、どのように対処されるのかは本人の自由だが、できることならば、政界に侵入した「異物」として、胸をはって、開き直って活動してもらいたいと思う。
もちろん、すべての男性議員が、自らの風俗通いや浮気の過去を公表するわけがないのだから、田中さんだけに過去のプライバシーに責任を問うことはできない。
なにもコメントしなくても、それはそれで責めることはできないが、しかし、あえて「労働者以下」の代表を自覚してもらいたいと思う。
今後の田中美絵子さんの活動に注目したい。
※田中さんの件についてあれこれコメントしたい方は、前日の記事に書いてください。
昨日のぶんだけは、人間観察として、よほど差別的なもの以外は削除しませんから。
今日以降のコメント欄は、通常の管理をします。

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大島哲蔵さんという建築批評家が、大阪のど真ん中にある大正建築の地下室に作った本屋さんだった。もちろん、不法占拠ではないのだけれども、都市の真ん中の異空間を目指していたのだろう。
なにせ、置いてある本も先生の話しも難しいので、当時の私にはほとんど理解できなかったけれども、なんとなく、そういう雰囲気は感じた。
スクウォッターという言葉は、直訳すると空き家の不法占拠という意味らしい。
毛利嘉孝という人の「はじめてのDiY」という本によれば、世界中で10億人がスクウォッティングして暮らしているという。世界的にはメジャーな暮らしかたなのだ。
この本を読んで、久しぶりにスクウォッターという言葉を目にした。
そして、ゾクゾクッとする感じを味わった。
インターネットというのはペンタゴンが作ったものだから、本来は官製の情報網だ。
ところが、そこにブログという訳の分からないものが侵入して、居座ってしまった。
ワープロ程度の知識があれば、誰でも情報を発信できるという、画期的なブログという異物の正体は、情報を管理する権力には理解できなかったのだろう。ほぼ、野放しのまま一気に増殖した。
その勢いはまさにパンデミックで、豚インフルエンザの比ではなかった。
情報の独占、または管理というのは、権力を握ったものにとっては基礎の基礎。
その鉄壁の情報網に、まさにスクウォッティングしたのがブログというものだった。
もちろん、おおもとがペンタゴンである以上、情報はすべて管理されているとも言える。
が、有象無象、玉石混淆、なんでもアリで大発生したから、これを管理するのは並大抵ではないだろうと思われる。
もともと非合法の地下活動をするわけではなくて、バレてるけれど居座っているスクウォッターとしてはこのくらいが好い加減なのかもしれない。
情報のスクウォッターがブログならば、政治の世界のスクウォッターはプレカリアートのたたかいだろうか。
具体的な空間のスクウォッティングもやらかすらしいが、むしを、その存在自体が「占拠」している。
いわゆる政治家の世界にも、いわゆる左翼や右翼の世界にも、普通の労働運動の世界にすら属さないプレカリアートのたたかいは、政治の世界のスクウォッターというにふさわしい。
雨宮処凛さんの、このレポートは、その面目躍如だ。
真夏の夜の夢~フリーター労組のキャバクラ争議。の巻
雨宮処凛がゆく 113
キャバクラに団体交渉を申し入れに行くなんて、これまでの労働運動ではどうひっくり返ってもありえなかった。組合の連中がキャバクラに遊びに行くことはあっても、そこのキャバ嬢の労働条件をなんとかしようなんて誰も考えなかった。
派遣は、待遇改善は遠い道のりとは言え、少しは日の目を見るようにはなった。
注目され、「労働問題」として認識されるようにはなった。
でも、風俗産業は今でも「労働者以下」として切り捨てられている。
かりに、風俗産業はない方がいい、という説を正しいとしても、三菱重工で人を殺すための戦車や戦闘機を作っているエリート社員は立派な社会人で、風俗産業に働く女の子が労働者以下というのでは、やはりオカシイに決まっている。
これまで、労働組合からも「労働者以下」として見下されてきた存在が、今、じわじわと政治の世界に浸食している。目に見えるような見えないような、微妙な存在感と距離感を持ちながら。
なんやかんやとコメント欄が賑やかになるのを覚悟で、田中美絵子さんのことについて、あえて昨日書いたのは、そんな意味がある。
田中美絵子さん自身が、どのように総括し、どのように対処されるのかは本人の自由だが、できることならば、政界に侵入した「異物」として、胸をはって、開き直って活動してもらいたいと思う。
もちろん、すべての男性議員が、自らの風俗通いや浮気の過去を公表するわけがないのだから、田中さんだけに過去のプライバシーに責任を問うことはできない。
なにもコメントしなくても、それはそれで責めることはできないが、しかし、あえて「労働者以下」の代表を自覚してもらいたいと思う。
今後の田中美絵子さんの活動に注目したい。
※田中さんの件についてあれこれコメントしたい方は、前日の記事に書いてください。
昨日のぶんだけは、人間観察として、よほど差別的なもの以外は削除しませんから。
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