2006-02-23(Thu)

欠陥建築と談合の相関

伊藤公介を引っ張り出しても、何の成果もなく、くだらないメール問題に新聞紙面を埋め尽くされ、あまりに力が入らないので、昨日に続いて建設業界の構造的な問題について、書いておこう。

(ある意味、誤解を招くような表現もあるので、読まれる方は最後まで読んで頂ければありがたい。)

防衛施設庁の談合事件もたいがい酷いものだが、業界に生きている私としては、談合でない官庁工事なんてあるのかな? と思ってしまうぐらい、談合は日常茶飯事、この業界では「常識」のレベルになっている。

一般には、政治家が裏表の献金をもらうために談合を許している と思われているかもしれない。が、実際は逆だ。業界が仕事をつくるために政治家を育成している。

喩えは少々良くないが、テレビのコマーシャルのようなものだ。番組を流したいからCMを流しているように見えるが、実はもちろん逆だ。CMを見せるための客寄せに、番組を流している。

この件で、保坂展人氏のブログでこんなくだりがあった。
およそ官庁の工事で談合でないものはないと、言い切ってくれたのは元ゼネコンの官庁発注工事担当者だった。エッと思うが、よく考えてみると凄いことだ。談合事件の捜査をしている役所や、事件を裁く裁判所、服役している刑務所も例外じゃないのか。日本社会が「談合」から脱出することがいかに難しいか、「談合」がいかに根を張っているのかを探っていきたい。

いまさら「エッと思う」のは遅すぎるのではないだろうか。
まあ、内申書裁判を経て、80年代という雑誌を作ったり、若いときからもまれてきた保坂氏のことだから、本気で言っているのではないだろうが、こんなことは世の「常識」としてふまえておく必要はある。

何かこう書いていると、談合を支持しているようだがそう言うわけではない。とか言いながら、もっと言うと、
談合するから欠陥建築が増えると言うことも、たぶん無い。

談合しようがしまいが、欠陥建築は一定数必ずある。ヒューザーや総研はド外れてヒドイが、民間の競争下ではコストダウンに端を発する欠陥が必ず生じてくる。これは、前のエントリーで書いたとおりだ。

談合したらしたで、順番こに仕事の回ってくる緊張感の無さと、本来チェックするべき行政とズブズブの関係になる結果、やはり欠陥は構造的に生まれる。

私の短いゼネコン勤務経験から言うと、官庁関係の工事の方が、腰を据えた工事体制をとっていたように思う。だから、どちらかと言えば、談合した工事の方が欠陥は少ないのではないかと想像している。

だから談合がいいと言っているのではない。もっと根本的なところを見ておかないと、談合も欠陥も議論する意味がない、ということを言いたい。

日本のゼネコンや工務店の体制、請負という契約形態、常雇い無しの雇用形態、などなどは、ある意味談合を前提にしている、ということだ。談合といって悪ければ、特命、つまり一社指定ということ。

なぜそう言えるのかというと、この体制下で建築の原価など正確に計算できないからだ。機械ものならば、1円どころか銭(せん)の単位で原価を計算していく。ところが、建築ではそんなことは不可能だ。

つまり今の建築は、どこまでが本当のコストの限界なのか、実は誰も分からないのだ。それが競争入札になれば、限界がわからないなりに下請けを叩いてコストダウンする。限界を越えたコストダウンは、当然職人のモラル低下を招き、欠陥に結びつく。

職人の一人一人の賃金や、材料の一つ一つの製造原価まで把握しているゼネコンなど無い。という、製造業から見たらあり得ない世界が建設業界なのである。

建設業界は、そもそもの成り立ちから、競争入札などというものに対応できるようなシロモノじゃあないのだ。

だから談合OKというのではもちろん無い。安晋会のごときが、この国を食い物にしているのには、正味はらわたが煮えくりかえる思いがする。
だから、個別のヒドイ食い荒らしは断固断罪するべきだが、にもかかわらず「談合の根絶」などというきれいごとには空しいものを感じてしまう。

建設労働者の身分確保、技術指導から始まって、ゼネコンがその製造物の原価と技術レベルを、下請け任せでなく自ら明らかにできるようにしない限り、競争入札に耐える建設工事は生まれてこない。そして、そのような要求は、発注者からも受注者からも生まれては来ない。

つまり、発注者-受注者という関係の中からだけでは、競争と品質を両立させたものはできない、ということだ。発注者-受注者-労働者の三角関係が、せめぎ合いながらもバランスしたときに、初めて競争に耐える業界の体制ができる。現場労働者が、一方の当事者として登場して初めて、次の一手が見えてくる。

しかし、現場で働くもののほとんどが日雇いであるという現状は、実はそうした労働者の権利などを云々させないために生まれ、継続してきたというのが歴史的な経緯である。全くもって解決の糸口を見いだすことは難しい。

少なくとも、現場労働者の立場を抜きに、「市民」的感覚で「談合の根絶」を言うのには、チョット待ってと言いたいのである。
関連記事

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

有明海異変

今回も引き続き「環境問題を考える」から水循環について取り上げます。有明海で発生した問題は、日本における普遍的な環境問題の典型的なものであり、有明海の半閉鎖海域という特殊性によってそれが目に見える形で顕著に現れた例です。その意味で、この問題から学ぶものは非

comment form

管理者にだけメッセージを送る

comment

自由党 近畿ブロック
国民の生活が第一!
KINKILOGO.png
自由党
jiyutoulogo.jpg
山本太郎となかまたち
bnr_nakamatachi.png
生活フォーラム関西
なんとしても政権交代を!
20140723-3.jpg
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
森友事件 リンク
安倍晋三記念小学校こと森友学園の疑惑について、重要な資料を提供してくれるリンクです
リンク1
貴重な情報をいただいています
(順不同)
リンク2
ブログ内検索
twitter
田中龍作ジャーナル
20140723-4.gif
マガジン9条
パレスチナ・オリーブ
パレスチナで作られたオリーブオイルやオリーブ石けん。これはお勧め。
palestineolive.jpg
RSSフィード
blogranKing.net

カウンター
最近の記事
プロフィール

明月 こと 山岸飛鳥

Author:明月 こと 山岸飛鳥
木の家プロデュース 明月社 主宰
一級建築士
趣味 キコリ 畑
取り柄 貧乏
Email : info@mei-getsu.com

明月社のアルバム
明月社の作品や家づくりのアイディアなど ちょくちょく更新しています
アルバムLOGO
木の家プロデュース明月社
ホームページをリニューアルしました
meigetsusha.jpg
明月社へのご連絡

名前:
メール:
件名:
本文:

明月社 facebookページ
六甲菜園ブログ
郊外楽園プロジェクトの六甲菜園
rokkou-sides.jpg
おすすめの本
こんな時代だから、お薦めしたい本。アフィリエイトではありません。

自伝的戦後史(羽仁五郎) jidentekisengosi.jpg

おすすめの本 2
日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか

nihonhanaze.jpg

おすすめの本 3
日本はなぜ「戦争ができる国」になったのか
nihonnhanaze2.jpg
おすすめの本 4
世界超恐慌の正体

sekaichoukyoukou.jpg

おすすめの本 5
そして、日本の富は略奪される

sositenihonnno.jpg

おすすめの本 6
コンクリートが危ない

conclete.jpg

おすすめの本 7
家を建てる。家づくりはたたかいだ

iewotateru.jpg