2010-08-24(Tue)

小沢一郎の「チカラ」

こんな題名にすると、すぐに「豪腕」とか「政治とカネ」などの単語を思いついてしまうほど、小沢一郎に対する長年にわたるイメージの刷り込みは全国津々浦々に行き届いている。

まあ、自分でも豪腕維新なんて本を出しているくらいだから、そのイメージについては開き直っている部分もあるのだろうが。

ここで、私が話題にしたい「チカラ」は、そういう話ではない。
軽井沢のバーベキューパーティーに出ただけで、政界が蜂の巣をつついたような大騒ぎになる このプレゼンスのことだ。

今や岩手県連代表に過ぎない小沢一郎に、これだけ注目が集まり、期待と憎悪が一身に集中するということは、近年まれに見る政治現象だ。
政治家というのは、国民の期待を背負って歩くのが商売だから、期待されるのは本望かもしれないが、ここまで一点集中というのは、ある意味情けない感じもする。

「他におらんのか!?」と他の政治家に文句をつけたくもなるし、小沢一郎という人物に頼るほか手段をなくしてしまった日本国民のふがいなさということでもある。

そういう情けなさを感じることなく、何でもかんでも小沢一郎におっかぶせて、他人任せにガンバレがんばれと言う人々には、私は冷ややかな目を向けてしまう。

しかし翻って省みれば、それでもやはり次の一歩を託せるのは小沢という人しかいない、と言わざるを得ないし、世論調査などにみられる小沢の評価と、現実は乖離しているようだ。

そのことを、反対側から見てみる。
つまり、小沢を叩くことで人気をとろうとした連中の末路だ。

共産党を支持する一部のファナティックな人たちは、いまだに小沢叩きを続けている。
国民の生活のことよりも、自分たちの票を少々増やすことの方に血道をあげる、醜い行為だ。
自分たちが、「共産党」という響きに徹底的に悪イメージを植え付けられてきたことの、まったく裏返しを小沢に対してやっているのである。
世に言うイジメの連鎖みたいなもんだ。

一時期は党勢が拡大し、意気揚々だった共産党が、なんで惨敗したのか。
比例代表の共産党の得票数と全体の投票率を並べてみる。

衆議院
2003年 459万 /60% →76500
2005年 492万 /67% →73400
2009年 494万 /69% →71500
参議院
2001年 433万 /56% →77300
2004年 436万 /57% →76500
2007年 440万 /59% →74600
2010年 356万 /58% →61400

投票率との割合で見ると、やや減少してはいたものの、コイズミ以降の酷政に対して、共産党は一定の得票数を維持してきた。

ところが、昨年の総選挙でやや減少傾向が大きくなり、今年の参議院選挙では、なんと2割も得票を減らしている。
表面的に見れば、もっとも庶民の味方であるはずの共産党が、ここにきて激減した理由はなんなのか。
ちなみに、2割減は、同じく小沢外しをした挙げ句惨敗した民主党とほぼ同じであり、勝ったと言われている自民党も15%減だ。

マニフェストを壮大な虚構にしようとする菅民主党が断罪されたのと同様に、戦わない共産党は愛想を尽かされたのである。

戦う相手が「国民の生活第一」という小沢であり、自民党と一緒になってヤジを飛ばしているようでは、見限られて当然である。
ファナティックな一部の共産党関係諸氏は、生活を守るために発言する人々へ後から石を投げることを恥とも思わないのだろうが、そういう救いがたい連中はともかく、共産党が国民の見方だと思って支持している方々は、ぜひとも省みて考えてみていただきたい。


これまで何度も書いているように、私は小沢一郎の信奉者でもないし、全面的に支持するものでもない。
彼は改憲を堂々と主張しているし、自衛隊の海外派兵にも国連としてならばドンドンやる気だ。

そんなことは百も承知で、しかし、次の一手は考えなくてはならない。
小沢一郎のチカラを、私たちの生活のために使っていくべきだ。

それが、私たちの未来がドラスティックに決まっていく最近の日々の流れの中で、明日を選択することだと思う。
ベストの答えがないからといって、次の一歩を考えないことは、自らの生きる権利を放棄するに等しい。

赤ん坊のように、お腹がすいたといって泣いていても、誰もほ乳瓶はくわえさせてはくれない。
自分で取りに行く方法を考えなくては。

かつての55年体制では、自民党は飢え死にしない程度のミルクを、ぽっかり開けた口に垂らしてくれた。
自分たちはたらふく食って、国民にはポタポタだったけれども、生きていく程度には黙っていても与えてくれた。

しかし、今はもう違う。そんな潤沢なミルクはどこからも溢れていない。
相手が民主党でも、同じことだ。
そのことを案外分かっておらず、いまだに頭の中が55年体制の反対派のままなのが、共産党の諸君なのかもしれない。

田作の歯ぎしりであったとしても、声を出し続けること。
あきらめないこと。
そして、具体的に選択すること。


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小沢立つべし!

民主党代表選挙が秒読みだ。
官僚主権の政治が戦前(日清、日露)から現在に至るまで支配し今その膿が脳までまわっています。

円高、株安に「慎重に見守る」と言う野田、無策の菅政権(アメリカに対策をするなと言われている。)
ドル安はアメリカの国益(輸出を伸ばす策)です。日本の国益はどこへやら。
3年間は総選挙なしと言う菅、
代表が替わったら解散総選挙と言う蓮ホウ、
四幕僚長の前で

引用始め
 菅氏は、同席した北沢防衛相に「昨日予習したら、大臣は自衛官ではないんですね」と言った。「国務大臣は文民でなければならない」と、憲法に明記してあるのだから、そんなことは当たり前ではないか。これには、さすがに政府内からも「首相は文民統制を理解していないのではないか」との声が出たという。
 さらに、冒頭の挨拶で菅氏は「改めて法律を調べたら首相は自衛隊の最高の指揮監督権を有すると規定されている」と発言した。
引用終わり

おいおい、経済も知らなければ、、、もう呆れて話になりません。
こんな状態だから官僚の言うなりだろう。アメリカも官僚も菅なら組み安し。

年金福祉施設の建設と維持に1兆1300億円が売却総額2221億円だって。
天下り機関をつくり人の金だからと無駄遣いしてきた官僚達は責任を取ったのか。
特別会計には表に出せない悪事がごろごろしている。

学生時代は「全学改革推進会議」なるエセ学生運動をし、市民運動家を演じて傍で「雀ダック」を特許申請し一儲け狙ったその程度の人なのだろう。
この人には思想も信念も見られない。

鳩山はお坊ちゃんで平野、岡田、前原、北沢が旨くやってくれると思って結果は何もできなかった。引退したはずがここに来て変な動きをしている。ただ単に民主党が分裂しないように動いてるだけだろう。鳩山グループももう一枚岩ではない。



国民のためには
金丸が言っていた「乱世の小沢」しかもういない。

No title

小沢氏はやはりのび切っていると僕も思っています。
イギリス流二大政党制というのはわかりますが、どうも言いたいことが(山岡氏をはじめとする側近に)伝わっていないと思うんだよなあ。
これ以上党をひっかきまわさず、味方とはいかずともせめて『中立』の立場を表明してほしいんですが。

ともあれ、小沢氏は選挙に強いですから、民主が『多数党=与党』であり続けるために、少なくとも4年間は党内には必要だとも思っています。
だいぶ民主政権が軌道に乗ったら引退してほしいですけれどもね。

No title

いつも面白く拝見させていただいています。しかし、未だ私の読解力不足のためか、ブログ主様の主張をよく読み取れていないません。毒を飲むつもりで現時点では小沢氏を支持しておられるかもしれませんが、それでも、どうしてそこまで小沢氏を高く評価されるのか未だによく理解できません。

あの普天間の問題さえ、積極的に動かず、むしろ傍観視していた彼が、反米独立派の雄になるとは決して考えられません。それに自らのこと、あるいは自分に向けられた疑惑を国民に向かって懇切丁寧に説明しない時点で政治家としては失格だと思うのですが。ありきたりな批判かもしれません、しかし大切なことだと思います。

それと一般に国民からすれば、反米派であろうが従米派であろうが、護憲派であろうが改憲派であろうが豊かな生活をさせてくれればどちらでも関係ないです。でも小沢さんが豊かな生活をさせてくれるという確信はもてません。予算すらも軽視する人ですから。

No title

小沢が国民の生活第一の政治をやっているという証拠がなにもないのですから。そう叫んでいるだけであって、実態は旧来の政治となにもかわらない。小沢一郎が、いつ、生活を守るための発言をしたのでしょうか?そして、この9カ月、なにか具体的にそういう政策を打ち出したのでしょうか?そこを、教えてほしい。なぜ突如共産党の話が出てくるのかわからないけれど、共産党(や社民党)の政策と小沢一郎の政策をならべて、なぜ小沢一郎の方が国民の生活のためになるか、説明されるべきだと思います。

>小沢一郎という人物に頼るほか手段をなくしてしまった日本国民のふがいなさ

だれも小沢一郎に頼ってなどいないでしょう。国民の多くは小沢一郎を支持などしていないのだから、小沢を批判する勢力に愛想を尽かしたりはしない。実際菅民主党は脱小沢で劇的に支持率を高めたのだから。

あいかわらず、あなたの主張することと、小沢一郎を支持することとが、論理的に結び付かないように思われるのです。小沢の政策というのは、改憲や自衛隊の海外派兵に目をつぶってでも、支持すべきものなのでしょうか?何か、具体性を捨象した、小沢への憧れ、英雄待望論みたいなものが、根底にある気がするのですが。しかし、それは幻想だと思うのです。

なお、共産党は小泉政権以降、一貫して比例の得票率を減らしていますし、劇的に減ったのは、むしろ小泉政権の前期です。別に小沢に反対したから支持がへったわけではありませんよ。

党委員長就任以来の党勢
選挙 当選者数 前回選挙との差 比例区得票率 前回選挙との差
2001年参議院選挙 5 -10 7.91% -6.69%
2003年衆議院選挙 9 -11 7.76% -3.47%
2004年参議院選挙 4 -1 7.80% -0.11%
2005年衆議院選挙 9 ±0 7.25% -0.51%
2007年参議院選挙 3 -1 7.48% -0.32%
2009年衆議院選挙 9 ±0 7.03% -0.22%
2010年参議院選挙 3 ±0 6.10% -1.38%

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