2010-07-06(Tue)

消費税は資本主義の敗北宣言

消費税を増税しないと国家予算が破綻するとか何とか、松下政経塾を出た連中が中心になって叫んでいる。無税国家を提唱した松下さんは、こんな弟子ばかり育ててしまったことを、あの世で悔やんでいるだろう。

それはともかく、税金というのは、なんらかの「理由」が無くてはならない。「理由」もなしに人からカネをむしるのは、追いはぎ。

そして、その「理由」の根幹は、今の社会は何によってなり立っているのか ということ。
つまり、今の社会は企業の経済活動によって成り立っている資本主義社会だ ということが、税金のおおもと。

資本による経済活動があり、それによって賃金が支払われ、その賃金によって商品が購買されることによって、資本は増大しながら循環していく。

この資本の循環活動の中で人間が生きていくのが、資本主義社会である、その容れ物が、たとえば日本という国なのではなかったか。

少なくとも資本主義の国というのは、まず第一義的に、資本の活動の容れ物である。

しかし、この資本の活動だけでは、あまりに不均等、不公平が生じる。
中には、生きることができない人も出てくる。
他の容れ物 つまり外国との交渉も必要になる。

そうした、資本だけでは生きていくことのできない不都合を解消するために、国という機関があり、それを運営するために税金というものが必要になる。

資本は、自らの足りない部分を補ってもらう代わりに、循環の中で増大していく資本の一部を税金として拠出する。
つまり、資本主義である限り、法人税や事業税こそが、本来の税金であり、正当な「理由」のある税金である。

一見資本の活動とは関係のなさそうな生活保護など福祉の分野も、それが無くては世情が不安定になり資本の活動の妨げになるから、行われているに過ぎない。
もっとはっきり言えば、あまりに貧富の差を激しいままにしておけば、革命が起きてしまうかもしれない。それを事前に防ぐ ということが国家による福祉の必要性なのである。

■■
さて、法人税と事業税が本来の税金だとして、全ての会社が正直に拠出すれば、それで話は終わる。
ところがこれでは、社長の奥さんに高額の給料を払ったりして会社の利益を減らすと、いとも簡単に脱税できてしまう。そこで、仕方ないから登場するのが所得税だ。だから、所得税は高額の給料にだけかけられるべきものだ。

累進制がどうのこうのと、難しい話はおいといて、資本が増殖したぶんを、給料という形で隠せないようにするのが所得税だ と理解すれば、資本と一体ではない一般社員の平均的な給料は関係ないことがわかる。
年収108万円から税金をむしり取るのは、まったく理のないことだ。
ただ、基準の問題はあるけれども、所得税というものを取る「理由」は確かにある。

そして、消費税。
この資本主義の世の中で、資本がうまく回転し、その中で人々が生きていくための国の活動。それを賄う税金。
その大前提を考えたとき、なんで物を買うのに税金を取られるのか???

資本が回るための、最初の一歩は投資であり、最後の一歩は購入だ。
投資して、物を作って売り、買ってもらった金を回収して、また投資する。
そうやって、回転させたときに、最初の投資より回収したお金が増えているというのが、資本主義の根幹だ。
増えなくなったら、もう終わっている ということ。
持続できない。

そして、その増えた分から税金を拠出するわけだ。
うまく回転するように拠出しているのに、その回転にブレーキをかけるような消費税なんて、何の「理由」もないどころか、邪魔をしている。
資本を回転させている途中で、猫ばばされているようなモンだ。

■■
ところが、カンカラ菅内閣は、本来の法人税を引き下げて、猫ばば消費税を上げるという。
もし、こうしなければ税収が増えないというのであれば、資本主義はもう終わっているということだ。

経団連の会長が、消費税10%に賛成しているhttp://www.jiji.com/jc/zc?k=201006/2010061800380ようだが、なんというだらしのない、ふがいない、根性のない経営者代表か。
「私たちがちゃんと稼いで税金を納めるから、そのかわり稼ぎの邪魔になる消費税はやめてくれ」 となぜ言えないのか。

これは、どうやら資本主義にひびが入っている証拠だと、私は思っている。
たしかに、輸出企業が多いから消費税アップに賛成しているということも事実だろうが、それだけではあるまい。
輸出比率の多い電機や自動車の大企業でも、せいぜい30%くらい。
7割は国内で売るのだから、消費税が上がったら売り上げに響くはずだ。

yushutuhiritu.gif
      (クリックで拡大  経産省・商工業実態基本調査 より)

それに、輸出分の還付というのは、仕入れの時に一度払った消費税が戻ってくるのであって、税率が上がったからといって儲かるワケじゃない。
むしろ、資金繰り的には苦しくなる。

それなのに、なんで経団連は消費税を10%どころか17%にしろ なんて言うのか。
そのぶん法人税をさげるということは、カンカラ菅内閣が公約しているとおりなんだけれども、そもそも儲けの絶対額が少なくなってしまったら、法人税が下がっても+-ゼロじゃないか。

■■
これはつまり、順序が逆なのだろう。
消費税が上がるから売り上げが下がるという話より先に、こういうことなのだろう。
「これから日本の企業は売り上げが落ちていくから、延命措置として法人税を下げてくれ。それで足りない分は、後先考えてる余裕はないから、消費税でも何でもやっちゃってくれ。あとは野となれ山となれだ!」

経団連が先導し、官から菅内閣がお膳立てしている消費税アップは、日本の資本主義の敗北宣言ということだ。
何に負けたのか。

たくさんの要因がありすぎるけれども、大きいところではアメリカと中国ということだろう。
アメリカが、エサを与えてくれる飼育者から、屠って食うための捕殺者に変貌したこと。
安く原料を輸入して、高く加工品を輸出する というビジネスモデルを完全に中国に奪われたこと。
そして、最終購買者である労働者を使い捨てにして、国内の資本循環を壊してしまったこと。

これらの敗北から、なんとか立ち直そうというのが 「国民の生活が第一」というスローガンだった。
あの台詞は、ヒューマニズムなんかじゃない。
日本経済の敗北から、どうやって這い上がるかという冷徹な戦略だった。

しかし、そのスローガンを潰し、官から菅内閣は消費税アップを叫んだ。
それは、「もうダメです。日本の経済は、もうダメなんです。だから、消費税という延命措置にすがるんです。」
と言っているようなもの。

経団連と官から菅内閣の消費税アップにおつき合いすることは、経営者にとっても生活者にとっても、ろくでもない未来を意味する。
最初から敗北宣言して、延命措置にすがりつくような連中に、すり寄ってはいけない。

■■
ちなみに、官から菅内閣のもう一つのペテン、第三の道についてもひと言触れておく。

「強い経済」、「強い財政」、「強い社会保障」だという。
増税し、社会保障分野に投資すれば、経済も回復する ということらしい。

だが、最初の方に書いたことを思いおこしてもらいたい。
国がやる社会保障分野というのは、資本の活動分野にならないから、税金でもって国が負担している。

もっとはっきり言えば、いくらその分野に投資しても、お金は増えない、ということ。
現在、税金で賄っていたり、補助金で成り立っているような事業は、すべてそうだ。

介護とか、教育とか、太陽電池とか、原子力発電とか、とにかく、税金や補助金が無くては成り立たない分野というのは、資本の活動としては最初から成立していない。
成立しないけれども、何らかの理由で必要と資本と国が判断したから、税金が投下されて実行されている。

いやいや、どの分野も参入企業は儲けているじゃないか と言う人は、もう一度復習してもらいたい。
その儲けは、税金なのであり、資本が自分の活動で増殖したお金じゃないということを。
他の資本の活動で増殖したものを税金として徴収し、こっちの不採算分野にもってきたのだ。

資本の活動というのは、循環させることで自己増殖しない限りは、絶対に成り立たない。
じり貧で、そのうち破綻する。あたりまえのことだ。

もともと不採算分野に、いくら税金を投入したからと言って、採算分野=資本が増える分野にはならない。
永遠に不採算分を税金で穴埋めし続けるだけだ。
そして、それはムダでもバラマキでもなく、それが社会保障なのである。

もし逆に、強引に採算分野=資本が増殖する分野にするならば、社会保障は、社会保障ではなくなる。
コイズミ時代顔負けに、カネのない者は早く死ね という ことにしない限り、この分野で資本が増殖できるわけがない。

■■
この自明のことを誤魔化して、強い社会保障とか 第3の道とか言っているのが、官から菅内閣だ。

どうやら、菅直人という人は、前原や枝野らの従米ファシストグループに使い捨てにされる運命のようだが、自ら選んだ裏切りの道なのだから同情の余地はない。

今私たちにできることは、ルシフェルの選択=消費税アップを許さない という決意で7月11日を迎えることだ。


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金をかせいだヤツから収奪する

ご無沙汰をしております。
消費税増税問題が政局として表れる前ですが、拙ブログにおきましても、価値を生み出さないが必要な部門が必ずあり、人が人らしく生きていくためにはその部門は増大する。「民営化」しても資本主義であれば剰余価値を生まないそのような部門は税金を投入すべきで、そこに投入する金は「かせいだヤツから取る」こと…さもなければかせいだ金が「資本」の元にいると、さらなる剰余価値を求めるために、「投機」に走る・・・それが崩壊すすのが恐慌だから、恐慌を防ぐには、余った金を税金として投機市場から吸い上げ、実体経済…福祉や社会資本の維持補修等の分野になりますが…に戻す必要がある旨、書きました。
管理人さんもおっしゃるとおり、「消費税増税」は資本主義が生き残るためではなく、ぶっこわれる前のあがきなのかも知れません。

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No title

菅内閣批判は鋭いな。
ここが不徹底な人が多いので、貴重だ。

財政危機というよりは、水や食糧を入れた資源的制約という意味で、いまのシステムはいずれ破綻します
世界の工場とか言われている中国にしても、歴史的に見ても政情が安定していない、水問題や先進国以上の格差社会に頭を悩ませています
そうでなくても、アウトソーシングやグローバル化を推進する以上は、経団連はともかく、日本国内はやせ細っていって、いくら財政出動をしてもほとんど効果はないでしょう
また資源的制約の話しですが、メタンハイドレードなんかはEPRや品質などの課題があって、資源としては価値がないようです

消費税は0%にできます

今回のカナダでのG20でも各国が財政赤字を削減する方向で共同宣言が出されたのですが、日本だけは例外扱いを受け、日本独自の再建策のなかで、欧州ほど厳しい緊縮財政をしなくてもよいことが認められました。日本のマスメディアは、日本の財政赤字が大きすぎることをその理由として挙げているのですが、これは間違いです。私の記憶が正しければ、共同宣言の文書では「日本のおかれた状況を考慮しつつ・・・日本の(財政)再建を感謝する・・」となっていて(これだけを見ると抽象的でわかりにくいのですが)、これはニューヨーク・タイムズの記事にもあるように、日本の国債は90%以上が国内の投資家によって保有されているので、日本を今回の厳しい財政再建目標の対象外にするというのが真実です。

今回のG20にて、日本が財政危機ではないことが間接的に示されたのです。
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