2009-12-02(Wed)
橋下徹の「普天間を関空に」を喜ぶ連中の愚
驚いたのは、マガジン9条までが橋下の「普天間を関空に」という発言にノリノリだということ。
社民党と国民新党もいそいそと大阪府庁に出かけていって、あやうく橋下に袖にされかけた。
なさけない。
ことの発端は、この発言だ
普天間移設:「話あれば関空に」橋下大阪府知事
毎日新聞 2009年11月30日
自分から「ウチに米軍基地を持ってきて」という首長などいるわけがなく、橋下は一躍正義の味方に躍り出てしまった。
しかし、二つの点で、この橋下発言を賞賛するのは間違っている。
その1 米軍はアメリカへ引き上げるべきだ
なんで、日本の国内でたらい回ししなくてはならないのか。
次の発言が、まったくの正論だ
(副島隆彦の学問道場より)
沖縄の米海兵隊(マリン・コー)の普天間(ふてんま)基地も、さっさと閉鎖して、残りの5千人とかの居座っている海兵隊を、グアムか、米国本国に返せばいい。 すでに、グアム島(島の真ん中にデーンとアンダーセン空軍基地がある)の全体の電力設備を作り直した費用として日本が、全額の1・5兆円を出している。あと、5千億円上げるから、さっさと帰れ、と米軍の4軍の司令官どもに言えばいいのだ。
ロバート・ゲイツ国防長官や 駐日米軍の司令官ども(戦争土方の現場監督ども)など、下っ端だから相手にしない、という鳩山首相の態度は立派だった。まだ日本を脅して屈伏させようなどと思っているアメリカの対日(たいにち)官僚=日本あやつり対策班(ジャパン・ハンドラーズ)などは、自分たちの頭を疑って、首を差し出した方がいい。日本は、自立しつつあるのだ。邪魔をするな。米軍は、さっさと日本から出てゆけ。自国に帰れ。
(引用終わり)
橋下の発言は「安保ありき」であり、米軍の永続的な駐留を願ってのもの。
それを忘れて、橋下のスタンドプレーに万歳しながら駆け寄るとは、なんとも情けない限りだ。
その2 橋下はまったく本気じゃない
絶対にできっこない、とタカをくくったうえで、スタンドプレーで発言しているのはミエミエではないか。
新政権からは、うまいことあしらわれて、すっかり埋没してしまった橋下は、民主党にいい顔をして、しかも正義の味方のようなふりをするために、言葉をもてあそんでいるに過ぎない。
2万パーセントでも、一瞬で言葉を翻す男なのに、いったい何を期待しているのか。
せっかく総務省顧問という名誉職に祭り上げて口を封じたのに。
その3 大阪府民のことなどどうでもいいと思っている
神奈川県のエゴをむき出しにして大ひんしゅくを買った松沢知事は、たしかにトンデモないヤツだが、まだそれでも神奈川県民のことを考えてはいた。
橋下は、あたかも沖縄のことを考えて提案しているようだが、実際はそんなもんじゃない。
タダ単に、大阪府民のことなど どうでもいいと思っているに過ぎない。
もし万が一関空に海兵隊が来ることになっても、自分は莫大な財産とともにどこへでも行くことができる。
いや、その手柄とアメリカの後押しを受けて、一気に中央政界の中枢へ駆け上る算段だろう。
大阪府民を、そのために撒き餌にしよう魂胆なのであって、沖縄のためとかいうのは、お為ごかし。
ちなみに、橋下はもう関西州知事になったかのような気分でいるらしい。
「神戸空港の活用」まで言っているからだ。
神戸空港は言うまでもなく兵庫県。
本当なら井戸知事が抗議すべきだが、下手に抗議すると松沢知事と同じだと思われかねない。
それに、井戸知事は一度「関東大震災はチャンス」発言で失敗している。
そこまで計算して、橋下は発言したのだろう。
まったく、ずるがしこさでは天下一品だ。
以上、橋下発言には、私はまったく賛同しないし、それに飛びつく連中の浅はかさに辟易する。
■■
が、しかし、では完全に関空への移設を100%否定するのかというと、そうではない。
これは、嘉手納統合案についても同じだと思っている。
嘉手納へ統合するという、岡田外相がさかんに言う案も、それ自体は噴飯ものだ。
この案の、どこに1㎜でも正義があるか?
しかし、岡田外相の嘉手納統合案は、戦闘機やヘリコプターの総数を減らし、かつ、撤退までのタイムスケジュールを出した上での暫定措置だという考えを、自らが述べている記事を読んだことがある。(残念ながらソースが不明になってしまった)
とっとと追い出すのが正論ではあるが、こうした段階を踏むことは、現実的にはあるかもしれない。
ただ、その段階を踏むのが、またしても沖縄なんか? という怒りが巻き起こるのは当然だ。
他の可能性を検討する前に、まず沖縄県内の嘉手納からはじめている岡田外相の姿勢は、やはり非難されて当然である。
問題は、県内ということで非難するあまり、撤退までの段階であるという点が見落とされていることだ。
そのタイムスケジュールが確約されているうえで、3年間だけ関空で受け入れてくれ、という話であれば、それにしたってもちろんまったく正義はないし反対なのだけれども、反対しながらも考えなくてはならない局面というのがあるかもしれない。
反対しながら考える とはずいぶん奥歯に物の挟まった言い方と思われるかもしれないが、これは大事なことだと考えている。
原則は原則。米軍は日本にいるべきではない。
だから、どこであれ、どういう理由であれ、国内の移設は断固反対。
ただし、現実には「次の一歩」が必要になる。
それが、まっっとうな方向に向いた一歩であるならば、賛成できなくても、あえて積極的に受け入れなくてはならないこともある。
そもそも、民主党が政権をとるのも、本質的にはそういうことだ。
もっと言うならば、日本国憲法だってそうだ。
海兵隊のたらい回しは、これらに比べると、ずいぶんたちが悪いが、ギリギリの交渉のなかで、どうしてもそういう段階が必要なのならば、大反対しつつ受け入れなくてはならないのかもしれない とは考えている。
それは、何回も書くけれども、ギリギリの交渉の挙げ句であり、本当にギリギリがんばっているという信頼関係が築かれたうえであり、先行きの方向がハッキリしているということが前提だ。
思いつきで、しかも米軍駐留の永続を前提にした橋下徹の発言など、1ミリも1ミリグラムも考慮する余地なんてない。

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社民党と国民新党もいそいそと大阪府庁に出かけていって、あやうく橋下に袖にされかけた。
なさけない。
ことの発端は、この発言だ
普天間移設:「話あれば関空に」橋下大阪府知事
毎日新聞 2009年11月30日
自分から「ウチに米軍基地を持ってきて」という首長などいるわけがなく、橋下は一躍正義の味方に躍り出てしまった。
しかし、二つの点で、この橋下発言を賞賛するのは間違っている。
その1 米軍はアメリカへ引き上げるべきだ
なんで、日本の国内でたらい回ししなくてはならないのか。
次の発言が、まったくの正論だ
(副島隆彦の学問道場より)
沖縄の米海兵隊(マリン・コー)の普天間(ふてんま)基地も、さっさと閉鎖して、残りの5千人とかの居座っている海兵隊を、グアムか、米国本国に返せばいい。 すでに、グアム島(島の真ん中にデーンとアンダーセン空軍基地がある)の全体の電力設備を作り直した費用として日本が、全額の1・5兆円を出している。あと、5千億円上げるから、さっさと帰れ、と米軍の4軍の司令官どもに言えばいいのだ。
ロバート・ゲイツ国防長官や 駐日米軍の司令官ども(戦争土方の現場監督ども)など、下っ端だから相手にしない、という鳩山首相の態度は立派だった。まだ日本を脅して屈伏させようなどと思っているアメリカの対日(たいにち)官僚=日本あやつり対策班(ジャパン・ハンドラーズ)などは、自分たちの頭を疑って、首を差し出した方がいい。日本は、自立しつつあるのだ。邪魔をするな。米軍は、さっさと日本から出てゆけ。自国に帰れ。
(引用終わり)
橋下の発言は「安保ありき」であり、米軍の永続的な駐留を願ってのもの。
それを忘れて、橋下のスタンドプレーに万歳しながら駆け寄るとは、なんとも情けない限りだ。
その2 橋下はまったく本気じゃない
絶対にできっこない、とタカをくくったうえで、スタンドプレーで発言しているのはミエミエではないか。
新政権からは、うまいことあしらわれて、すっかり埋没してしまった橋下は、民主党にいい顔をして、しかも正義の味方のようなふりをするために、言葉をもてあそんでいるに過ぎない。
2万パーセントでも、一瞬で言葉を翻す男なのに、いったい何を期待しているのか。
せっかく総務省顧問という名誉職に祭り上げて口を封じたのに。
その3 大阪府民のことなどどうでもいいと思っている
神奈川県のエゴをむき出しにして大ひんしゅくを買った松沢知事は、たしかにトンデモないヤツだが、まだそれでも神奈川県民のことを考えてはいた。
橋下は、あたかも沖縄のことを考えて提案しているようだが、実際はそんなもんじゃない。
タダ単に、大阪府民のことなど どうでもいいと思っているに過ぎない。
もし万が一関空に海兵隊が来ることになっても、自分は莫大な財産とともにどこへでも行くことができる。
いや、その手柄とアメリカの後押しを受けて、一気に中央政界の中枢へ駆け上る算段だろう。
大阪府民を、そのために撒き餌にしよう魂胆なのであって、沖縄のためとかいうのは、お為ごかし。
ちなみに、橋下はもう関西州知事になったかのような気分でいるらしい。
「神戸空港の活用」まで言っているからだ。
神戸空港は言うまでもなく兵庫県。
本当なら井戸知事が抗議すべきだが、下手に抗議すると松沢知事と同じだと思われかねない。
それに、井戸知事は一度「関東大震災はチャンス」発言で失敗している。
そこまで計算して、橋下は発言したのだろう。
まったく、ずるがしこさでは天下一品だ。
以上、橋下発言には、私はまったく賛同しないし、それに飛びつく連中の浅はかさに辟易する。
■■
が、しかし、では完全に関空への移設を100%否定するのかというと、そうではない。
これは、嘉手納統合案についても同じだと思っている。
嘉手納へ統合するという、岡田外相がさかんに言う案も、それ自体は噴飯ものだ。
この案の、どこに1㎜でも正義があるか?
しかし、岡田外相の嘉手納統合案は、戦闘機やヘリコプターの総数を減らし、かつ、撤退までのタイムスケジュールを出した上での暫定措置だという考えを、自らが述べている記事を読んだことがある。(残念ながらソースが不明になってしまった)
とっとと追い出すのが正論ではあるが、こうした段階を踏むことは、現実的にはあるかもしれない。
ただ、その段階を踏むのが、またしても沖縄なんか? という怒りが巻き起こるのは当然だ。
他の可能性を検討する前に、まず沖縄県内の嘉手納からはじめている岡田外相の姿勢は、やはり非難されて当然である。
問題は、県内ということで非難するあまり、撤退までの段階であるという点が見落とされていることだ。
そのタイムスケジュールが確約されているうえで、3年間だけ関空で受け入れてくれ、という話であれば、それにしたってもちろんまったく正義はないし反対なのだけれども、反対しながらも考えなくてはならない局面というのがあるかもしれない。
反対しながら考える とはずいぶん奥歯に物の挟まった言い方と思われるかもしれないが、これは大事なことだと考えている。
原則は原則。米軍は日本にいるべきではない。
だから、どこであれ、どういう理由であれ、国内の移設は断固反対。
ただし、現実には「次の一歩」が必要になる。
それが、まっっとうな方向に向いた一歩であるならば、賛成できなくても、あえて積極的に受け入れなくてはならないこともある。
そもそも、民主党が政権をとるのも、本質的にはそういうことだ。
もっと言うならば、日本国憲法だってそうだ。
海兵隊のたらい回しは、これらに比べると、ずいぶんたちが悪いが、ギリギリの交渉のなかで、どうしてもそういう段階が必要なのならば、大反対しつつ受け入れなくてはならないのかもしれない とは考えている。
それは、何回も書くけれども、ギリギリの交渉の挙げ句であり、本当にギリギリがんばっているという信頼関係が築かれたうえであり、先行きの方向がハッキリしているということが前提だ。
思いつきで、しかも米軍駐留の永続を前提にした橋下徹の発言など、1ミリも1ミリグラムも考慮する余地なんてない。

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