2009-09-24(Thu)

八ツ場ダムの責任とは?

八ツ場ダムの中止に対して、地元の悲哀を映し出す映像が連日流れている。
大嫌いな前原ではあるが、さすがに気の毒になってくる。

八ツ場ダムの問題の根本は、地元の悲喜劇でもなく、民主党のマニフェストでもない。
「政治の責任」ということだ。

これまで、あまりにも長いこと放棄されてきたので、だれもが気がつきもしないけれども、政治には責任というものがある。
やってしまったことが、間違っていたら、間違えたヤツが責任を問われる。

ところが、日本という国は、やってしまったことに対しては、まったくと言って良いほど責任を問われない。

コイズミと竹中平蔵という、日本を壊した張本人ですら、いまだに何の責任も問われていない。
亀井金融大臣の登場は、りそな問題の解明をちょこっと期待したくなる。
もしそうなれば、コイズミ&竹中への天罰と、植草一秀さんの復権もできるのだが。

ともあれ、いまのところ、コイズミも竹中もノウノウとデカイ顔をして暮らしている。
それどころか、昼の定食を食べながら店のテレビを見ていたら、コイズミの息子のウットオシイ街頭演説を延々3分くらい垂れ流していた。
自民党総裁選のニュースなのに、総裁候補のことなんてそっちのけで、ドラ息子の演説ばかり。

総理大臣という、この国で最大の責任を、子どもがゲームに飽きたかのように放り出した安倍晋三にしても、平気で国会議員を続けたばかりか、今回の総選挙にも何の反省もなく出馬して当選している。
あそこまで無残なまでに責任放棄したら、普通の神経であれば、とてもじゃないが二度と人前に顔をさらすなんてできないと思うのだが、日本の政治は普通じゃない。

で、八ツ場ダムである。

まず、これまで50年間の責任はだれが取るのか。
どんなに少なく見積もっても、治水効果が無いということを、国交省が認めた昨年6月以降については、工事を推進したすべての公共団体に責任がある。

もちろん、本当の責任は最近1年ばかりのことではない。
住民の一生と言ってもいい長い年月を、なんの効能も期待できない小型のダムのために、ボロボロにしてきた者こそが、本当の責任を問われなくてはならない。
それは、自民党政権であり、それに追随した地元自治体であり、ゼネコンを中心とした地元「代表」といわれる勢力である。

この者たちの責任が問われることなく、それどころか、まるで被害者ズラして現政権を叩こうという、ねじ曲がった根性は見ていて気持ち悪い。
工事は7割進んでいるから中止できない、と言うヘリクツほどくだらない話はない。

インフルエンザの患者にボルタレンを処方していたら、ただちに中止するだろう。
もう7割飲んでしまったから、いまさら中止できないなんていう理屈はない。
いくら、中止して脳症の治療をする方がコストがかかろうとも、そのまま飲み続けて死ぬことを選択するはずはない。
そして、インフルエンザにボルタレンを処方した医者は責任を問われるだろう。

こんな話をすると、じゃあ地元住民はどうなるんだ という反論がでてくる。

それが反論であると思っているところに、日本の「政治責任」の希薄さがある。
つまり、地元住民は、一部の人を除いて、責任を問われるべき対象ではない。
自治体と、住民の負うべき責任は、ぜんぜん違う。

ところが、戦争責任さえ一億総懺悔とかいって、国の責任を国民に押しつけようとしたお国柄だから、国家や自治体の責任と、個々の住民の区別がアイマイになっている。
なので、「自治体にも責任がある」というと、まるで「地元住民にも責任がある」と私が言っているかのように、聞こえてしまうのである。

実際は、あたりまえの話だけれども、推進の中心になった連中をのぞいて、地元住民は被害者だ。
ここまで、メチャクチャにされたものを、どう立て直すのかは、とても難しい問題だけれども、これは当然、国と自治体の責任だ。
現政権が、自民党政権から引き継がなくてはならない「責任」である。
というか、自民党政権が取ろうとしなかった責任を、現政権が引き受ける ということだ。

もう一度いうけれども、八ツ場ダムの問題は、50年間推進してきた連中の責任を問わなくてはならない。
いかに無茶をしてきたか、でたらめを押し通してきたか、余すところ無く暴き出さなくてはならない。

八ツ場あしたの会 八ツ場ダムを考える会 

このサイトに、非常に実証的に、諸問題が整理されている。
八ツ場ダムのことを云々したい人は、必ず目を通すべきだろう。

国交省も、馬渕さんが副大臣になったから、こと細かい事実の押さえは抜かりないとは思うが、民主党叩きのハンマーのように報道されている八ツ場ダムの問題でこそ、これまでの自民党政権下での無理無体を暴き出してほしいと思う。
そして、政治には責任が伴うのだという あたりまえの姿を取り戻してもらいたい。


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わたしもだむはきらいです、が…

神の見えざる手という有名な言葉があって、経済は市場の自由な運動に任せておけば需要と供給の関係でおのずから最適な位置に落ち着くのだということのようですが、でも供給と需要は全然別のものじゃないか、おコメを百俵作った人がそれを売りに出したがそのコメを必要とする人には金がなくて、コメは売れ残り人は餓死するではうまくないのではないか、というと、そういうことではなくて、セーの法則、もしくは販路の法則というのがあって、供給それ自体が需要を生み出す、のだそうです。これは経済学上ではあたかも物理学におけるエネルギー保存の法則といえるものなのだそうで、どういうことかというと…
ある樵が山林地主に一万円をはらって木を切り出し、二万円で材木屋に売った。それを家具職人が三万円で買い、テーブルを作って四万円で売りに出した。各人の収入はそれぞれ一万円で、四人の収入の総計は四万円である。左側には四万円の収入があり、右側には四万円の商品がある。
 もし樵の取り分が五千円であれば三万五千円の総収入に対して三万五千円の商品になり、材木屋が自分の収入を一万五千円にすれば四万五千円の総収入が四万五千円の総商品に対することになる。さらに一人の商人が現れてそのテーブルを買い五万円で売るとしても同じで一方に五万円の総収入があり反対側には五万円の商品がある。総収入の額と総商品の額は常に等しい。この二つは違うことができない。だから収入のすべてが支出されればすべての商品が売り切れる。
 ここで肝腎なのは「収入のすべてが支出される」ということで、
このとき、収入の一部が支出されずに貯蓄に回されるとするとその分の商品が売れ残ることになり、その商品が売れればもたらされるはずの収入が実現しないことになる。そこに発生する貧困の量は貯蓄の量と等しい。使われずに残った貯蓄は世界の反対側に自分と等しい量の「実現しなかった収入」・貧困を生み出す。
一方で、貯蓄ができるということはもう消費に金は使わない、消費財はいらない、と市場がいっているわけなのだからそれだけ資本財、生産財に資源を振り向ける余裕を手に入れたのだともいえる。
資本主義の初期においてはブルジョワジーという偉大な種族がいて利潤をすべて投資に次ぐ投資に振り向け資本財、生産財を拡充し世界を豊かにしたというふうに昔習った記憶があるのですが、今の日本はカネ余りとか言って投資に振り向けられずに漫然と溜め込まれたままになっているのだそうで、するとその巨大な貯蓄の分だけ消費が不足し、実現されない収入・貧困が生まれる。

もはや投資に次ぐ投資で事業を拡大した偉大な種族が滅びてしまった現在ではこの巨大な貯蓄を何とかするには、貯蓄している人に何とかものを買ってもらうとか、軽いインフレ状態にして今使わなければ損をするぞと脅かすとか、貯蓄分は税金で没収するぞといって強制的に支出させるとか、それでも使わなければ本当に没収して国が代わりに使ってやるとか、多く貯蓄する富裕層からあまり貯蓄のできない貧困層に所得を移転するとか、または、使わないで貯めこむだけの人がいるなら、貯めないで使う人がいればいいわけだから誰かが巨大な赤字を出して借金経営の事業をするとか、とはいってもそれだけの赤字に耐えられるのは民間にはいないだろうから国が赤字財政で何かをするとか、またはそもそもカネがしまいこまれてしまっているのだからその不足分のカネを印刷するとか、が必要になる。
結局国が赤字を出すことになるのだが、ではその赤字で何をするかというと、国づくりに意味のある事業があれば一番よいのだけれど、無意味な事業だとしても国民を貧困から救うという重要な使命を果たしていることになる。そしてその無意味な事業は当然利権と腐敗の温床になる。
だから話は、腐敗の危険を抱え込んで国民を貧困から救おうとするか、巨大な貯蓄をそのままにして金持ちと貧民の国を作るのかどちらを選ぶかということだ。

>「もう、黙っちゃいられん!」NHK(日本偏向協会)に抗議のFAXを送りましょう!henrryd6.blog24.fc2.com/blog-entry-740.html

明月さんよ、このヘンリー氏のエントリだが、
本当に道路の橋脚か?
ダムの骨格じゃないのか?
TVニュース見ていて、これはてっきりダムの骨格だと思っていたが。
これでは、B層は簡単にだまされてしまう。

小鼠の時もそうだったが、TV局というのは、事実を捻じ曲げるのが仕事か?
こんなインチキばかりしているなら、B層が悪いのではなくB層を作り出しているNHKを中心とする犯罪者の方が問題じゃないか?
新たにエントリ作って啓発してほしい。

一級建築士には当り前のことであっても、建築の門外漢にはあんな映像見せられたらダムの一部だと錯覚してしまう。
錯覚するだろうことをじゅうぶん意識して作られた悪質な洗脳だ。
再度、NHK不払運動を開始するべきだ。
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