2009-10-14(Wed)
イランの核施設問題はイスラエル対策か
オバマは9月25日に、イランのウラン濃縮施設計画について、このように非難した。
「イランは警告されている。国際社会はイランの核開発に反対することで一致している」
(2009.9.26 CNN)
問題は、ふたつある
1.本当に核兵器開発なのか?
2.本当に「秘密」開発だったのか?
本当に核兵器開発だったのかどうかは、IAEAの査察を待たなければ分からないが、この時期にエルバラダイから日本の天野之弥に変わることの意味は大きい。
エルバラダイは、イラクの大量破壊兵器について
「われわれの査察は順調に進んでおり、さらに査察を進めることを許されるべきだ。」
「イラク側の積極的な協力があれば、IAEAは数カ月後に、イラクには核兵器開発計画がないと断言できる。」
と、冷静な発言をしたが、それを無視してアメリカは戦争に突入した。
結局、大量破壊兵器などなかったのは今や周知の事実である。
そして、イランについても、エルバラダイは冷静である。
このアメリカから見れば「融通の利かない」エルバラダイから、これまでアメリカのポチとして生きてきた日本の外務官僚に変わる。
一般人の目には、核兵器開発なのか原発の開発なのかなんて、わからない。
査察の結果がクロと言えばクロに見えるし、シロと言えばシロに見える。
シロに近いグレーと言ったイラクの時ですら、マスゴミの大合唱でクロにしてしまったくらいなのだから。
という筋書きを想像していたら、査察は思ったより早く進むようだ。
既にエルバラダイはイランに飛び、10月25日には査察が始まるという。
中国もロシアも、今回に限っては、何の抵抗もなく査察に同意している。
本当に核兵器の開発なのだろうか?
「秘密」だったのかどうかは、割とはっきりしている。
実際は、このウラン濃縮施設は「発見」されたものではなく、イランがIAEAに申告したものだ。9月21日に申告したモノを、25日になって急に「発見した」「警告する!」と大騒ぎしているのである。
イランも、同じ25日にはIAEAの査察に応じる大統領が表明し、いわば何の問題もない。冷静に見れば。
そもそも、IAEAのルールに違反しているということからして、言いがかりにすぎないようだ。
マスコミに載らない海外記事さん から引用する。
イランは、保障措置協定を遵守していないという、オバマ政権の主張はデマだ。2004年末から2007年始めにかけ、批准されることもなく、保障措置協定の一部にもなっていない追加協定(Code 3.1)を、イランは自発的に遵守していた。この追加協定は、新施設の建設を開始する前に、イランが、国際原子力機関に通知することを求めるもので、一方、現在有効な保障措置協定は、新施設完成の前に通知することを要求している。批准されていない追加協定への自発的な遵守を、イランは2007年3月に停止したが、それはアメリカとイスラエルによる、イランの既存施設に対する不実表示や、それらに対する軍事的脅威が原因だった可能性が高い。
(引用終わり)
完成の半年前の申告義務に対して、1年半前に申告している。
07年3月以前に計画していたとしても、それは自主的なもので、批准していなかったのだから「違反」ではない。
批准していなくても違反なのならば、イスラエルやパキスタンはどうなるのか。
要するに、なんでもないことを、皆で声をそろえて大騒ぎしている、という印象を否めない。
と、ここでイスラエルという名前を書いて、はたと思った。
この一連の大騒ぎは、イスラエル対策なのではないか と。
暴発寸前のイスラエルを押さえ込むために、わざとイランに言いがかりをつけ、制裁を強化するようなことを言っているのではないか。
オバマの進めてきたイランとの対話路線に対して、イスラエルは爆発寸前だった。
直前の経緯をたどると、こんなことがあったようだ。
イスラエルに核査察受け入れ求める IAEA総会、決議案採択
2009/09/21 日経
IAEAは18日の総会で、イスラエルの核の能力に「懸念」を表明し、査察受け入れを要求する決議案を過半数の賛成を得て採択した。米国や日本などは反対したが中国、ロシアや多くの途上国が支持に回った。
ことの始まりは、イスラエルに対するIAEAの査察決議だった。
周知のように、イスラエルは、イランを非難しながら、自分は査察の受け入れもしていないし、条約の批准ももちろんしていない。
とうぜん、この決議には「協力しない」と突っぱねた。
条約に加盟している上に、すぐに査察の受け入れを決めたイランとは大違いだ。
このままでは、大変なことになるので、ロシアが仲裁に入った。
イラン攻撃を否定 イスラエル、露大統領に
2009.9.20 産経
ロシアのメドベージェフ大統領は米CNNテレビに対し、イスラエルのペレス大統領が会談でイランへの軍事攻撃の可能性を否定したと述べた。大統領府が20日、インタビュー内容を公表した。
こうしてメドベージェフが、「イスラエルはイランを攻撃しない(から査察に協力しなくてもしかたない)」と発表した直後に、メドベージェフの顔をぶっつぶして、こう宣言した。
必要ならイラン空爆辞せずと、イスラエル軍参謀総長
2009.9.22 CNN
日本の新聞は、「攻撃しない」ほうのニュースは流したが、「空爆辞せず」のほうはスルーした。
CNNやロイターはこれを大々的にとりあげ、そして25日のオバマの「核施設の非難」へとつながっていった。
このままでは、イスラエルがイランを攻撃してしまう。さもなくば、オバマ暗殺という事態も考えられる。
そんな危機感のなかで、おそらく、今回のコム核施設の事態は引き起こされている。
経済的にもG20体制に移行しつつあるなかで、欧米もイスラエルをかばいきれなくなっている。
かといって、今、イランと戦争を始められてしまったら、アメリカはお手上げだ。
対応する力は残っていない。
泥沼の戦争を経て、イスラエルは中東から追い出されてしまうかもしれない。
それは、なんとしても避けなければならない。
もし、こうした流れならば、今回のコム核施設の査察が、そのままイラン戦争につながることはないかもしれない。
しかし、反対の見方をすれば、イスラエルは一触即発だということだ。
誰の監視も受けることなく、核爆弾を構えるイスラエルが、いつ暴発するのか、どこでプッツンするのか。
これが、イランのニュースを見るときのポイントだ。

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「イランは警告されている。国際社会はイランの核開発に反対することで一致している」
(2009.9.26 CNN)
問題は、ふたつある
1.本当に核兵器開発なのか?
2.本当に「秘密」開発だったのか?
本当に核兵器開発だったのかどうかは、IAEAの査察を待たなければ分からないが、この時期にエルバラダイから日本の天野之弥に変わることの意味は大きい。
エルバラダイは、イラクの大量破壊兵器について
「われわれの査察は順調に進んでおり、さらに査察を進めることを許されるべきだ。」
「イラク側の積極的な協力があれば、IAEAは数カ月後に、イラクには核兵器開発計画がないと断言できる。」
と、冷静な発言をしたが、それを無視してアメリカは戦争に突入した。
結局、大量破壊兵器などなかったのは今や周知の事実である。
そして、イランについても、エルバラダイは冷静である。
このアメリカから見れば「融通の利かない」エルバラダイから、これまでアメリカのポチとして生きてきた日本の外務官僚に変わる。
一般人の目には、核兵器開発なのか原発の開発なのかなんて、わからない。
査察の結果がクロと言えばクロに見えるし、シロと言えばシロに見える。
シロに近いグレーと言ったイラクの時ですら、マスゴミの大合唱でクロにしてしまったくらいなのだから。
という筋書きを想像していたら、査察は思ったより早く進むようだ。
既にエルバラダイはイランに飛び、10月25日には査察が始まるという。
中国もロシアも、今回に限っては、何の抵抗もなく査察に同意している。
本当に核兵器の開発なのだろうか?
「秘密」だったのかどうかは、割とはっきりしている。
実際は、このウラン濃縮施設は「発見」されたものではなく、イランがIAEAに申告したものだ。9月21日に申告したモノを、25日になって急に「発見した」「警告する!」と大騒ぎしているのである。
イランも、同じ25日にはIAEAの査察に応じる大統領が表明し、いわば何の問題もない。冷静に見れば。
そもそも、IAEAのルールに違反しているということからして、言いがかりにすぎないようだ。
マスコミに載らない海外記事さん から引用する。
イランは、保障措置協定を遵守していないという、オバマ政権の主張はデマだ。2004年末から2007年始めにかけ、批准されることもなく、保障措置協定の一部にもなっていない追加協定(Code 3.1)を、イランは自発的に遵守していた。この追加協定は、新施設の建設を開始する前に、イランが、国際原子力機関に通知することを求めるもので、一方、現在有効な保障措置協定は、新施設完成の前に通知することを要求している。批准されていない追加協定への自発的な遵守を、イランは2007年3月に停止したが、それはアメリカとイスラエルによる、イランの既存施設に対する不実表示や、それらに対する軍事的脅威が原因だった可能性が高い。
(引用終わり)
完成の半年前の申告義務に対して、1年半前に申告している。
07年3月以前に計画していたとしても、それは自主的なもので、批准していなかったのだから「違反」ではない。
批准していなくても違反なのならば、イスラエルやパキスタンはどうなるのか。
要するに、なんでもないことを、皆で声をそろえて大騒ぎしている、という印象を否めない。
と、ここでイスラエルという名前を書いて、はたと思った。
この一連の大騒ぎは、イスラエル対策なのではないか と。
暴発寸前のイスラエルを押さえ込むために、わざとイランに言いがかりをつけ、制裁を強化するようなことを言っているのではないか。
オバマの進めてきたイランとの対話路線に対して、イスラエルは爆発寸前だった。
直前の経緯をたどると、こんなことがあったようだ。
イスラエルに核査察受け入れ求める IAEA総会、決議案採択
2009/09/21 日経
IAEAは18日の総会で、イスラエルの核の能力に「懸念」を表明し、査察受け入れを要求する決議案を過半数の賛成を得て採択した。米国や日本などは反対したが中国、ロシアや多くの途上国が支持に回った。
ことの始まりは、イスラエルに対するIAEAの査察決議だった。
周知のように、イスラエルは、イランを非難しながら、自分は査察の受け入れもしていないし、条約の批准ももちろんしていない。
とうぜん、この決議には「協力しない」と突っぱねた。
条約に加盟している上に、すぐに査察の受け入れを決めたイランとは大違いだ。
このままでは、大変なことになるので、ロシアが仲裁に入った。
イラン攻撃を否定 イスラエル、露大統領に
2009.9.20 産経
ロシアのメドベージェフ大統領は米CNNテレビに対し、イスラエルのペレス大統領が会談でイランへの軍事攻撃の可能性を否定したと述べた。大統領府が20日、インタビュー内容を公表した。
こうしてメドベージェフが、「イスラエルはイランを攻撃しない(から査察に協力しなくてもしかたない)」と発表した直後に、メドベージェフの顔をぶっつぶして、こう宣言した。
必要ならイラン空爆辞せずと、イスラエル軍参謀総長
2009.9.22 CNN
日本の新聞は、「攻撃しない」ほうのニュースは流したが、「空爆辞せず」のほうはスルーした。
CNNやロイターはこれを大々的にとりあげ、そして25日のオバマの「核施設の非難」へとつながっていった。
このままでは、イスラエルがイランを攻撃してしまう。さもなくば、オバマ暗殺という事態も考えられる。
そんな危機感のなかで、おそらく、今回のコム核施設の事態は引き起こされている。
経済的にもG20体制に移行しつつあるなかで、欧米もイスラエルをかばいきれなくなっている。
かといって、今、イランと戦争を始められてしまったら、アメリカはお手上げだ。
対応する力は残っていない。
泥沼の戦争を経て、イスラエルは中東から追い出されてしまうかもしれない。
それは、なんとしても避けなければならない。
もし、こうした流れならば、今回のコム核施設の査察が、そのままイラン戦争につながることはないかもしれない。
しかし、反対の見方をすれば、イスラエルは一触即発だということだ。
誰の監視も受けることなく、核爆弾を構えるイスラエルが、いつ暴発するのか、どこでプッツンするのか。
これが、イランのニュースを見るときのポイントだ。

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