2010-02-22(Mon)

普天間基地の全国行脚

迷走なのか行脚なのか。

官邸のボスのはずが官僚のボスになっている平野官房長官や、顔に似合わず超ビビリの岡田外相や、大臣になったとたんに自民党員になっちゃったのかと思うような北沢防衛相など、ヒドすぎる姿が目立っている。

その一方で、県知事選の直前に大村空港案を出した社民党も、どうかしているように見える。

そうかと思えば、沖縄出身の国民新党の幹事長が、県内移設で大張り切りときている。

これらの、どこまでが迷走で、どこまでが独りよがりで、どこまでが計画的なのか、たしかに判然としない。
が、大きな流れで考えると、それなりの意味があるように思えるのである。


はっきり言って、結論はグアムしかない。
または、その近く。

グアムにしてもサイパンにしても、それ自体アメリカの植民地のようなものだから、米軍基地を置くことの不当さはある。もちろん地元の反対運動もある。

そのことは頭に置いた上で、当面の現実的な落としどころは、グアムしかないだろう。

もしも、国内のどこかに移設した場合、鳩山政権はもたない。
国民に対して、強制収容のようなまねをすれば、それこそ支持率なんて本当にゼロに近くなる。
参議院でも惨敗して、ニッチもサッチもいかなくなるのは、火を見るよりも明らか。

そんなことが、小沢氏や鳩山首相に分からない訳がない。
もしも、グアム以外で可能性があるとしたら、日本中の沖縄差別意識を総動員して、辺野古に押しつける以外にない。
沖縄は断然抵抗するけれども、沖縄以外の日本中の人々が他人事のように冷たく見放せば、ギリギリ乗り切れるかもしれない。

もちろん、そうなれば沖縄の怒りは、どんな政権であれ日本の政権とは未来永劫戦い続けることになり、顕在化するかどうかは別にして、日本は内戦を抱えることになる。

しかし、鳩山政権が今すすめている「迷走」は、そうした方向ではないように思える。
もし、沖縄に押しつけるという卑怯な戦略を固めているのならば、いたずらに「迷走」はしない。
これまで自民党がやってきたように、何とかの脅威とやらを持ち出して、虚構の大義名分を振り回しつつ、沖縄でしょうがないね という世論形成につとめるはずだ。

ところが、やっていることは反対だ。あっちこっちへ「迷走」して、そのたびに地元の反対を引き出している。

普天間移設の候補地 軒並み反発、5月決着危ぶむ声
2010年2月18日 読売新聞

20100218-609985-1-L.jpg
(同上記事より引用 クリックで拡大)

こうやって、どんどん地元の反対決議を引き出していくとどうなるか。
自分ところで反対決議をしておきながら、辺野古に作れ、とは誰でも言いにくい。
辺野古の地元が誘致していればともかく、絶対反対の名護市長が生まれた今、自分はイヤだけど辺野古は受け入れろ、とは、本音では思っても口に出せない。

橋下徹が、自分は絶対に安全圏だと思って、人気取りのためにやらかした「関空への誘致」発言が、瓢箪から駒でヒントになったのかもしれない。
関空も含めて、日本中が安全地帯ではないよ、海兵隊が来るかもしれないよ、という緊張感が全国の自治体に走っている。

ヘタに「辺野古に作れ」なんて発言すると、じゃあ自分ところも負担してよ、ということになるから、だれも公然と辺野古案を推進できない。
かえってそれを言えるのは、沖縄出身の下地氏(国民新党)くらいだったりする。

こうやって、日本中の可能性のある場所で、ことごとく反対決議をあげていくことで、

①日本中で米軍の問題、安保の問題が「自分の問題」になる

②名実ともに日本の総意として「海兵隊 GO HOME」を表明

③辺野古にこだわってきたアメリカの顔を立てることができる
 (日本がそこまで言うのなら と「温情」措置のふりをできる)

④米軍利権にまみれた連中に、手を出させない

という効能が期待できる。

もっとも、中には核廃棄物ですら誘致してしまう自治体もあるから、ウェルカメ!と言い出すこともあるかもしれない。
が、今の日本人はひと味違う。民意でひっくり返すことができる ということを知っている。
長い歴史で初めて、民主主義というものの片鱗を知った。
江戸時代の延長で選挙をしていたようなところでも、リコール運動などがおきる可能性は、ぐっと高くなっている。

普天間の移設先が「迷走」を装いつつ全国行脚している。
この行脚は、いわば「あなたは米軍にいてほしいの?」ということを問う国民投票のようなものだ。
これまでは、沖縄などに全部おしつけて他人事で済ませていたものを、「あなたは」とせまって歩いているのだ。

これは、東京湾や大阪湾に原発を作ろう、という話と同じで、一見とんでもないことを言っているようで、実は地殻変動的に意識を揺さぶることになる。

小沢鋭仁環境相におかれては、風光明媚な上関なんかじゃなくて、ぜひ東京湾での原発計画を検討してもらいたい。
また、チームマイナス6%とかいって喜んでいる方々は、レジ袋がどうしたとか言っているより、頼りない防護服を着て、原子炉内作業のボランティアに出かけていただきたい。

閑話休題

こうして、安保の問題が自分の問題として迫られてくると、次のステージはまた厳しい問題が待っている。
それは間違いない。

そこまで進んでいくと、小沢氏や鳩山氏とは意見は異なってくる。
がしかし、自分の問題として考えることは、やはり避けて通ってはいけないことであるのもたしか。

ピースピースと言いながら、沖縄やアフガンやイラクや、自分の体に触れない戦場は「無いもの」としてしまう寝ぼけた平和主義は、容易にヒステリックなファシズムに変質する。
その危うさに対する危機感では、私は小沢一郎の主張に同意する。

「日本国憲法改正試案」小沢一郎(1999年)
小沢一郎ウェブサイトより

日本人は小心だから、なかなか思い切って現実を改革する決断ができない。それなのに、テポドンでも落ちてこようものなら、ヒステリーを起こして極端にまで突っ走るおそれがある。マスコミの論調もすぐに過熱して戦前の例の如く「鬼畜米英」ならずとも「直ちに北朝鮮をたたけ」という見出しが躍るかもしれない。しかし、これでは又、歴史の繰り返しである。
 だから、冷静に考えてほしい。小沢一郎が言ったからでなく、自分の頭で論理的に考えて、結論を出してほしい。


小沢氏のこの論文の中身は、全く賛同しない。
が、その問題意識、危機感は非常に理解できる。

これから容易ならざる時代を生きていくためには、平和ボケの平和主義のままでダメなのだろう。
平和ボケの平和主義は、命へのリアリティがない。だから、命を粗末にするファシズムへと容易に返信してしまう。
命がけの平和主義なのか、命がけの戦争主義なのか、命がけの逃避行なのか、そのことをジワジワと、感情論に流されずに、少々時間をかけて考えていく必要に迫られている。

普天間基地の全国行脚は、そのための第一歩であろう。
それを鳩山政権がどこまで意識的にやっているのかは、はかりきれないが、前出の小沢氏の論文を読むと、ただの迷走ではないだろうということは、おそらく間違いないだろうと思うのである。


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社民党 国内へ方針転換。
まぁ解りきってたことですが。

本文とは離れるが、「国の安全」とは何かが、そもそも不明瞭。そうなる事態を避けるための外交なり、文化なりが焦点にならないのが不思議。
強姦や轢き逃げは、「国の安全」をあきらかに踏みにじっているんじゃないかなぁ。

現場は、強姦轢き逃げしてもノープロブレムな、黄色い土民どもの敗戦国と思っている。
トップは、今後重要になる米中関係にとって、正直お荷物と思っている。
そんな国を、身を挺して守るはずがない。言い訳はいくらでもあるんだから。

沖縄を都合よく使ってきたのは今に始まったことではない。空港はどこにでもたくさん余っている。どこにでももっていけばいい。雇用も増えるし、強姦や轢き逃げはあっても、「国の安全」は守ってくれるのだから。

No title

日本全国行脚すべき。沖縄県民の気持ちも少しはわかるであろう。途中の過程が大事だ。新政権は、全国行脚をどんどん仕掛けまくればよいのだ。ぎりぎりまで。そして最後に日本国民の叫びとして、アメリカにグアムを叩きつけることだ。
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