2010-06-06(Sun)
水は低きに流れる
菅直人が、どういうつもりでこの組閣を考え、参議院選に臨もうとしているのか、私には分からない。
昨年9月からの数ヶ月間で、すっかり官僚に取り込まれてしまって、脱官僚依存を本気で考えてる人材を外しているのでは、という見方もある。
たしかに、財務省の官僚がお膳立てした「仕分けショー」で活躍したことが、官僚と本気で対峙する証明には全然ならない。
一方で、これは選挙管理内閣で、とにかく参議院選を乗り切るための臨時的なものだ、という見方もある。
とにかく、一般ウケ、マスゴミウケのいい顔ぶれをそろえておいて、選挙が終わってから本格的に組閣する、という考えだ。
いずれが本当か、しばらく時間を経なければ分からない。
最近はやりの元秘書ジャーナリストたちのツイートも、右往左往、言うことがコロコロ変わるので、ワケが分からない。
私の考えでは、おそらく、お試し内閣ではないかと思っている。
例えば、幹事長に大抜擢の枝野には、あえて地獄を見せておこうという、ある意味の親心だ。あんたの大嫌いな小沢一郎は、こういうプレッシャーの中で仕事してきたんだ ということが体験して初めて分かるだろう。
枝野は、反小沢の凌雲会ではあっても、政策はむしろ前原よりも小沢に近い。今まで眺めてきたかぎりでは、小沢の根性には足元に及ばないが、本気で命かけてやるのであれば、反小沢であってもドンドンやってもらったらいい。
また、それだけの根性があれば、くだらない反小沢だの親小沢だのということにも、こだわらなくなるだろう。
しかし、お試しであったとしても、一度落ちた水は、自分から高いところには上がらない。
水は低きに流れるのである。
典型的なのは、政調の復活。
もっとも、政調を復活させたいのはだれか。手ぐすね引いて待っているのは誰か。そんなことも分からないはずはない。
むしろ、官僚の用意した心地よい座布団の上にちょこんと座らせてもらうことに、たまらない魅力を感じているのではないか。
官僚に依存せずに政策論議をするのであれば、なにも政調が無くてもいい。
川内議員がテニアン移設に向けて動いたように、党内でどんどん活動し、政府に提案していくことはできる。
自民党の政調のように、事実上そこが政策決定の場になるようなことは、国会を有名無実化するものだ。
三権分立である以上、国会と行政は、一定の緊張関係を持たなくてはいけない。
行政側と族議員が、密室で政策を決める政調を作ってしまったら、多数党が行政を担当する今の制度のもとでは、国会はタダの形式になってしまう。
政調に入り込んで、官僚の手のひらの上で「○○を実現しました」という手柄を立てれば、地元に帰って偉そうな顔ができる。ほとんどの議員が、それを望んでいる。
しかし、小沢一郎は、そういう安易な途を許さなかった。徹底的に有権者の中に入って、話を聞けと言うことを、国会議員の務めとした。つらくて地味な仕事だ。
しかし、その意見をまとめて、政府に提言していくのが、与党の務めではないのか。
官僚の声を聞くのか、有権者の声を聞くのか という選択だ。
残念ながら、今の民主党の中では、多くの議員が、有権者の声を聞くことよりも、耳あたりのいい官僚の声に惑わされることを望んでいる。
もうひとつが、二人区の二人立候補だ。
わたしは、この考えを聞いて、小沢一郎というのはスゴイ政治家だなあと思った。
とりあえず参議院をどうにかするということもさることながら、本気で権力を握るということはどういうことなのか、それを民主党員に体で教えようとしていた。
昨年9月の政権交代は、候補者の努力や資質とは、ほとんど無関係に大量当選となった。
そのお上りさん議員や、長年安逸をむさぼってきたベテラン議員を含めて、死ぬ気で当選しろ、ということを強制した。
今回は参議院だけれども、衆議院でもそういう扱いをするぞ ということが、他の議員にもひしひしと伝わったはずだ。
反小沢といわれる議員の多くは、この厳しさから逃げ出した連中だとも言える。
いわゆる反小沢に、思い切りおもねっている今回の組閣案を見る限り、菅直人は二人区の候補者を見直す可能性が大きい。
これは、棚ぼたで政権を取った民主党にとって、自殺行為である。
地元を歩いて歩いて歩き回れという小沢が説いてきた民主主義の原点が破壊され、官僚に手柄を立てさせてもらって、地元でふんぞり返るセンセが大量に生み出されるだろう。
もし、菅が、選挙対策として、一時しのぎでそうしたのだとしても、いったんマンホールに落ち込んだ水は、地上には戻ってこない。
だから、菅政権は、お試しのつもりが墓穴を掘る政権になる可能性が高い。
一定数の人々は、そうなってから、小沢の主張していたことが何だったのか理解し、理解したときには時すでに遅しということになるのかもしれない。
風邪をひいたせいで、どうも悲観的になってしまう。
いずれにしても、絶望しているほど贅沢な身分ではないので、何がどうなったとしても、何とかして矜恃を保ち生き延びていきたい。

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昨年9月からの数ヶ月間で、すっかり官僚に取り込まれてしまって、脱官僚依存を本気で考えてる人材を外しているのでは、という見方もある。
たしかに、財務省の官僚がお膳立てした「仕分けショー」で活躍したことが、官僚と本気で対峙する証明には全然ならない。
一方で、これは選挙管理内閣で、とにかく参議院選を乗り切るための臨時的なものだ、という見方もある。
とにかく、一般ウケ、マスゴミウケのいい顔ぶれをそろえておいて、選挙が終わってから本格的に組閣する、という考えだ。
いずれが本当か、しばらく時間を経なければ分からない。
最近はやりの元秘書ジャーナリストたちのツイートも、右往左往、言うことがコロコロ変わるので、ワケが分からない。
私の考えでは、おそらく、お試し内閣ではないかと思っている。
例えば、幹事長に大抜擢の枝野には、あえて地獄を見せておこうという、ある意味の親心だ。あんたの大嫌いな小沢一郎は、こういうプレッシャーの中で仕事してきたんだ ということが体験して初めて分かるだろう。
枝野は、反小沢の凌雲会ではあっても、政策はむしろ前原よりも小沢に近い。今まで眺めてきたかぎりでは、小沢の根性には足元に及ばないが、本気で命かけてやるのであれば、反小沢であってもドンドンやってもらったらいい。
また、それだけの根性があれば、くだらない反小沢だの親小沢だのということにも、こだわらなくなるだろう。
しかし、お試しであったとしても、一度落ちた水は、自分から高いところには上がらない。
水は低きに流れるのである。
典型的なのは、政調の復活。
もっとも、政調を復活させたいのはだれか。手ぐすね引いて待っているのは誰か。そんなことも分からないはずはない。
むしろ、官僚の用意した心地よい座布団の上にちょこんと座らせてもらうことに、たまらない魅力を感じているのではないか。
官僚に依存せずに政策論議をするのであれば、なにも政調が無くてもいい。
川内議員がテニアン移設に向けて動いたように、党内でどんどん活動し、政府に提案していくことはできる。
自民党の政調のように、事実上そこが政策決定の場になるようなことは、国会を有名無実化するものだ。
三権分立である以上、国会と行政は、一定の緊張関係を持たなくてはいけない。
行政側と族議員が、密室で政策を決める政調を作ってしまったら、多数党が行政を担当する今の制度のもとでは、国会はタダの形式になってしまう。
政調に入り込んで、官僚の手のひらの上で「○○を実現しました」という手柄を立てれば、地元に帰って偉そうな顔ができる。ほとんどの議員が、それを望んでいる。
しかし、小沢一郎は、そういう安易な途を許さなかった。徹底的に有権者の中に入って、話を聞けと言うことを、国会議員の務めとした。つらくて地味な仕事だ。
しかし、その意見をまとめて、政府に提言していくのが、与党の務めではないのか。
官僚の声を聞くのか、有権者の声を聞くのか という選択だ。
残念ながら、今の民主党の中では、多くの議員が、有権者の声を聞くことよりも、耳あたりのいい官僚の声に惑わされることを望んでいる。
もうひとつが、二人区の二人立候補だ。
わたしは、この考えを聞いて、小沢一郎というのはスゴイ政治家だなあと思った。
とりあえず参議院をどうにかするということもさることながら、本気で権力を握るということはどういうことなのか、それを民主党員に体で教えようとしていた。
昨年9月の政権交代は、候補者の努力や資質とは、ほとんど無関係に大量当選となった。
そのお上りさん議員や、長年安逸をむさぼってきたベテラン議員を含めて、死ぬ気で当選しろ、ということを強制した。
今回は参議院だけれども、衆議院でもそういう扱いをするぞ ということが、他の議員にもひしひしと伝わったはずだ。
反小沢といわれる議員の多くは、この厳しさから逃げ出した連中だとも言える。
いわゆる反小沢に、思い切りおもねっている今回の組閣案を見る限り、菅直人は二人区の候補者を見直す可能性が大きい。
これは、棚ぼたで政権を取った民主党にとって、自殺行為である。
地元を歩いて歩いて歩き回れという小沢が説いてきた民主主義の原点が破壊され、官僚に手柄を立てさせてもらって、地元でふんぞり返るセンセが大量に生み出されるだろう。
もし、菅が、選挙対策として、一時しのぎでそうしたのだとしても、いったんマンホールに落ち込んだ水は、地上には戻ってこない。
だから、菅政権は、お試しのつもりが墓穴を掘る政権になる可能性が高い。
一定数の人々は、そうなってから、小沢の主張していたことが何だったのか理解し、理解したときには時すでに遅しということになるのかもしれない。
風邪をひいたせいで、どうも悲観的になってしまう。
いずれにしても、絶望しているほど贅沢な身分ではないので、何がどうなったとしても、何とかして矜恃を保ち生き延びていきたい。

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