2010-10-03(Sun)

領土問題なんて興味ない

なんて書くと、都痴爺も顔まけに口から泡を飛ばす御仁がたくさんおられるだろうが、本当だから仕方ない。

しょせん、外交なんてダブルスタンダード。あっしはこう思います、ていうのと、そちらさんはそう思ってます、というのを全部白黒付けていたら、国交なんて成立しない。
それぞれが、少しでも有利になるような妥協を模索するのが、外交ってモンでしょ。

1978年に日中平和友好条約の交渉をした園田直と小平が、「棚上げ」を約束したという。これなんか、典型的。
外交に正義を求めるのは、お門違だ。

■■

だいたい、建築の仕事をやっていると、ミニ領土問題にはしょっちゅう遭遇する。
ニュータウンのようなところは、住み始めるときから境界がはっきりしているから、滅多にもめることはないけれども、昔は村だったのが都市化した場所、要するに土地成金の多い地域や、戦争で焼けたあとにできた密集地域などなど、領土問題がそこら中で火を噴いている。

民間どうしだけでなく、官民境界が決められないような地域もたくさんある。
では、みんながみんな裁判しているのかというと、そんなことしたら生活できないから、ほとんどの人は棚上げだ。
土地の売買がない限り、建て替えも相続も、棚上げしたままどうにかこうにか乗り越えていく。
まさに、生きる知恵という感じ。

もしここで、愛国ならぬ愛家精神旺盛なる長男が誕生して、領土問題のある隣のおっちゃんとヘイキで笑って挨拶する親父をつかまえて 「国辱」じゃなくて「家辱」だとか「愛家心はないのか!」なんて叫び出すと、もう大変なことになる。

お隣とはつまらぬことで毎日毎日いさかいが絶えず、家庭内もギスギスと胃の痛くなるような空気。ついに親父はいたたまれずに蒸発、お母ちゃんは心労で倒れ、一家離散。ついに、家を売り払う必要に迫られる。

ところが、売るには境界を確定しなくちゃならない。もちろん、ちょっとやそっとじゃ隣のおっちゃんはハンコをつかない。
そうこう言っているうちにも、先立つものに迫られて、ついに一番不利な条件で境界を決めなくてはならなくなってしまった。

こんな条件で決めるくらいなら、最初からもめる必要なんてなかったのに。この○年間は何だったの・・・ とお母ちゃんはさめざめと涙し、愛家心を煽って親父を追い出した長男は、青ざめて立ちすくむ。

せめて、お母ちゃんの胃潰瘍が早く治ってくれることを願ってやまないけれども、バカ息子がまたしてもムキになって裁判でも始めた日には、確実に寿命が縮むにちがいない。哀れ

■■

これはもちろんフィクション。
そのまま日本に当てはめるつもりでもない。

けど、愛国心を煽ることの愚は、このお話しと50歩100歩だと思う。
規模がデカイだけに、50万倍100万倍と言った方が良いか。

愛国心で飯を食っている産経新聞の記者とか、評論家の連中は、それが飯の種だから愛国心を煽る。
けれども、我々の飯の種は愛国心じゃない。
そこに住む人々は、関わりのある限り大切にしたいけれども、「国」という正体不明のものに魂を抜かれてはいけない。

あの長男も、愛家心ではなく、愛家族心があれば、ぜんぜん違った行動をとったはずだ。
それが、目の前の家族とはちがう「家」という正体不明の観念に縛られた挙げ句に、肝心の家族を壊してしまった。

正体不明の「国」という観念、昔の言葉で言うと「国体」に囚われると、目の前の実態が見えなくなる。
そこに住む国民の利益が見えなくなる。

■■

前原誠司などの、確信犯はもうどうしようもない。
見えなくなるのではなくて、意図的に国民の利益を損なうように行動している。

問題は、その他大勢の政治家や、むしろアメリカの支配に反対していたり、官僚政治に抵抗したりしている人々が、今、「愛国心」という危ない落とし穴に落ちかけていることだ。

そして、まさにそのことが、アメリカの仕掛けた落とし穴だということに、気がついていないということ。

アメリカの主流は、どうやら今後コーポラティズムという方向に進んでいくようだ。
北米に立てこもって、ファシズム=強制的共生で産業構造を作り替え、新たな富の源泉を手に入れようとする。

その時、日本には何を求めるか。
米軍の影響下で自衛隊を増強し、適度に中国と緊張関係を続けていく、そんなアジアの番犬を期待しているだろう。

在日米軍は最小限だけ残し、グアムにいる米軍の費用は日本持ち。
そのために、思いやり予算という名前を変えるそうだ。

その方向から考えると、中国との衝突も、それによって反米愛国がある程度盛り上がることも、結果として「独自武装」が容認されるようになることも、ぜんぶアメリカのシナリオ通り。

反米愛国の人々は、マンマと乗せられていることに気がついてほしい。
今必要なことは 「正義」より飯の種だ。仕事だ。

尖閣だ愛国だと言っているヒマがあったら、どうやって飯の種を確保するか、求人倍率0.3倍のこの世の中でどうやって生き延びていくのか、そのことを考えた方が良い。
外交は、それなりのところで「棚上げ」にしておけばいい。


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comment

名文

ですな
とくに前半、
絵本とかに
してほしい位
それにしても
最近日本に潤いがなくなった。
俺が年とったのかね。

No title

そうですね。
まあ、中国との関係がうまく修復してくれればいいのですが・・・。

ともあれ、小沢氏が強制起訴か。
この人ちょっと気の毒だな。
むっつりしてれば、「不気味」と言われ、たまに笑顔を見せれば「笑ゥせぇるすまんの笑顔」等と言われて・・・。

日本人鉄砲玉化計画?

検察の組織的冤罪が明るみに出る前の9月14日に、小沢氏強制起訴の検察審査会議決を確定させて、
その上で、尖閣で火遊びをやり、外交問題になって小沢待望論が出ても、使えないようにした。
さすがに内ゲバは得意な泡狸です。

しかし、1年生議員を脅すノリで外交が出来るわけがない。それとも、外交はこじれても構わない。日本人を鉄砲玉にしろ、とでも言われているんですかね。

No title

「領土問題なんて興味ない」
「外交に正義を求めるのは、お門違だ」

反戦とか平和とか言っている人がこんな事を言うとは・・・。
がっかりです。

前原は万死に値する!

前原が報道2001で、日本人が血を流さない限りアメリカには助けてもらえない趣旨の発言をしたらしい。親米保守のシンボルのような糞発言だ。

金のみならず血を流せと?!このような国民の生命と財産をアメリカに捧げる厚顔無恥な男が外相である事自体、もはや自民党時代よりも酷い。

愛国保守から教条主義者、マスゴミまでもが、尖閣の件でアメリカ様だの、自主防衛だのと噴き上がっている。そんなの知ったこっちゃない。

みんな暇なのかね?それとも、もう一度先の愚行を繰り返したくて堪らないのかね?きっとそうなんだろう。「死ぬほど」痛い目に遭わないと学習しないらしい。

時が解決する

人間の精神が高まり成熟に向かえば、自ずと、境界線争いは収まっていくだろうし、なので、隣人の行動云々を批判糾弾する事よりも先ず、自分達の抱える病気を治す事でしょう。
この国の政府も中国に負けず劣らず、腐っている事実がある訳です。
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