2009-09-28(Mon)

農地解放についての追加メモ

昨日の記事に、

「第二次大戦後の「農地解放」は多くの人に誤解されていますが,有償による元地主からの元小作人へのかなり高額な土地売買でした。
それでも,元小作人は自分の土地が得られることがうれしかったのです。」

という指摘があったので、少々調べてみた。

が、分かる範囲で言うと、「かなり高額な土地売買」というのは、まったく当たらないようだ。

農地改革の真相-忘れられた戦後経済復興の最大の功労者、和田博雄

(独立行政法人)経済産業研究所によるこの文章によると、

農地改革は252万戸の地主から全農地の35%、小作地の75%に相当する177万haを強制的に買収し、財産税物納農地と合わせて194万haの農地を 420万戸の農家に売却したものであった。
農地買収は正当な価格、十分な補償で行わなければならないとGHQは主張し、インフレによる物価スライド条項の導入にこだわった。しかし、和田農相は徹夜の交渉によりこれを撤回させた。
戦後の悪性インフレによって貨幣価値がいちじるしく減価したにもかかわらず、農地改革が終了する1950年まで買収価格は据え置かれたのである。
この結果、買収価格(水田760円、畑450円)はゴム長靴一足(842円)にも満たない、事実上の無償買収となった。このため、農地を買収された地主階級から農地買収の違憲訴訟が相次いだ。


とある。
買収決定したときには高額だったかもしれないが、その後のインフレでタダ同然になったという。
そして、

GHQの農地改革担当者、ラデジンスキー博士は後日社会党の実力者となっていた和田と会談した際、和田に農地証券がインフレによりただ同然になることを予想していたのかと質問した。和田は言下にイエスといい、「もし、農地証券を物価にスライドさせていたなら、政府の重い財政負担によって今日のような日本経済の成長はなかった。あの時博士が譲歩してくれたのは日本経済のその後の発展への最大の貢献だった」と答えている。

と続いている。

背景としては、420万戸の小作農が農民組合など一大革命勢力になろうとしていたこと、戦争による欠乏に加えて敗戦の昭和20年が大凶作だったこと、などがあるようだ。

革命を未然に芽を摘み、生産性を上げて餓死を防ぐ、という当時の日本政府にとっては、何が何でもやらなくてはならない政策だったようだ。
だから、GHQの影響力はもちろん無視できないにしても、戦後の政策の中では比較的に日本政府主導で行われたようである。


また、前出の指摘にある、「市街化区域に指定されると,農地に宅地並みの固定資産税が適用され,やむを得ず土地を手放した」という説については、ハッキリとオカシイと言える。

二つの意味でオカシイ。

地主が、農地と言いながら宅地としてアパート経営などをしていたので、宅地並み課税ということが行われるようになった、という歴史的な経緯がある。
しかも、本格的に施行されたのは1992年である。たしかに、施行後は田んぼが駐車場になるようなところが続出したが、農地が大量に開発されたのはもっともっと前の時代である。
これがひとつめ。

もう一つは、本当に農業を続けたければ、「生産緑地」にすれば、課税は農地並みになるので、実は何の問題もない ということ。

ただし、一度「生産緑地」に指定してしまうと、少なくとも30年間、本来は永年、農地として固定される。景気が良くなったから宅地にして売り払おうとか、アパートを建てよう、ということはできなくなる。

ということで、宅地並み課税によって、やむを得ず土地を手放した人は、もともと宅地として売りたかった人が、売れなくなる前に駆け込みで売り払った ということだ。
農地を続けたいのに、泣く泣くやめたというのは、ちょっと違うように感じる。


さらに言うと、生産緑地は持ち主が亡くなったりすると、自治体に時価で買い取り請求ができ、自治体が拒否すると建築制限が解除される。
つまり、地主のおじいちゃんが亡くなったら、息子はしっかり現金化するか、宅地として活用できるようになるのである。
または、農地として相続すれば、相続税は農地である限り猶予される。

江坂の街中を歩くと、ビルの谷間に排水路の水を引いた田んぼがあって、落っこちそうになる。
あるいは、何の脈絡もなく桃や栗の植えてある場所が点在し、まったく収穫されることなく、落果し腐っている。
こういうのが、生産緑地というものだ。


そうそう、こんな非道い話もあった。

橋下君の掘った芋は890億円


橋下の権力欲のために、門真市の北巣本保育園はイモ畑を強奪された。

そして、強制収容で無理やり取り上げたくせに、「農業をやめた」と言って、先代から相続したときに猶予されていた相続税に19年間の利子までつけて2200万円を払えと言ってきたのである。

ほんとうに、非道い話だ。今聞いても腹が立つ。

これに課税するのであれば、一個も収穫されずに落ちて腐っている桃に税金をかけた方がよほどマトモだと思うのだが。


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