2010-06-04(Fri)

米上院軍事委員会と「聞く耳持たず」  追記あり

鳩山辞任の経緯で、どうしても引っかかっていることが二つある。

■■

一つは、米上院の軍事委員会でグアム移転の予算が7割も削減されたこと。
しかも、それは5月27日。例の屈辱の2+2日米合意の前日だ。

ロードマップを守れと強制しておきながら、自らは予算を7割もカットするとはどういうことか。
普天間というカードを振り回しながら、「これが欲しかったら俺の靴をなめろ!」と恫喝し、鳩山が「わかりました」と膝を屈しアメリカのドロ靴に口を近づけたとたん、そのカードを放り投げてしまったのだ。

普通に考えれば、ドロ靴をなめかけた舌を引っ込めて、「何をするんだ!」と抗議するだろう。
ところが、鳩山はそのまま靴をべろっとなめてしまったのだ。
米上院に響く嘲笑が聞こえるようだ。

しかも、27日に軍事委員会で決定したことが、日本では昨日6月2日まで報道管制されていた。
中枢にいない議員を含めて、ほとんどの日本人は、まさかこんな決定がされているとは知らずに、一連の事態を見守っていた。

考えられることは、7割削減は予想された事態であり、辺野古明記で合意すれば米政府として予算を復活させる、というオバマ・ホワイトハウスからの提案、というかこれも立派な恫喝、があったのではないか。

また、この上院軍事委員会の決定は、報道されているとおりならば、削減の責任を沖縄県知事に押しつけている。
日本国や首相ではなく、頭越しに知事をターゲットにしている。

もしこれが、国家間合意の前に公表されていたら、沖縄VSアメリカの直接対決の様相を呈したであろう。
そうなれば、鳩山としては、誤魔化しようがない。
どっちに付くのか、非妥協の選択を迫られてしまう。

鳩山の戦略は、なんとかゴマカシて「何か」にむけて時間を稼ぐ というものだった。
2+2がアメリカの議会対策であったとするならば、その「何か」は米議会で予算が承認された後のことだったと考えられる。

■■

そこで、もうひとつ気になるのが、「国民が聞く耳を持たなくなった」という、鳩山の辞任演説だ。
これは、失言ではなく確信犯だ。

最近の日本の首相の中では、鳩山は飛び抜けて日本語がマトモだ。
丁寧すぎるくらい。
だから、もし同じことを言うとしても 「耳を貸していただけなくなった」と言うはずだ。

それを、あえて「聞く耳を持たない」という違和感のある、むしろ反感を買うような言葉を何回もシツコク繰り返したのは、意味があるはずだ。
少なくとも、注意を喚起する意図はあったと思われる。

菅直人が首相になろうが誰がなろうが、現実的に普天間のこと、辺野古のことは解決をしなければならない。
もちろん、つくらせない という方向でだ。

そのためには、鳩山が考えていたこと、でも口にだすことができなかったこと、属国の宰相として言いたくても言えなかったことは何なのか、考えてみる必要がある。
「聞く耳を持たなくなった」という発言は、その言外の意を汲んでくれという、悲痛な思いの表れなのではないか。

あの演説は、駐留無き安保どころか、本質的には日米安保を否定していた。
辞任演説だから言えたことだろう。
その流れの中に「聞く耳を持たない」はある。

■■

話は米上院に戻る。

5月28日には、上院での予算削減は隠されたまま、グアム移転が遅れているのは、実はグアムのインフラ整備、中でも港の整備が追いつかないせいだということが報道された。
オバマは、国防総省だけでなく、全省庁から予算を絞り出せと提案したが、なかなかうまくいかない。
それくらい、アメリカは金がないのである。

さらに、31日には、グアムの整備が遅れるせいで、普天間の移転が3~5年遅れる ということが報道された。
この時点でも、上院の削減決定は伏せられている。

それが、鳩山が辞任したとたんに報道された。

ここにも意味があるはずだ。

・・・・・・・・ 夜が更けてきて、体力が限界。

続きはまた。

(グーグー)

夜が明けました。

日経BPnetに林志行という人が、こんなことを書いている。
辞任直前の6月1日の記事。

普天間迷走と民主党政権 より

・官邸の発想
 これ
(岡田や北沢の辺野古回帰のこと 明月注)とは別に官邸独自の戦略が存在するはずだ。官僚が抵抗し、過去との整合性を持ちだす。それらを前提に、いったんの期限(昨年の12月中旬)を先に延ばす。その上で、民意を説いて、国民のうねりとして、日米安保50周年の節目の年に、新たな形を定義づけたい。それが鳩山政権の最初の成果として掲げたミッションでもある。

この見立ては、だいたい当たっているのではないか。
かつての安保闘争とは違うとしても、圧倒的な国民の声を背景に、この普天間の国外移転を実現する。
それが、日米安保のあり方そのものを象徴する事態にする。

鳩山は、このように考えていたのではないか。

しかし、国民はマスゴミに誘導されて、どんどんあらぬ方角ばかり眺めていた。
何かというと、迷走だとか、裏切りだとか、抑止力だとか、はたまた小沢氏をダシに使って政治とカネとか。

沖縄はもちろん大反対を表明したけれども、多数の日本国民はそっぽを向いてしまった。
鳩山が思い描いたであろう、国民的大運動とはかけ離れていった。

その落胆と苛立ちが、「聞く耳を持たない」という言葉になっているのではないか。

「なんだ、自分の能力を棚に上げて国民が悪いと言うのか」と文句を言うのは簡単だ。
しかし、自分たちが選んだ首相が、あの熟考されたであろう辞任演説の中で、あのような言葉を吐いて辞めていったのか。少なくとも、新政権に期待した人は、自分の問題として考えてみる必要がある。

小沢一郎も、鳩山と同じミッションをもち、同じイメージを描いてきたのだろう。
それが、辞任演説の後のあの表情になっている。


■■

日米安保の変容ということは、私を含めて反戦平和を信条とする人間に、新しい問題を突きつける。
鳩山の演説を借りるならば、日本の平和を自分たちで作る ということだ。

これが、単純に自衛隊の増強と日本軍への昇格を意味するのか、まったく違うパラダイムが存在するのか。
日米安保に反対しながら、それに「守られて」きた日本の平和主義は、新しい扉を開けなくてはならない。

安保そのものを見直すような国民運動に広がっていかなかった、一つの原因は、ここにもあると思う。
本来は、もっとも強く反対しなければならない反戦平和を言う勢力が、日米安保がアブナイというひとことにびびってしまった。
福島さんは最後まで突っ張ったけれども、社民党の中だってけっこうぐらついていたはずだ。

自衛隊の増強や、もんじゅを使った核開発などではない、オルタナティブな平和の途。
覚悟をもっって考えて行かなくてはならない。

これが、いわば鳩山から私への置き土産だ。



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※文中 「聞く耳を持たない」という鳩山発言を「耳を貸さない」と書いていましたが、コメントにて指摘いただき訂正しました。

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怪しい伝説

貴方の話と関係あるかどうかは知りませんが私の学生時代の知り合い(陰謀史観マニア)曰く「アメリカは地震兵器を実用化させていて、それを使って鳩山総理を脅迫したのだ」とほざいてました。まあ、この話を信じるかどうか貴方次第ですが。

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アメリカの産業が軍事と情報で操作という性悪説に基づいたものであることって大問題だと思う。
人間のエゴを理性で手懐けることは可能だと思いたいです。
経済学者は結構良いこと言ってます。
スティグリッツとか。

再びすみません

よみうりのニュースに、鳩山さん:『変えようということに対する抵抗力が日増しに高くなっていることを感じた。』思うように運営できない悔しさをにじました。といったことが書いてあった。この抵抗力は官僚でありサボタージュ閣僚であるのだろう。。。

> そのためには、鳩山が考えていたこと、でも口にだすことができなかったこと、属国の宰相として言いたくても言えなかったことは何なのか、考えてみる必要がある。

属国宰相・鳩山氏が言いたいことをそのまま言っていたら何が起こったか?
また原爆落とされるのか?
そういった具体的なシミュレーション結果が示されたことは一度もない。
そもそもシミュレーションなどしてもいないだろう。
「そんなこと考えちゃダメ!」そう洗脳されて米国のクツを舐め々々うん十年の日本である。
しかし、日本が米国依存ではない「オルタナティブな平和の途」を進むには、ハード/ソフトに拘らず、そのとき確実に起こる「米国の攻撃」を精度よくシミュレートしておく必要があると思う。
その上でしたたかな戦略を練って臨まねば決して進めないだろう。
理系の首相には自明なことだったはずだが、そんな手順を踏んだ形跡は見られない。やはり周囲に敵(米国代理人)が多過ぎたのか?
「米国の逆鱗に触れたら、それはもう、日本はとんでもないことになりますよ」
いつもそこまでしか語らない売国奴(本名:岡本行夫)がメディアで幅を利かせているようではダメだ。

耳を貸さなくなった

朝日が麻生のコメントを見るとつくづく日本語がわからないやつだと思いました。
鳩山さんの言葉は都合よくカットされて報道されていた気がします。辞任前日に指を立てたことに関しても、汲むべきことがあるはずですね。

No title

最後の方はその通りでしょう。そして、鳩山氏が考えていたのは、日米安保の相対化といっても、あきらかに

> 単純に自衛隊の増強と日本軍への昇格を意味する

なわけですよ。そこに、あなたのように反戦平和を信条としながら鳩山を支持してしまった人たちの、難しいところがあると思います。

あと、耳を貸さなくなったというのは別にそんな深い意味はないでしょう。「不徳の致すところ」と自分の責任だといってるわけですから。そもそも鳩山首相の日本語はまったくまともではないです。意思と言葉のズレという点で希代のひどさです。

No title

1年ほど前から貴ブログを読んでいます。中米のグアテマラと言う国に住んでいます。50年ほど前に(私は生まれていませんが)、民主的に選ばれたアルベンス大統領がアメリカによるクーデターで追放されました。まさに今の日本と同じです。中米はアメリカの裏庭と呼ばれていますが、日本もまったく同じだったとは。中南米は反米感情が強いですが、日本人はこれだけやられても反米感情を抱かないような気がします。そこまで戦後の文部省教育とマスコミの洗脳は徹底したものだったのでしょうか。沖縄問題は天皇に端を発していると思います。どれだけネット上で自由な意見が飛び交っても、これだけは絶対的なタブーのようですが。
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