2010-04-28(Wed)
検察審査会って こんないい加減なもんだったの?!
何から書くべきか。
まず言っておきたいのは、少なくとも私は「市民感情」なんかで裁いてほしくない。
いくら悪法でも、まだしも法律は書いたものだし判例もある。
が、「市民感情」なんていう、雲のように刻々と変化するもので裁かれるのはまっぴらだ。
そんなもので起訴されるとしたら、個人としての人間の尊厳をたもてない。
その意味で、今回の小沢一郎氏への検察審査会の「起訴相当」がどうだったのか。
感情論なのか、法律に照らして判断しているのか。
検察審査会議決の要旨
2010.4.27 河北新報
小沢氏起訴相当の議決書全文
(弁護士阪口徳雄の自由発言 より)
議決書の内容は、三つの部分に分かれているようだ。
①石川議員らが起訴されている「政治資金規正法違反」についての説明
②それに、小沢氏も共謀したのではないか という疑い
③市民感覚がどうのこうの
■何が犯罪だというのか
①については、以前の記事を見ていただきたい。
陸山会をめぐる問題を解説してみる
郷原氏や週刊朝日も、たくさんの論考を書いておられる。
ようするに、「犯罪」とされる点は一点。
平成16年10月に土地代金を支払ったのに、それを16年ではなく平成17年の収支報告書に書いた。
憶測をすべてよけて、法律でなにが問題なのかというと、これだけだ。
いったいこれが、どうして一国の揺るがす犯罪なのか?
記載漏れですらない。次の年になっているだけだ。
検察は、これが収賄を隠すための工作だったと証明したかったわけだが、結局できなかった。
石川氏も、水谷建設からの贈収賄で起訴されているわけでは全然無い。
ただ単に、土地代の支払いについて、次の年の収支報告書に書いた と言うことだけだ。
たしかに、なぜ実際の金の支払いと報告書の記載や土地の登記を2ヶ月ズラしたのか、ここを説明しておくと、すべてがスッキリする。
ある意味、文句の付けようがない。
石川氏が逮捕起訴される前に、それだけはやっておくべきじゃなかったかとは思う。
これは、法律上は何も義務はないけれども、小沢氏に倒れてもらっては困るという立場から、そう思う。まあ、いくら説明してもマスゴミは「セツメイセキニン」を繰り返すだけだろうけど。
しかしながら、石川氏が起訴されて公判が続いている段階では、安易に説明なんてことはできない。あくまで法廷でのやりとりということになる。
と、それはともかく、今回の検察審査会の議決では、あたかも収賄を隠すために2ヶ月遅らせたかのような思い込みが書き並んでいるが、あくまで①の「犯罪」に関することで「起訴相当」と言っているのだから、容疑はただ一点、16年の土地取引を17年の収支報告書に書いた ということにすぎない。
■共謀?
さて、次に②の共謀共同正犯。
このキョウボウキョウドウセイハンというのは、何となく耳にするけれども、実際にはあまりお目にかからない。
法律学上でも、賛否両論あるらしい。
これに関して 議決で書いてあることは、
・絶対権力者である小沢氏に無断で、大久保被告らが資金の流れの隠ぺい工作をする必要も理由もない
・判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を持つ小沢氏の地位と3人の立場などを考慮すれば、小沢氏に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能
と、隠ぺい工作だという思い込みの上に立っての話であり、小沢氏と秘書との関係を勝手に想像している。
どう読んでも、想像という域を出るものではない。
共謀共同正犯であるためには、収支報告書への記載を翌年にすることを、小沢氏と石川氏が相談して決めたという証拠がいる。
少なくとも、秘書というのはそういうことをするもんだ、それがこの世界の常識だ、と政治家が認識している必要がある。
こういう判例があるそうだ。
暴力団組長の共謀共同正犯
組長は銃も持っていないし、指示もしていないけれども、組長のボディーガードが銃を持っていた。この組長は何と、共謀共同正犯として有罪になっている。
この件では、「組長はボディーガードが銃を持っていることに確定的な認識があった」ということが、有罪の理由になっている。
これも、恣意的な判断が挟まるような気がして、納得できない感じはするけれども、最高裁の判決なので法律と同等の効力がある。
では、翻って小沢氏と石川氏の場合はどうか。
収支報告書への記載を翌年にすることに、小沢氏は確定的な認識があったのか?
そういうやり方が、ヤクザの拳銃と同じような「業界の常識」ならば、黙示的な意志の連絡と言えるのかもしれない。
が、収支報告書の記載を一年ずらす、しかも日付にして僅かに2ヶ月ずらすことが、なんで「業界の常識」なんだろうか。
黙っていてもわかる話でない以上は、具体的に共謀(相談)したという証拠が無くては、共謀共同正犯は成り立たない。
そもそも、検察はこれを成立させたくて、無理やりの取り調べをしてきた。
1月27日には、読売新聞に「土地代金に充てる現金4億円を同会の同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、了承を得ていたと(石川氏が)供述」などという、まったく事実無根のデマ情報をリークし、報道させた。
しかも、弁護団が読売をはじめマスゴミに厳重抗議したにも関わらず、まったく、一行も訂正しなかったのである。
報道機関各位(魚の目)
つまり、逆に言うと、上記のような小沢氏の共謀の証拠は得られなかった。
そんなものがあるのならば、審査会なんて開かなくても、特捜部はとっくの昔に小沢氏を逮捕しているだろう。
■この検察審査会は魔女裁判だ
あとは③の市民感情がどうのこうのという世間話である。
多くの方も指摘しているが、一番最後の台詞は、非常にひっかかる。
曰く「これこそが善良な市民としての感覚である。」
普通の市民が、自分たちの議決したことに、こういう台詞を吐くだろうか?
まとめをした米澤敏雄という弁護士がリキミすぎているのかもしれないが、まったく無くても良い一文である。
自分のことを「善良な市民」と言う善良な市民がいるのか 私は疑う。
「これこそ」という、特定的な言い回しも、何様かと思ってしまう。
どうも、この最後の一文に、今回の検察審査会の性格が象徴されているようだ。
証拠はなくても、ダーティなイメージのものはつるし上げろ!
そう、まるで魔女裁判だ。
数万の無辜の民が殺されたという魔女裁判は、そのほとんどがまともな規則もない民衆法廷で裁かれたのだと言うことを思いおこさねばならない。
「善良」などという虫ずの走る言葉を聞くと、どうしたって魔女狩りを想像してしまう。
日本において、起訴という事実がどのようなダメージを伴うのかということを考えると、このような、自らを「善良」だと酔っている集団に、明確なルール無しに強制起訴の権限を与えていることは、明らかに失敗であり恐怖である。
自らの「善良な意識」に反する者は、法律も証拠も関係なく、起訴するというのだから。
結果として無罪になったとしても、起訴されるだけでさんざんな目に遭うのは、小沢さんだけじゃない。一般の人間でも同じ。
会社をクビになり、陰口をたたかれ、再就職だってままならないだろう。
こんな権限を、このような世間話程度の議決で行使できるなんて、まったく恐怖としか言いようがない。
まして、今回の問題は、この国を左右する。
1億数千万人の行く末に巨大な影響をもっている。
わずか11人の自称「善良」な市民に、せっかくここまで進んできた無血革命を潰されるなんて・・・
絶対にあってはならない。
審査員個人の責任を問うても仕方ないのかもしれないが、それでもやはり魔女狩り検察審査会には抗議する。
みずからを 「これこそが善良」などと言うヤツに、ろくなモンはいない。
君たちの「善良」なるものを、人に押しつけるな!
※追記
岩上安身さんのtwitterより
先ほど、非常にショッキングな発言が。三月二日、拘留されていた石川議員に対して、特捜部の吉田副部長は、「小沢は今回の捜査で不起訴になっても、検察審査会で必ず起訴相当になるからな!」と、石川議員に向かって、脅し文句を吐いたという。鈴木宗男議員が証言。郷原さんも、聞いたと。この検察審査会の決定は、もとから検察のシナリオどおり?
たとえ有罪にできなくても、起訴さえできればいいということだ。
特捜が起訴して無罪では格好付かないが、審査会ならば特捜には責任がない。
それにしても、審査会ってそこまで検察に踏み込まれているのか・・・
※追記2
そうそう、今回の検察審査は「審査申立人」という者がいる。
議決書には「甲」と書いてある。
つまり、どこの誰だかわからない。
マスゴミによれば、正体不明の市民団体のようだが、「善良」市民である審査員の皆さんは、こんな得体の知れない申し立てに、不信感を抱かなかったのだろうか?
皆さんの「善良なる」常識は、その程度のものなのか。

にほんブログ村
まず言っておきたいのは、少なくとも私は「市民感情」なんかで裁いてほしくない。
いくら悪法でも、まだしも法律は書いたものだし判例もある。
が、「市民感情」なんていう、雲のように刻々と変化するもので裁かれるのはまっぴらだ。
そんなもので起訴されるとしたら、個人としての人間の尊厳をたもてない。
その意味で、今回の小沢一郎氏への検察審査会の「起訴相当」がどうだったのか。
感情論なのか、法律に照らして判断しているのか。
検察審査会議決の要旨
2010.4.27 河北新報
小沢氏起訴相当の議決書全文
(弁護士阪口徳雄の自由発言 より)
議決書の内容は、三つの部分に分かれているようだ。
①石川議員らが起訴されている「政治資金規正法違反」についての説明
②それに、小沢氏も共謀したのではないか という疑い
③市民感覚がどうのこうの
■何が犯罪だというのか
①については、以前の記事を見ていただきたい。
陸山会をめぐる問題を解説してみる
郷原氏や週刊朝日も、たくさんの論考を書いておられる。
ようするに、「犯罪」とされる点は一点。
平成16年10月に土地代金を支払ったのに、それを16年ではなく平成17年の収支報告書に書いた。
憶測をすべてよけて、法律でなにが問題なのかというと、これだけだ。
いったいこれが、どうして一国の揺るがす犯罪なのか?
記載漏れですらない。次の年になっているだけだ。
検察は、これが収賄を隠すための工作だったと証明したかったわけだが、結局できなかった。
石川氏も、水谷建設からの贈収賄で起訴されているわけでは全然無い。
ただ単に、土地代の支払いについて、次の年の収支報告書に書いた と言うことだけだ。
たしかに、なぜ実際の金の支払いと報告書の記載や土地の登記を2ヶ月ズラしたのか、ここを説明しておくと、すべてがスッキリする。
ある意味、文句の付けようがない。
石川氏が逮捕起訴される前に、それだけはやっておくべきじゃなかったかとは思う。
これは、法律上は何も義務はないけれども、小沢氏に倒れてもらっては困るという立場から、そう思う。まあ、いくら説明してもマスゴミは「セツメイセキニン」を繰り返すだけだろうけど。
しかしながら、石川氏が起訴されて公判が続いている段階では、安易に説明なんてことはできない。あくまで法廷でのやりとりということになる。
と、それはともかく、今回の検察審査会の議決では、あたかも収賄を隠すために2ヶ月遅らせたかのような思い込みが書き並んでいるが、あくまで①の「犯罪」に関することで「起訴相当」と言っているのだから、容疑はただ一点、16年の土地取引を17年の収支報告書に書いた ということにすぎない。
■共謀?
さて、次に②の共謀共同正犯。
このキョウボウキョウドウセイハンというのは、何となく耳にするけれども、実際にはあまりお目にかからない。
法律学上でも、賛否両論あるらしい。
これに関して 議決で書いてあることは、
・絶対権力者である小沢氏に無断で、大久保被告らが資金の流れの隠ぺい工作をする必要も理由もない
・判例に照らしても、絶大な指揮命令権限を持つ小沢氏の地位と3人の立場などを考慮すれば、小沢氏に共謀共同正犯が成立するとの認定が可能
と、隠ぺい工作だという思い込みの上に立っての話であり、小沢氏と秘書との関係を勝手に想像している。
どう読んでも、想像という域を出るものではない。
共謀共同正犯であるためには、収支報告書への記載を翌年にすることを、小沢氏と石川氏が相談して決めたという証拠がいる。
少なくとも、秘書というのはそういうことをするもんだ、それがこの世界の常識だ、と政治家が認識している必要がある。
こういう判例があるそうだ。
暴力団組長の共謀共同正犯
組長は銃も持っていないし、指示もしていないけれども、組長のボディーガードが銃を持っていた。この組長は何と、共謀共同正犯として有罪になっている。
この件では、「組長はボディーガードが銃を持っていることに確定的な認識があった」ということが、有罪の理由になっている。
これも、恣意的な判断が挟まるような気がして、納得できない感じはするけれども、最高裁の判決なので法律と同等の効力がある。
では、翻って小沢氏と石川氏の場合はどうか。
収支報告書への記載を翌年にすることに、小沢氏は確定的な認識があったのか?
そういうやり方が、ヤクザの拳銃と同じような「業界の常識」ならば、黙示的な意志の連絡と言えるのかもしれない。
が、収支報告書の記載を一年ずらす、しかも日付にして僅かに2ヶ月ずらすことが、なんで「業界の常識」なんだろうか。
黙っていてもわかる話でない以上は、具体的に共謀(相談)したという証拠が無くては、共謀共同正犯は成り立たない。
そもそも、検察はこれを成立させたくて、無理やりの取り調べをしてきた。
1月27日には、読売新聞に「土地代金に充てる現金4億円を同会の同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、了承を得ていたと(石川氏が)供述」などという、まったく事実無根のデマ情報をリークし、報道させた。
しかも、弁護団が読売をはじめマスゴミに厳重抗議したにも関わらず、まったく、一行も訂正しなかったのである。
報道機関各位(魚の目)
つまり、逆に言うと、上記のような小沢氏の共謀の証拠は得られなかった。
そんなものがあるのならば、審査会なんて開かなくても、特捜部はとっくの昔に小沢氏を逮捕しているだろう。
■この検察審査会は魔女裁判だ
あとは③の市民感情がどうのこうのという世間話である。
多くの方も指摘しているが、一番最後の台詞は、非常にひっかかる。
曰く「これこそが善良な市民としての感覚である。」
普通の市民が、自分たちの議決したことに、こういう台詞を吐くだろうか?
まとめをした米澤敏雄という弁護士がリキミすぎているのかもしれないが、まったく無くても良い一文である。
自分のことを「善良な市民」と言う善良な市民がいるのか 私は疑う。
「これこそ」という、特定的な言い回しも、何様かと思ってしまう。
どうも、この最後の一文に、今回の検察審査会の性格が象徴されているようだ。
証拠はなくても、ダーティなイメージのものはつるし上げろ!
そう、まるで魔女裁判だ。
数万の無辜の民が殺されたという魔女裁判は、そのほとんどがまともな規則もない民衆法廷で裁かれたのだと言うことを思いおこさねばならない。
「善良」などという虫ずの走る言葉を聞くと、どうしたって魔女狩りを想像してしまう。
日本において、起訴という事実がどのようなダメージを伴うのかということを考えると、このような、自らを「善良」だと酔っている集団に、明確なルール無しに強制起訴の権限を与えていることは、明らかに失敗であり恐怖である。
自らの「善良な意識」に反する者は、法律も証拠も関係なく、起訴するというのだから。
結果として無罪になったとしても、起訴されるだけでさんざんな目に遭うのは、小沢さんだけじゃない。一般の人間でも同じ。
会社をクビになり、陰口をたたかれ、再就職だってままならないだろう。
こんな権限を、このような世間話程度の議決で行使できるなんて、まったく恐怖としか言いようがない。
まして、今回の問題は、この国を左右する。
1億数千万人の行く末に巨大な影響をもっている。
わずか11人の自称「善良」な市民に、せっかくここまで進んできた無血革命を潰されるなんて・・・
絶対にあってはならない。
審査員個人の責任を問うても仕方ないのかもしれないが、それでもやはり魔女狩り検察審査会には抗議する。
みずからを 「これこそが善良」などと言うヤツに、ろくなモンはいない。
君たちの「善良」なるものを、人に押しつけるな!
※追記
岩上安身さんのtwitterより
先ほど、非常にショッキングな発言が。三月二日、拘留されていた石川議員に対して、特捜部の吉田副部長は、「小沢は今回の捜査で不起訴になっても、検察審査会で必ず起訴相当になるからな!」と、石川議員に向かって、脅し文句を吐いたという。鈴木宗男議員が証言。郷原さんも、聞いたと。この検察審査会の決定は、もとから検察のシナリオどおり?
たとえ有罪にできなくても、起訴さえできればいいということだ。
特捜が起訴して無罪では格好付かないが、審査会ならば特捜には責任がない。
それにしても、審査会ってそこまで検察に踏み込まれているのか・・・
※追記2
そうそう、今回の検察審査は「審査申立人」という者がいる。
議決書には「甲」と書いてある。
つまり、どこの誰だかわからない。
マスゴミによれば、正体不明の市民団体のようだが、「善良」市民である審査員の皆さんは、こんな得体の知れない申し立てに、不信感を抱かなかったのだろうか?
皆さんの「善良なる」常識は、その程度のものなのか。

にほんブログ村
- 関連記事
-
- もう手遅れみたいだけど再度言う 「社民党は連立離脱してはいけない」 (2010/05/30)
- 社民党は今こそ図々しくあれ! 追記:ハトは関係閣僚を全て罷免せよ! (2010/05/29)
- 総論賛成各論反対の橋下徹 (2010/05/28)
- 「罷免されても反対」は正しい (2010/05/26)
- 呑気に失望したり沈黙したりしている時じゃない 普天間攻防 (2010/05/24)
- 【陸山会】世田谷の土地の登記簿は? (2010/05/21)
- テニアン情報なら青梅市トライアスロン協会 (2010/05/18)
- 検察審査会って こんないい加減なもんだったの?! (2010/04/28)
- あえて言おう がんばれ鳩山由紀夫! (2010/04/27)
- 民主党岐阜県連といえば (2010/04/13)
- 普天間 牛肉 郵便局 (2010/04/09)
- 石原爺のおもちゃになっちゃった新党さわぎ (2010/04/07)
- 与謝野馨は切り捨てられたのだろう (2010/04/06)
- 前原誠司とCSIS (2010/03/16)
- 社民党は自信をもて! (亀井静香のくそ度胸を見習うべし) (2010/03/14)