2010-07-18(Sun)

コンビニで聞いた不思議な呪文

一昨日は、オンボロ じゃなくて かわいい愛車が故障。ダイナモがいかれてしまった。幸い、JAF→なじみの自動車屋さん という流れで、時間も費用も最小の負担で直ってくれた。

ただし、小一時間、家の近くの信号で止まっていたので、何人ものひとに目撃されてしまった。

さて、車は直ったと喜んでいたら、こんどは本体=自分の体がいかれてしまった。
昨日の午前中は、何だかだるいなあと思いながら、子どもを図書館に連れて行ったりしていたのだが、昼前にヘナヘナとダウン。39度近い熱が出て、真っ直ぐ歩くこともできない。

ふだん、しょうしょう無理しすぎなので、そろそろ休まないとヤバイぞという お告げかもしれない、と勝手に解釈して、どっぷりと寝ることにした。
お陰で、何とか微熱くらいまで回復し、昨日の分を取り戻すべく事務所に出てきた。

ろくに断熱もされていない、ウチの事務所は、暑い。熱い。
風通しはいいので、まだ助かるけれども、書類が紙吹雪のように舞い散っていく。

気分直しにアイスクリームを買いに隣のコンビニへ行った。
ちょっと贅沢な150円オーバーのアイスをレジにもっていく。と、レジのお兄ちゃんがおつりを差し出しながら 「カラコロコロカラカラ」とかなんとか、意味不明のつぶやきを発するのである。

あまりに早口かつ小さい声なので、聞き取ることはできず、無視しても良かったのだが、なにせ「カラコロコロカラカラ」とかなんとか、とにかく不気味な言葉だったので、聞き流すこともできずに 「えっ?」と聞き返した。

すると、くだんのお兄ちゃんは、またしても「カラコロコロカラカラ」と繰り返す。
ただし、2回目はこちらも身構えていたので、いくつかの単語を聞き取ることができた。

「からあげクン」とか「わりびき」とか言っているようだ。
なるほど、渡されたレシートには「からあげクン30円割引券」てなものが印刷してある。

まあ、へんな呪いをかけられたのじゃないということが判明したので、安心してコンビニを後にした。こんなことで時間をとられて、150円オーバーのアイスが溶けてしまったら大変だ。


さて、このコンビニ兄ちゃんの呪文を、後で思いかえてしてみると、いろんな問題をはらんでいることが分かる。

時給850円くらいで働いている兄ちゃんにとって、「カラコロコロカラカラ」という例の呪文は、店長に言えと言われたから言っているだけの文句に過ぎない。
それが相手に伝わろうが呪文にしか聞こえなかろうが、どうでもいい。

これは、今の日本の経済を映す鏡のようだ。
大企業は、税制優遇でしっかりと内部留保をため込み、競争が激しいからとサービスを競うことは忘れない。

そのしわ寄せは、下請けと末端の労働者に押し寄せる。
末端の労働は、徹底的につまらないものになり果て、とにかく「やればいいんだろ」というものになり下がる。

それが「カラコロコロカラカラ」であり、その他多くの労働現場で見る実態だ。


私のような建築設計をしているものでも、同じような問題は 当然のことながらある。
まず、建築設計料というもんが、一体いくらなんだということ。

国土交通省が、45坪の住宅を設計するのに必要な設計料として算出しているのは、約700万である。

45坪の住宅といえば、だいたい3000万前後の建築工事費だから、割合にして23%!

イマドキは、設計料10%でもなかなかもらえないことが多いのに、国土交通省は、23%もらいなさいと言う。
逆に言うと、23%分の仕事をしておかないと、あとで責任を問うぞ ということでもある。
特に、構造や耐久性の問題では、本当に裁判になってもおかしくない。

ならば、不動産の6%のように、あたりまえのように受領できるようにしなくては、責任だけ23%ぶん押しつけられて、手に入るのは10%足らず ということになる。
現実に、そうなっている。
あまりに長くダンピングが続いてきたために、今さら上げるに上げられないのである。

これは、私だけじゃなく、全国の設計事務所の99%以上は、その状況で苦しんでいる。
大きい事務所は、トップは苦しんでいないが、下請け会社の設計者は想像を絶する苦しみの中で働いている。
中小は、みな、その日暮らしのなかで、仕事が切れたら廃業 というギリギリの綱渡りをしている。

つまり、今日本で作られている建築も、しょせん「カラコロコロカラカラ」なのである。

中には、それではあまりに寂しいからと、自分の寝る間を削って、少しでも良いものにしようと足掻いている建築家もいる。
けれども、あまり寝不足が過ぎると間違いを犯すし、生身の人間である以上、どっかで体力の限界にぶつかってしまう。


これに対処する方法は、実は一つだけある。
「設計」と「施工」の分離を義務化すること。

工務店が設計と施工を一気にやってしまうことを禁止する。
設計は設計事務所、施工は工務店、と完全分業する。

そうすれば、相互監視も行き届くし、設計事務所が工務店の下請け化している現状から少しでも脱出し、自立していくきっかけになりうる。

設計施工分離 というのは、特殊なことではなく、アメリカをはじめ多くの国では常識。
馬淵国土交通副大臣も、分離が持論。

このあたりまえのことができないのは、ゼネコンのちからが強すぎるから。
あの耐震偽装事件のときが、良いチャンスだったのだが、何のことはない、姉歯という末端の設計士に全責任を押しつけて、設計施工一貫体制の問題には、まったく触れられることなく終わってしまった。

そんなこんなで、官から菅内閣の続く限り、建築が「カラコロコロカラカラ」から脱却することは無いのかもしれない。
政権交代し、馬淵氏が副大臣になったときには、そうしたことも夢見たのだけれど。

微熱に浮かれながら行ったコンビニで、こんなことを感じてしまった。


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 お世話になります。 共通するキーワード=「菅内閣」:国会で日本国が担ってるのは、防衛費・年金ぐらいだと聞く。警察 消防 学校教育 医療関係 その他 直接、国民の生活に必要な行政サービスの8割以上は、地方自治体により提供されいているのです。「菅内閣」の支持率低下中・・・トラックバックをさせて戴きました。<m(__)m>

いつも拝読しています。

いつも拝読しています。
保坂さん、私も応援していましたが残念でした。

羽仁五郎先生の「自伝的戦後史」は、講談社が初版で、文庫にもなりました。

そちらの方が、古書店で安価に入手できます。

No title

「カラコロコロカラカラ」の話は、同感です。
実際コンビニの売り子さんなどは本当に働きものです!頑張っている人は多いです!
ただ、言われたことをただしてるだけ、流されているだけの人が多いです。
実際、さぼらずに大変働く人が多いので、残念な事実です~

先日私の車もいきなりダイナモ発電停止→なんとかゴボゴボと直近のスタンドに避難。
元々「走る屑鉄」だったので即廃車。

> これは、今の日本の経済を映す鏡のようだ。
> 末端の労働は、徹底的につまらないものになり果て、とにかく「やればいいんだろ」というものになり下がる。

巨木に養分を独占され、周りはペンペン草だけ。
リーマンショックもなんのその。
しかし、大企業の上の方にしてもおそらく仕事はつまらない。「つまらない」顔つきばかりだから。
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