2009-12-01(Tue)

アフガン増派のお誘いがないと嘆くヤツら

就任したときには全世界から喝采を浴びたオバマ大統領が、愚かにもアフガンに3万人増派するという。
まったく愚の骨頂である。


大きな地図で見る

こうして地図を見てみると、イラクとアフガニスタンというのが、ぴったりイランの両隣であることがわかる。
イランは、しかし、IAEAの査察をうけいれ、欧米とことを構えるのを避けてきた。
実際、IAEAの査察では、これと言った新事実は見つかっていないようだ。
IAEAはイランを避難するための証拠探しに「行き詰まった」のである。

ところが、そのエルバラダイの「行き詰まった」という発言が、なんと国連のイラン非難決議になった。
9月まで新施設の建設を報告しなかったなんてことは、査察を始める前から分かっていたこと。
そんなことを理由にして、今この時期に非難決議をするということは、他の悪事は何も見つからなかったということだ。

しかも、前にも書いたが、イランは国際法違反をしていたのではない。
そのように見えるのは、マスコミが意図的にそう思わせているから。

イランは、事前報告の条約を批准していなかったのである。
そして、それを批准したから、建設中にIAEAに報告したのだ。

道義的な問題はともかく、法規上はあたりまえのことをしたにすぎない。
むしろ、条約を批准して、途中からでも報告したのだから、歓迎されてもいい。

ところが、それが大非難を浴びて、IAEAの査察も受け入れ、何も出てこないにもかかわらず、またしても非難決議。
さすがに、イランもぷっつんきたのか、10箇所増設するぞ と息巻いているが、所詮ブラフであることは見抜かれている。

と、要するに、イランはアメリカ側のコントロール下にある。
アメリカにはもはや支配する力はないが、かろうじて手の届く範囲にある。

しかし、パキスタンは逆向きにひた走っている。
アフガン侵略の初期には、アメリカの同盟国としてふるまったパキスタンだが、今や核兵器を抱えたままどこへ暴走するのか予測不能な事態になっている。

パキスタンは、イランと違ってNPTにも加盟していないし、したがってIAEAの査察など受ける義務もない。
アメリカに協力するという一点で、核兵器を持つことを許されてきた。
イランや北朝鮮が、開発を臭わせるだけであんなに非難されるのに、実際に持っているパキスタンやイスラエルが、平然としている。

しかし、今やパキスタンは核兵器を持ったまま、アメリカやイスラエルにとって敵対勢力になりつつある。
かといって、今の段階で、公然とパキスタンを非難したら、一気にむこうがわに押しやることになってしまう。
で、今回のアフガン増派 ということになっているのだろう。

パキスタンとアフガニスタンの場合、アメリカのせいで支配体制自体がおかしくなっているように見受けられる。
いったい、だれが核のボタンを持っているのか。
核兵器そのものを、だれがどこで管理しているのか。
そうしたことが、ワケワカランようになってしまう危険性を感じる。

これらはすべてアメリカの播いた種だ。
そして、その種から芽を出してしまった混沌を前に、引くに引けなくなってしまったのが現在のオバマだ。
しかも、いっかんしてその種を播き続けてきた人物が、現在の国防長官である。

今回のアフガン増派は、アフガニスタンとパキスタンの崩壊的な危機を一層加速させるだろう。
数多くのアフガン人を殺したあげく、一種の無政府状態に陥るかもしれない。
そして、地底からわき出るようなゲリラ戦に悩まされ、ついに敗戦的な撤退を余儀なくされるだろう。

アメリカ国内的にも、戦死者の増加と戦費の圧迫で、オバマの人気は急降下するにちがいない。
副島隆彦さんが言っていたように、2年でクビということになるかも。

■■

こんな、とんでもない泥沼のアフガン増派の誘いが、日本には来なかった。
これは日本のエゴかもしれないが、とりあえずは喜んでおきたい。

またして、Show the flag! とか言われたら、エライ目にあうところだ。

とりあえず、こうした誘い(命令)が来なかったことは、鳩山政権がギリギリがんばっていることの成果と言えよう。
アメリカ側も、日本とは東京で(首脳会談で)すでに話し合っている と言っている。

ところが、である。
この喜ばしい事態に、「中印両国への対応と比べ『格落ち』との印象はぬぐえない。」(時事通信)などと、書いているのが日本のマスコミ。

上の地図を見ればわかるが、中国とインドはアフガニスタン&パキスタンと隣接している。陸続きだ。
しかも、インドとパキスタンは戦争してきた仲だ。
それでなくても、G20や国連総会ではBRICSの顔色をうかがわなくては何も決められなくなっているのだから、真っ先に連絡(工作)をするのはアメリカにすればあたりまえだ。

それをまあ、ご主人様に声をかけてもらえなかったと言って、こんな嘆き節を全国新聞で書くなんて。
アメリカの飼い犬を何十年も続けていると、こんなことを恥ずかしげもなく書いてしまうんだなあ と、むしろ感心してしまった。

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