2017-04-03(Mon)

【森友疑獄事件】 安倍政権をがっつり支える民進党

森友疑獄事件を見ていて改めて気がついたことの1つが

「民進党はやっぱりアホや」

ということだ。

せっかく裏切られた安倍晋三信者が情報ぶちまけてくれたのに、ぜんっぜん安倍の首を取る気がない。
とりあえず、NHKに映るときだけ目立っておこう くらいのあまあまの質問でお茶をにごし、もうそろそろ潮時かなという感じで手じまいしかけている。

自民議員“陰毛事件”スルー 森友の幕引き許す民進の逃げ腰
2017年4月2日 日刊ゲンダイ


この記事に限らず、多くの人が指摘しているように、本気でやるなら予算が通る前に全審議をボイコットして、その間に国民運動も呼びかけて、国会の内外から安倍政権を追い込むくらいのことは、最低限やらなければならない。

追求のやりかたも、籠池総裁や菅野完氏あたりから出てきたネタを場当たり的に追求してみせるだけで、事実を積み重ねて不正を証明することもせず、もっとも効果的なポイントに絞ってキャンペーンすることもせず、マスコミが取り上げているから今のうちにやっておこう という程度のものであった。

共産党は地方議員が大阪府や豊中市の情報を集めて国会議員にあげているので、民進に比べればずっとマシではあったけれども、野党が一丸となって「安倍の首を取る」という動きの中心にはなれなかったことは残念である。
まして、社民や自由のような最小限政党は、個人プレーの域を出ることができなかった。

産経やネトウヨの組織的な民進叩きも始まっているが、民進の幹部はNHKに映る予算委員会の間だけの期間限定で追求するつもりだったのだから、逆効果にしかなっていない。静かに手を引きたかった民進党が、むしろ騒がれることで引くに引けなくなっているのは皮肉な光景である。

少なくとも安倍晋三の首を取ることができる、唯一無二のチャンスを、茶番で終わらせようとする民進党。その姿をみるときに、あらためて、この事実を確認しておかなければならない。

「安倍政権を盤石に支えているのは民進党である」 

2010年5月の鳩山の裏切りに始まって、消費増税に踏み切った菅直人、すべてを売り渡した野田佳彦。
化け物のような現在の安倍政権を生み出したのはこいつらだ。

そして、絶対に野党が勝たないように、間違っても再び政権交代なんてことにならないように、意図的に安倍政権に塩を送る続けることで、自分たち幹部の議席だけを安堵しているのが、民進党である。
間違ってはいけないのは、彼らは 「間違って」 そういうことをしているのではない。 「意図的に」やっているのだ。
それは今に始まったことではなく、古くは総評をつぶすための同盟、社会党に対抗するための民社党 という労組の顔をした体制補完勢力、野党をつぶすための野党の流れをくんでいるのであって、特段おどろくには当たらない。

むしろ、そういう存在だということが、何度も何度も何度も何度も明らかになっているのに、いまだに民進党に何かを期待する人が少なくないということが驚きである。
たしかに、若手の中には、こういう幹部の動きを良く思わない議員も多いとは思う。しかし、彼らもいざとなれば簡単に屈服する。口では勇ましいことを言っていても、内実は完全にヒラメであり、党本部のご意向に背くことは ぜっっったいにしない。

その姿も、私たちはこの数年、ずっと見てきたではないか。
最近でも、ミナセン大阪が野党共同街宣を何回呼びかけても、党本部やら大阪府連やらのお許しがないといって、街宣にすら出てこないのが、民進党の腑抜け予定候補たちである。

もう こんな連中に何かを頼ったり期待したりする発想を、根本から捨て去ることから、一歩を始めるべきなのではないか。



そんなときに、下記の論考は深く考えさせられた。

橋下徹・元大阪市長がアメリカで講演した件、それから売国官僚・高見澤将林(たかみざわのぶしげ)について
2017.4.2 アルルの男ヒロシ


アルルの男こと中田安彦氏が副島隆彦氏の学問道場HPに書いている文章だ。
彼の夢も希望もない話に全面的に同調はしないけれども、
「小沢一郎はそろそろ自らの政治革命の失敗について批判的に総括するべきだと思います。小沢が思っていたほど、日本人は賢くないし、近代人でもない。二大政党制という机上の空論を祭り上げたことに問題がありました。」
という一文には、う~んと唸ってしまった。

私も常々、小沢氏が「民進党を中心に」とか「民進党が野党第一党なんだから」という言い方をするのに、非常に違和感を感じてきた。
民進党がそんなに頼りになるのなら、あのとき分裂しなければよかったのであって、こいつら煮ても焼いても食えん と判断したから国民の生活が第一を立ち上げたのではなかったのか。

そんな民進党が、なんで野党第一党として共闘の中心になることがあるだろうか。そんな幻想を語っている間に、安倍政権は勝利を積み重ね、ついに両院で2/3を確保し、化け物のような独裁政権を完成させてしまった。
その意味では、民進党に望みをつなぐことを示唆した小沢氏にも、その小沢氏を支持してきた私たちにも、安倍化け物政権を支えてきた罪の一端はある。

とはいえ、小沢氏がどう判断しようが、この数年の結果は大きくは変わらなかっただろうから、やはり罪深きは民進党である。

もちろん、各地方や選挙区によって、民進党ともそれなりにうまくやっていく場所もあるだろう。それは否定しない。
しかし、大枠としての民進党は 実は安倍政権を支える足の一本であり、それこそが安倍政権の盤石の強さの秘密である。
それを意識的にやることで民進幹部は身の安全を確保し、そんな幹部にたてつくことのできない口先人間の集団が民進党というものである。
そのことを、改めて骨の髄から認識し直して、新年度に臨みたい。



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なんでボクは家を設計るんだろう  明月社のいえづくり 3

2 からつづく

 コンクリートの寿命はほぼ強度に比例すると言われていて、JASSという国の基準を見るとFc18→30年 Fc24→65年などと書いてある。一般に住宅の基礎に使われるのはFc21というコンクリートなので、ちょうど上記の中間ということになり、設計上の耐久性は47.5年ということになる。あれ?意外と短いぞ。
 200年住宅などという大ボラがコソッと消えた理由の一つがここにある。ほとんどの場合Fc21のコンクリートも測定すると25以上の強度になっているので、50年よりは長くもつと思われるが、それにしても設計上は50年のものを200年と銘打つわけにはいかないだろう。
 明月社の標準仕様では、基礎のコンクリートは一般より一つ上のFc24を使っている。これならば設計上で65年、実質100年くらいは心配ないことになる。それと、Fc21だろうが24だろうが、コンクリートの施工が悪くて隙間だらけでは耐久性はがた落ちなので、基礎屋さんが手抜きをせずにミッチリ詰まったコンクリートを打設してもらうようにすることも重要だ。だからボクは、基礎工事の間はちょっとイヤミだけど2回は現場のチェックに出かけて、現場監督にも基礎屋さんにも緊張感を持って工事してもらうように注意している。

 コンクリートと同じくらい構造体そのものに関わるのが集成材だ。集成材というのはカマボコ板くらいの木材を接着剤で貼り合わせて、柱や梁のような大きな材木にしたもの。欠点を省いて状態の安定した構造材であり、ほとんどの木造住宅メーカーがこの集成材で家を建てている。そして、言うまでもないが集成材の寿命は接着剤の寿命である。接着剤が寿命を迎えると、集成材の家はカマボコ板に戻ってしまい、原型をとどめないほどにバラバラになってしまう。かなり怖い。まあ、実際は一斉にバラバラになるのではなく、一番力がかかっている箇所や劣化の激しい箇所が、バキッとはがれることになるだろう。それでも怖い。
 ほとんどの木造住宅が集成材で建てられている以上、当然ながら集成材の耐久性は明示されているはずだ。と思って探してみるが、実はそのようなものはない。長寿命系の接着剤についてはある程度データも出ているが、住宅の集成材で一般的なイソシアネート系接着剤の寿命については、なんと、誰も保証も断言もしていない。イソシアネート系接着剤はシックハウスの心配がないことから最近の主流になっているが、実は湿気に弱く耐久性は他の接着剤に劣るうえに、これまでの実績も25年ほどしかないというのに。
 もちろん、だからといってイソシアネート系の集成材が25年でバラバラになる、と予言することはできない。東日本大震災や熊本地震の被害報告でも、集成材の剥離は問題になっていないので、現時点で社会問題化するほどの剥離事件はおきておらず、集成材は危ないぞと言ってしまうのは間違いだ。ただハッキリ言えることは、集成材の寿命は「分からない」ということだ。
 寿命の分からないものを、たぶん大丈夫だと言って住み手に勧めるのは嫌なので、ボクは原則として製材品を使う。製材というのは、丸太を四角にカットしただけの材料。もちろん製材品には製材品の欠点があるので、それを補うためのノウハウもあるのだが、それはまた別のところで。とにかく、耐久性に関しては、杉や桧の製材品は千年の実績がある。

 千年もつ杉や桧といえども、雨漏りしてはひとたまりもない。かの設計事務所で教わった「水仕舞い」である。ただ、設計事務所で習ったのは鉄筋コンクリートなどの話だが、木造住宅の実務を長年やってきて分かったことは、木造の水仕舞いの考え方は少し違うということだ。鉄筋コンクリートなどでは、「ここから先は水は一滴も入れない」という絶対の防水ラインが1本あるのに対し、木造の場合は太いラインが1本と細いラインが2本くらいの多重構造になっている。例えば屋根を見ると、屋根材で99%の雨を防ぎ、その下の防水シートで残りの0.9%を防いで、それでも侵入する0.1%は乾燥させる みたいな考え方になっている。外壁も同じ。なぜそんないい加減なことになっているのかと言うと、鉄壁の守りが崩れた時を想定しているからだろうと思われる。
 鉄筋コンクリートでも建物は「動く」。まして木造はかなり動くので、何かの拍子に隙間ができて水が浸入することがないとは言えない。しかも、浸水した時にはコンクリートよりも当然ながら被害は大きい。その不利な条件を克服するために、1本の防衛ラインではなく、0.1x0.1x0.1のように限りなくゼロに近づけておいて、残った0.001はいったん木にしみこませてから乾燥させようという、一見ゆるいシステムになっている。ちなみに、乾燥させるのは雨水だけじゃなくて例えば釘に着く結露などもあるので、どっちみち必要なことでもある。
 こんな話を聞くと、やはり木造住宅は安心できない、と早合点する人もいるかもしれない。でも安心していただきたい。長い期間で考えた時、最初から万が一を想定した多重システムのほうが、強固な単一のシステムよりも、ずっと安定しているからだ。これは、防水だけの話ではなく、防火性や耐震強度などでも同じことが言える。木造は、多くの点で性能が劣っているように見える。しかし、単品で劣っているからこそ、始めから多重防御を組んであり、家というシステムとしてはかえって安心できるようになっている。
 もちろん、手抜きや無知による間違いがあったら元も子もないので、設計も施工も木造住宅というシステムを熟知していることが求められる。とくに雨漏りは木材の天敵であることは間違いない。建物が揺れた時、横殴りの強風の時、毛細管現象、様々な状況を想定した防水の原則を守るようにしたい。

 耐久性のあるコンクリート基礎を作り、集成材ではない木材を使い、雨漏りを防げば、耐久性のある家はできるのだろうか。実は、まだ大事な要素が二つある。どちらも最近の家ではリスクは減っているものの、まだまだ無視することはできない。
 その一つ目は、シロアリだ。土台や柱をスカスカになるまで食べてしまうシロアリ。漢字で書くと白蟻なので、この被害のことを蟻害(ぎがい)と言ったりする。もっとも、白蟻は蟻の仲間ではなく、ゴキブリに近い。家を食べてしまうことから、なにかモンスター的なイメージがあるけれども、一匹一匹はとても弱い生き物だ。知能も低くほとんど学習能力がないと言われている。とにかく目の前にあるものをカジる。知能がそこそこ高い生物は毒を食って仲間が死んでいたら「危ない」と思って逃げていくが、シロアリはお構いなしにカジるので、一番の防御策は点検である。少なくとも数年に1回は、床下と家の外周を点検した方が良い。とくに最近の家の場合は外回りのほうがリスクが高いといえる。
 昔は床下は土のままだったので、シロアリの通行は自由だったが、最近はほぼ例外なくベタ基礎と言って、15センチくらいの厚さのコンクリートが敷き詰められている。縦横に鉄筋が入っているので大きな亀裂もできにくい。これを貫通して出入りするのはシロアリといえどもかなり苦労する。というか、何らかの隙間がないとまず不可能だ。配水管などがこのコンクリートを貫通していると、管とコンクリートの隙間ができるので、こういう箇所を無くすことが重要になる。どうしてもできてしまう時は、念入りにモルタルなどでふさぐ必要がある。
 家の外回りは土に接しているので、シロアリは当然ここから伝って上がろうとするのだが、家の外回りは風が吹いたり日が照ったりする。シロアリは乾燥するとイチコロで、風や日光には至って弱いので、普通は基礎の外側を伝い登ることはあまりない。しかし、長年住んでいる家の周りは、エアコンの室外機やプランターが置かれ、物が積み上がり、スチールの物置が置かれるようになる。シメシメである。影になった隙間を、シロアリはやすやすと這い上がり、土台へと喰い進んでいく。そんなわけで、本気で点検する時は、家の周りに置いてある物をどけてみることが肝心なのである。
 蟻害を最小限に食い止めるためには、土台に毒を塗っておきたいのは山々だ。

4 へつづく
2017-03-31(Fri)

極右と従米 ~トランプと安倍晋三の立ち位置~

昨日の記事が、なかなか分かりにくいという指摘ももらったので、もう少し書き加えてみたい。

まず、基本認識として、メチャおおざっぱだけれども、下図の力関係は前提で話を進めたい。

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これについての事細かな説明は省かせてもらう。

国際金融資本というのは、ゴールドマンサックスなどを筆頭に、世界中のマネー(お金の電子信号)の処分権をほぼ独占的に握っているいくつかの金融グループである。

軍産複合体は、米軍そのものと、ロッキードやボーイングなどの兵器産業、GEやブラックウォーターなどの傭兵企業、焼け跡に乗りこんで稼ぎまくるベクテルなどのゼネコン、GEや三菱電機のような電器メーカー、etc,etc・・・・ もう切りが無い。

この二つの勢力がリンクすると、ちょっと手のつけられない権力を手にすることは、容易に理解できると思う。

そこで問題は、トランプはどこに位置するか だ。
「リベラル」諸氏の頭の中では、この「T」の位置なのだろう

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最右翼で、金融資本にも軍産にもべったり と言うイメージ。
だから、トランプが当選したら アメリカを出て行くなんていうセレブが続々出てきた。

しかし、そのイメージを裏付ける根拠は乏しい。
出ていくと行っていたセレブたちも、引っ越す気配がない。

私は、日米関係については、副島隆彦さんと田中宇さんを、入手できる情報源の中ではいちばん信頼している。
ふたりともトンデモ扱いされることの多い人だが、米紙の焼き直し程度の評論ばかりの日本にあって、この二人の分析は質を異にする。異質であるが故に異端扱いされるが、私はメディアコントロールされたWSJやワシントンポストの記事を属国板に焼き直したくだらない評論より、ずっと信頼できると思っている。

副島氏の放射能についての言説はナンセンスだし、文章の「てにをは」もヒッチャカメッチャカだが、それと日米関係の分析は別だ。
田中氏も結論を多極化というワードにまとめすぎるきらいがあるが、大枠はイデオロギーによる予断を排して、非常に現実を冷静に見ている。

この二人に共通しているのは、トランプの位置づけである。
私自身も目にできる限りでえた情報も含めて考えるに、実際は下図のような位置であろう。

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たしかに右ではあるが極右ではないし、金融資本や軍産とのパイプは作っているが基本は自立である。
この認識が、なかなか理解してもらえない。

理解されないままに、パイプであるはずの軍やゴールドマンサックスのスタッフに母屋を取られかねないところまで、追い詰められている。
左右を超えて、巨悪に立ち向かうべきところなのに、左のリベラルと上の金融資本+軍産が 団結してトランプを叩きのめす、という構図が現在までの米国の状況だ。

ちなみに、安倍晋三はどこにいるかというと、「A」である。
極右であって従属。
ただし、、、 右翼の宿命としてわずかに独立に足をかけざるをえない。

日本の戦後右翼は、岸信介や笹川良一がGHQに屈服して生き延びたところからその歴史は始まっているので、大前提として従米である。
ただし、本質は従米でも、勢力を拡大していくためには、従米一本槍では真性国粋右翼からは愛想を尽かされる。市井の保守や右翼の中には、従米を快く思わない真性国粋は少なくないので、右翼として国政を担っていこうと思えば、ウソでもポーズでも「独立」に片足をかけざるを得ないのである。

これが、安倍晋三のウィークポイントであり、2007年に政権を投げ出したストレスの一因だった。
小泉のように、どこまでも従米であればストレスは少ないが、極右をウリにする安倍の場合は股裂きになる。これは辛いし、ご主人様からも不審の目で見られる。

そんなわけで、安倍晋三は「A」の位置になる。



以上をふまえた上で、安倍晋三は、世界に先駆けてトランプにすり寄ったということを思いだそう。

トランプは、世界の警察を辞めたい。
だから、アジアはアジアで米国の利権を侵さないようにうまいことやってくれ ということだ。

そうなると、安倍の立ち位置の中の「自立」が意味を増してくる。これまでは、人気取りのための方便であった自立が、トランプへのご機嫌取りにもなる という一石二鳥。
もちろん、それは本当の自立ではなく、独自に武装して、独自にアジアににらみをきかせる ということを米国の意向のもとでやる。

それでも、独自武装なんていう単語を聞けば 極右は小躍りするし、独自で中国と睨みあいできるポジションをとれれば、極右は狂喜乱舞する。(当然ながら、バックに米軍がいるというスネオ状態でのことだが)

こうやって、トランプ政権下での安倍の位置を思いやってみると、田中宇さんの言う「日本が台湾に接近して日豪亜同盟を進めようとした」という話も、決して突飛な話ではないことがわかる。
トランプの要望と、自らの人気取りを両立できるのだから。

しかしながら、その動きは、これまで日本を手の内にしてきたジャパンハンドラーズと言われる米国内の勢力にとって、望ましいものではなかった。彼らは、より直接的に日中を不安定にし、戦争を期待している。
CSISなどのハンドラーズ勢力は、まだまだ健在であり、日本の官僚やマスコミはいまだその呪縛に絡め取られている。

そうした背景を見れば、森友学園が「正義」だけで騒がれたわけではない ということは理解できる。



そうして躓いた安倍晋三を見て、よっしゃ!! ついに出番が来た!!! と欣喜雀躍したのが、橋下徹だ。

早速CSISに乗りこんで、「ボクにやらせて~~」と懇願してきた。
トランプを手玉にとってやる という超強気の講演が CSISのお歴々の心に響いたのかどうか。それは、しばらく様子を見ないとわからない。

すくなくとも、橋下徹本人は、やる気のようだ。

世の中は、革新vs保守 とか 右v左 とか 正義VS不正義 みたいな単純な対立項でできているわけではない。
正義のつもりが、究極の不正義を後押ししてしまうことだってある。

自分の「正義」を一度バラして組み立て直すことが必要だ。



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なんでボクは家を設計るんだろう  明月社のいえづくり 2

1 からつづく

 工務店の決め方については、話し始めると一晩かかるので、また改めてということにして、話を前に進めよう。いろんな事情で設計段階から依頼する工務店が決まっている場合は、基本設計が終了した段階で概算見積もりを出しておくことが多い。基本設計の図面では詳しい見積もりはできないので、だいたい100万円単位くらいのおおざっぱな金額の見当をつけておく。予算から大きく外れていないということを確認して進められるので、安心できる。ただし工務店によって金額は1割も2割も違うことがあるので、少し幅を見ておく必要があるけれど。
 概算見積もりがほぼ予算におさまりそうだと分かった段階で、建築確認申請を提出する。建築基準法で決められているから、これを出して確認が降りてからでないと着工できない。木造2階建てであれば提出から1週間以内に確認が降りることになっているのだけれど、実際は自治体への届け出や消防署への経由などがあり、3週間程度かかると思っておいたほうがいいい。
 条件が合うときは「長期優良住宅」の申請も同時にすることになる。年ごとに制度が変わるので約束の限りではないが、運がよければ100万円程度の助成金がもらえることもあるし、税金の優遇なんかもあるので、できるだけ長期優良住宅の取得はお勧めしたい。
20万円ちょっとの申請費用はかかるけど、長い目で見ればお得。
 長期優良住宅についてもちょっと書いておこう。制度ができるきっかけは、福田政権の時の「200年住宅ビジョン」だった。そのご200年という具体的な数字は引っ込めて、長期優良という曖昧な制度になった。普通のコンクリートや接着剤を使って200年とは大ボラが過ぎる話なので、さすがに国交省も遠慮したのだろう。それでも建築基準法ギリギリで作っている住宅に比べると、耐震性、耐久性、断熱性はあきらかにレベルアップすることになるし、運が良ければ補助金も出るので、やっておいて損はない。明月社の家の場合は、長期優良住宅の認定をとってもとらなくてもだいたいそのレベルの性能は確保しているので、補助金をもらえれば丸儲けということになる。

 工務店の見積もりの話に戻ろう。一回目の見積もりで「OK!」になることは、まずない。だいたい最初は少々予算オーバーするのが世の常で、工法や材料を見直したり、工務店が仕入れを検討したり、要求自体を少しだけあきらめたり、そんなことをしながら予算内におさめていく。設計段階で「そんなに希望を爆発させたら絶対に予算オーバーしますよ」といくら説得しても、ほとんどの住み手の方はブレーキがきかなくなる。まあこれは仕方のないこと。それほど家づくりは楽しいのだから。でも、「予算オーバーしたらこれとこれは諦めよう」という腹づもりだけはもっておいてもらわないと、見積もり段階で気分は天国から地獄へ転落することになる。絶対に譲れない部分と、これはオプションと割り切る部分を意識できているかどうかが、幸せな家づくりができるかどうかの分かれ道だ。そんなこんなで見積も結構忙しくて、見積もり期間だけで1ヶ月くらいは見ておいた方がいい。

 ここまでをふりかえると、場所を読むことから始めて、基本設計、実施設計、申請関係、見積もり、という工事が始まる前の段階で、半年以上の時間が過ぎていく。言葉で聞くと長いようだけれども、実際にやってみると住み手もなかなか忙しくて、あっという間の6ヶ月という感想を持つ人が多い。打合せだけでなく、ショールームで水回りや窓などを選んだり、タイミングが合えば完成見学会に参加したり、建て替えの場合は引っ越しの準備もある。普段から多忙な人には、時間をかいくぐるような忙しさになるかもしれないけど、この段階で不完全燃焼だと建てた後から後悔が湧いてくるかもしれないので、なんとか時間を確保してじっくりと取り組むことをお勧めする。

■最初に教わったこと

 30歳を過ぎてから建築の短大を卒業したボクは、学校の紹介で小さな設計事務所に就職した。そして、入社したその月にいきなり「チハイ」というものを経験することになった。チハイ=遅配。要するに給料が出なかったのだ。それまで働いてきた病院やゼネコンでは給料日になると自動的に給料はきちんと振り込まれてたから、そのことに疑いなど持っていなかったボクは、「給料ちょっと待ってくれ」と言われて目が点になった。しかも社長の行動を見ていると、どうやら誰かから逃げ回っているらしく、社長室のブラインドはいつも閉めっぱなしで、隙間から道路を覗いている。なんだかテレビドラマの中みたいだとドキドキしたが、他の所員は慣れているらしく平然としている。遅配と言われても「またか」てなものである。
 そんな状態だからそもそも仕事がない。10年遅れで建築を始めたボクは、とにかくこき使ってほしかったのに、来る日も来る日も仕事がない。なんでこんな状態で求人したのか今でも不思議だが、とにかく仕事がなくて、古株の所員などはベランダで花の栽培に精を出していた。この事務所で憶えたことといったら、今では歴史の遺物と成りはてた青焼きの使い方とか第二原図の修正の仕方とか。
 そんな状態で半年が過ぎ、焦りに焦ったボクは短大の先生に泣きついて別の事務所に移ることにした。ここでは、大学の校舎や学生寮など、初心者にしてはハードルの高い仕事をさせてもらった。一番基本的なスキルは、だいたいここの所長に教えてもらったと思う。中でも、繰り返し言われたのは「建物は動くんだ」ということ。鉄筋コンクリートの建物でも、少し風が吹けば動き、もちろん地震があれば動き、経年変化でも動く。それを見越して作らなくてはいけない。これは、初心者には目から鱗だった。さらに強調されたのは、「水仕舞い」。雨水をここで止める、という明確なラインを作れ ということ。当たり前のように聞こえるかもしれないけれども、これがアイマイになっているケースは実に多い。何年も後になって現場の実務をたくさん見るようになってから、その時の「水仕舞い」の教えの意味がよく理解できた。建物の耐久性てのは、華やかなデザインとは無縁のこうしたジミな設計のスキルで支えられている。

 住宅の性能の中でも「耐久性」はとかく後回しにされがちだ。耐震性、断熱(省エネ)性、デザイン、自然素材、価格 こうした話は営業トークにもてんこ盛りだし、どこの住宅会社のホームページを見ても「どんなもんだい」とばかりに書き連ねてある。そんな言葉の洪水の中で、「耐久性」は埋もれている感がある。200年住宅ビジョンがコソッと表舞台から引っ込んで以来、「耐久性」は住宅性能の主役の座を明け渡してしまった。裏を返せば、普通にちゃんと作ってあれば、どの住宅も「耐久性」は大差ないということでもあったりする。
 なぜかと言うと、現在主流になっている木造住宅の工法なら、「耐久性」に最も影響大なのがコンクリートと接着剤の寿命だからだ。基礎を作っているコンクリートと、柱や梁などの主要な構造部材になっている集成材を貼り合わせている接着剤。この二つのうち短い方の寿命が、すなわちその住宅の寿命であるといえる。他の部分がいくら長持ちしたり補修できたりしても、基礎と構造体を丸ごと補修するのは建て直すより費用がかかるほど困難なので、現実的には基礎コンクリートか構造用集成材の寿命が家の寿命であると考えて間違いじゃない。
 では、長期優良住宅を含めて今建てられている住宅の基礎コンクリートは、どれくらいの寿命なんだろう。

3につづく

2017-03-30(Thu)

丹田に力を入れて考えてみよう

今日は思いもよらない仕事のキャンセルがあって、我が身の不徳に意気消沈して地中埋設物になりそうな勢いだったのだが、日暮れとともに少し気力が復活してきたので、ふんんばって文章を書いてみようと思う。

まず朝から不穏な文章を読んでしまったのが、今日のケチの付き始めだった。
不穏な文章というのは、これだ。論考の最後だけ引用させてもらう。主旨を理解するには、全部読んでいただきたい。

台湾に接近し日豪亜同盟を指向する日本
2017年3月29日   田中宇

(略)
 実のところ、日本が台湾に接近することによる喫緊の問題は、中国との関係でない。日本が、米国(軍産)から自立した外交政策をとることを最も嫌う、日本外務省など日本の軍産系の勢力が、安倍政権のスキャンダルを扇動し、安倍を辞めさせて、もっと軍産の言うことを聞く指導者とすり替え、日豪亜的なことや、安倍がメルケルなどと組んで米国の保護主義を批判しつつ自由貿易の重要性を提唱するような勝手な真似をさせないようにしたがっている動きの方が、緊急の問題だ。 (Abe eager to reaffirm Japan’s global position)

 日本のリベラル派のほとんどは、安倍憎しの観点から、ことの本質に気づかないまま、対米自立し始めた安倍を辞めさせようとする軍産系のスキャンダル扇動の動きに乗ってしまっている。トランプを嫌うあまり、トランプ敵視の軍産の傀儡になってしまった米国のリベラル派と同じだ。日本(や米国やイスラエルや西欧)は、左からだと転換できない。右からしか転換できない(極右になった挙句に米国覇権を崩し、多極化する)。それは以前から感じられていた。

(引用以上)

こういう話になると、「トランプ=悪魔」 「安倍=極悪人」という単純な図式だけで判断する人たちは、かさにかかって非難し出すのだが、田中氏は緻密に情報を集めて それに基づいた推論をしているので、事実は事実として読んだ上で、冷静に判断をしてほしい。

たしかに戦争大好きの安倍は極悪人だと思うけれども、そのことと情勢分析は別物だ。
極悪人で戦争大好きの安倍晋三が、大戦争を遂行したい米国の軍産複合体にとってジャマになる ということだってありうるのだ。

もとより、森友疑獄事件がこれだけ大騒ぎになったのは、CSISなどに代表的なジャパンハンドラーズやその親玉である軍産複合体の「許可」があったからだ。そうでなければ、マスコミがこんなに大々的に報じることはできない。
それは私も そうだろうと最初から思っていた。

それでも、あまりにも傍若無人な安倍晋三を引きずり下ろすことができれば、それは日本人にとって大事な経験になる。
またこの金のなる木を暴くことは、安倍にとっての資金源を絶つことにもなり、意味は大きいと考えてきた。それは、今でも変わらない。

しかし、トランプVS軍産複合体+国際金融資本のパワーバランスが、徐々に軍産側が押しまくるようになりトランプは思うように政権運営できなくなっているのが明らかになってきた。
そうなると、安倍を追い落とすのはいいけれども、その後を考えておかないと、もっと酷いことになる可能性が高い。



こういう背景をふまえた上で、一昨日も書いたこの件を見ると、なお一層ヤバさ加減が増幅されるのである。

「日本に強力な外圧を」=自衛隊の役割強化で-維新・橋下氏
2017.3.28 時事


橋下が言ったことは、米国側から見ると 「花はトランプ 実は軍産」ということだ。
当面は政権にあるトランプを褒めちぎって花を持たせながら、果実はすべて軍産に渡るように日本も血を流す というのだ。
いかにも橋下らしい口八丁であり、「ボクなら安倍さんより ずっとうまくやって見せますよ」 という強烈なプレゼンテーションだった。

もちろん、橋下は自分からポスト安倍に名乗りを上げることはしない。都議選で自民が壊滅状態になり、自民党内から「勝てる目玉商品」待望論が噴き出すのを待っている。
先に口を開けば安売りすることになるなんてことは基本中の基本であり、橋下の交渉術の中ではイロハにも入らないだろう。

だから、直接「橋下出馬」というニュースは当分流れないけれども、何かにつけて目立つことをやり続けるはずだ。
森友事件でも 「橋を架けたのは自分」とか言ったりして、ほんのちょっとだけミスを認めることで 注目を集めようとしている。
夏に向けては、豊洲市場問題で、スタンドプレーを始めるに違いない。

そういう橋下の動きを、マスコミがじゃんじゃん取り上げ始めたら、ジャパンハンドラーズが本気で橋下を「採用」したということの証左だろう。
ワシントンでの試験に合格というわけだ。

今、安倍晋三を追い落とそうと汗を流している面々は、ポスト安倍のことを考えているだろうか。
それは自民党内のことだから、どうしようもない?
どうせ麻生になるんでしょ と諦めている?

ジャパンハンドラーズにとっては、財務省もまたハンドリングに逆らう気にくわない役所だ。基本は従米であっても、何かにつけて従米よりも省益を優先させる。その代理人である麻生を、安倍の後釜に据えるだろうか。

岸田は外務大臣として 核禁止条約の交渉に参加すると意気込んでいたが、あえなく潰された。「やっぱ出ない」と言った時の消沈した表情からは、腐っても広島1区なのかと思われるものがあった。
嬉々としてジャパンハンドラーズの手先になるには、やはり役不足に見える。

2012年に安倍と総裁選を争った石破茂はどうか。彼は(内容は別にして)筋論や責任を重視するので、ジャパンハンドラーズの言うなりに2万パーセントも一夜で覆すような芸当はできないだろう。しかも、明言はしないが独立志向がある。ハンドラーズにとって、一番避けたいポスト安倍であろう。

解散にならないかぎり自民党か自民党が認めた人間しか首班指名されない。
もし解散になっても、不動の腑抜け政党=民進党がそびえているかぎり、野党が政権を奪うことはありえない。
であるならば、野党側が今するべきは、まだしもマシなポスト安倍候補と話をつけることではないのか。

私は、今の自民党のなかで限定するならば、石破茂しかなかろうと思っている。
それは、たんなる椅子取りゲームの話ではなく、石破のブログなどを読んでみて、やはり彼なりの筋は通していると感じるからだ。

石破茂のオフィシャルブログ

もちろん、自党の沖縄選出議員を屈服させたあの一件や、デモをテロになぞらえたり、思い起こせば腹の立つことはもちろんてんこ盛りにある。
しかし、じゃあ誰なんだと言った時に、安倍晋三を筆頭にもはや「言葉が通じない」「言葉が意味を失ってしまった」政治家が居並ぶ中で、まだしも「言葉が意味を残している」政治家なのではないかと思うのである。

なんでも白か黒かで決めつけることは、たしかに気分はいいし簡単だ。
しかし、客観的にはそれが最悪の事態を促進していることはないだろうか。
日本にとって、最悪の選択肢である 橋下総理 を後押ししてしまうことはないのだろうか。

熱い頭を冷やしながら 慎重に考えてみたい。



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なんでボクは家を設計るんだろう  明月社のいえづくり 1

 光陰矢の如し。「ん?おかしいんちゃう。光のほうが矢よりも早いやろ。」「いやいや、光陰ちゅうのは月日のことやで」などとどうでもいいことを考えているうちに、光陰は過ぎ去る。ボクが明月社を始めてから、もう10年以上が過ぎ去ってしまった。そのころ彰国社から出版した「家を建てる。」の内容にも、いろいろと足したり引いたりする必要がでてきたようだし、多くの家を設計させてもらう中で気が付いたこともたくさんある。世の中の技術や製品の進化もあるし、木の家のおおもとである日本の林業の変化もある。
 てなことで、久しぶりに家づくりについてまとめて書いてみようと思い立った。


■建築っておもろそうやな

 ボクは30歳の直前まで病院で事務職をしていた。受付のお兄さんだった。地域医療に力をいれた病院でそれなりにやりがいもあったんだけれども、生来ボクは「人に命じられて何かをする」ということが苦手。医師という絶対的存在のある病院での仕事には向いていないなあ とも感じていた。
 「もう30かあ。方向転換するなら今やなあ。」なんて言いながら漠然と色んな職業を想像していたある日、とある建築家の書いた本を読んで「こんな仕事おもろそうやなあ」と思ったのが、建築を始めるきっかけだった。いたって単純。たいした志もなく、なんとなく面白そうで建築を始めてしまった。
 30歳になる年の春に惜しまれつつ(ってことにしておこう)病院を退職し、昼はゼネコンに勤めながら夜は建築の学校に通った。大阪工業大学短期大学部建築学科 という長い名前。夜間のみの2年間で2級建築士の受験資格がとれるというので即決。社会人入試で滑り込み、ついでに特待生もゲットして授業料もおまけしてもらった。(ちなみにこの短期大学部は10年くらい前に無くなってしまった。母校がなくなるってのは寂しいもんだね。)
 ここで出会った先生の影響は大きかった。とくに主任のK先生は講師控室でビールをちびちびやりながら製図指導するというツワモノで、夜9時に講義が終わると「おい行くぞ」と学校の隣の居酒屋に連れて行かれるという毎日。終電の時間まで建築の話やクラシック音楽の話を延々と聞かされた。K先生は不思議なことにほとんど一方的に自分が話し続けているのに、ボクがなにか悩んでいると、バッハとベートーベンの合間に、脈絡なくアドバイスが挟まっていたりする。超能力?と思ったりしつつ、濃密な夜間学校の時間は過ぎていった。
 夜間の短大なので卒論はなかったが、一応卒業設計はあり、ボクは銭湯とギャラリーの複合施設を描いた。当時住んでいたの大阪から二駅の桜宮で、北側には大病院や超高層マンションなどが並ぶ表通り、南側にはラブホテルが林立するディープ桜宮。その間に大きな空地があった。ここに何か建てるとしたら・・・そう発想してみた。街の新旧が無理なく交差する場。土地に込められた歴史や想いを壊さない開発。そんなことを考えながら稚拙な図面や模型を作成した。そして、その考えは今でもボクの中にある。

 場所の持っている力、存在する流れ、ハッキリ目に見える要素とそうでないもの。それを感覚的に読み取るのが、建築家の最初の仕事だ。住み手が何を望むかとか、建築家が何を表現したいかなんていう話の前に、その場所を読み取るということ。逆に言うと、ボクは場所を特定しない建物の設計はできない。実際に建たないものでも、実際の場所を想定しないと、な~んにもアイディアが浮かばない。
 ちと気取って言うなら、流れ、軸、地域の空気、そうした要素と住み手の暮らし方をどうあわせるか、そこに設計の醍醐味がある。今あるものをどれだけ活かすかという、実はすごく保守的な仕事だ。
 場所を知ったら、次は住み手(≒施主さん)の話を聞く。でも、住み手の暮らし方はいくら聞き取りをしてもなかなか分からない。自己表現の得意な施主であれば、ある程度伝わるけれど、多くの場合はジッと聞いていると「4LDKで、収納はたくさん」みたいな話になってしまう。そんなときボクは、こちらから質問をすることにしている。「お料理は好きですか」「晩ご飯のあとはどうされていますか」「テレビはよく見ますか」「家族の趣味はなんですか」「休みの日は何をしていますか」「新しい家になったらやってみたいことは」などなど、ストーカーぽいインタビューが続くことになる。
 これから家を建てる人に勧めたいのは、家族の生活パターンを紙に書いて把握すること。それをどう改善したいのか話し合っておくこと。家の形や色なんかより、ずっとずっと大事なことだ。場所の特性と、家族の暮らし方 それが建築家に伝われば、実は仕事は半分終わったようなもの。そこから先は、建築家の技量次第。ダメな建築家はいくらひねってもダメだし、マトモな建築家であればマトモな答えが自ずと出てくる。ダメっていうもの二通りあって、本当に能力が無いダメと、相性が悪いダメ。どちらも避けて通らないと、後で泣きを見ることになる。
 だから、建築家が提示するファーストプランが大事。ファーストプランていうのは最初の現地調査と聞き取りを持ち帰って、次回に建築家が持ってくる図面。これを見て、細かいことはともかく「ああいいな」と感じるのか、「なんだかなあ」と感じるのか。「詳しい理由は分からないけど、なんだかなあ」と感じたらやめておいた方がいい。直感は案外当たるから。
 ただ注意したいのは、あまりにリアルなCGや華美に飾り立てたプレゼンは、大事なことが伝わらない、てこと。紙面のウワツラに目を奪われて、建築家の意図が伝わらない。建築家もそういう目くらましに頼るべきではないし、住み手も欺されないように注意したい。ボクはシンプルな平面プランと、必要ならば簡単な立体CGか模型を提示するようにしている。それで相性を判断してもらい、「合わないと思ったら遠慮なく断って下さい。このまま進めようという気持ちになってもらえるなら、設計契約をお願いします。」と言う。どんなに見た目がよくても、「伝わらない」感覚をもったまま中途半端に進めるのはお互いにとって不幸なことだから、ここは大事なところだ。
 なんで「伝わる」とか「なんだかなあ」みたいないい加減なもんで判断できるのかというと、その前の段階で「場所の特性」と「家族の暮らし方」の話をしているから。そこで住み手がしっかり話をできていると、返ってきた答え(ファーストプラン)を見た時に善し悪しを感じることができるわけ。逆に言うと「4LDKで、収納はたくさん」みたいな要望しか出していないと、返ってきた答えを見ても表面的なキレイさしか目に映らない。危ない危ない。

 さて、ファーストプランを見て前に進めよう、という話になれば、そこから本格的に設計作業に入ることになる。プランを示しながら、あーだこーだと引き続き聞き取りを進める。最初のインタビューでは出てこなかった話が、「これじゃ あれができない」とか「この間取りだと これをするのに不便」とかどんどん出てくる。そういう話が出切ってしまうまで何回も繰り返す。聞いて描いて聞いて描いて、平均するとプランはだいたい5回くらい提示しているかな。だいたい3ヶ月かけてこの作業、すなわち基本設計をやる。基本設計で、間取り、立体的な家の形、主な使用材料 なんかを決めてしまうので、どんな家になるかはほぼこの段階で決まってしまう。住み手にとってはいちばん重要な段階だ。
 基本設計がOKてことになると、そこからは実施設計という詳細図面の作成に入る。主に、工務店が詳しい見積もりをしたり、実際の工事の手配をしたりするための図面だ。有名建築家の図面などを見学すると、微に入り細に入り、ここまで描くかという詳しい詳しい図面を描く人も多い。柱の断面に年輪まで描いてあってびっくりしたこともある。たしかに、図面を見ただけで圧倒されるのだが、実際に見積もりと施工にそこまでの図面が必要かというと、必要ではない。ではなぜ彼らはあれほど精緻な図面を描くのか。白井晟一という戦中戦後にかけて活躍した巨匠は、6Hの鉛筆を鋭くとがらせて細かい細かい図面を描いていたそうだ。慣れない弟子が線を引くとスーと紙が切れてはじめから書き直しなんてこともあったそうだ。なぜそんなことをするのかと弟子が問うたところ、「工務店に言うことをきかせるため」という旨の答えがあったとか。
 なるほど、戦後に雨後の竹の子のように現れた自称工務店は、玉石混淆と言うよりも、石の中にわずかに玉があるような状態で、そんなダイクならぬダイハチやダイシチを抱えていた工務店は、それ自体が芸術品のような図面を見ただけで逃げ出したことだろう。設計者の本気を受け止める気概のある工務店でなければ、取り組もうという気にすらならない。それが、精緻極まる図面の効能なのだろう。
 しかし、最近の住宅の施工は、戦中戦後の時期とは大きく異なる。工法も部材も法律もかなりの程度まで成熟しているから、素材をいちから作るということはほとんどなくて、選択と組み合わせで出来上がってしまう。頑なにそうした既製品を拒否する人もいるけど、ボクは成熟した技術は採用すべきだと思っている。そのことで、コストパーフォーマンスは何倍にもなるのだから。
 正確な選択と組み合わせをするためには、名人芸は必要なくて。まじめで正直で理解力があれば十分だ。だからボクは、図面には余計なことは描かない。正確な選択を伝えるためには、柱の断面の木目模様は、ジャマになることはあっても理解を助けることにはならないからだ。その代わり、細かい図面がないと理解できない例外部分は、部分的に詳しい図面を描いて検討する。コンピューターの中では原寸(本物と同じ大きさ)で検討している。

 ついつい図面の話が長くなってしまった。こうやって、工務店に設計内容を正確に伝えるのが実施設計だ。スイッチ、コンセント、照明器具の位置決めや、構造計算もこの段階に入る。実施設計の段階は、期間にして2ヶ月程度。主な打合せは、2~3回ということになる。これが終わると、住み手と設計者で図面の最終確認をおこない、その図面を工務店に渡し、見積もりに入る。

2 へ続く) 

2017-03-28(Tue)

【非常事態】橋下徹がポスト安倍に名乗りをあげるつもりのようだ

非常事態なので、本日2本目の記事。

23日の証人喚問以来、ツイート魔の橋下徹が沈黙していると 巷でも噂になっていたが、なんと米国に飛んでこんなことをしていた。


橋下氏「米は強力な外圧を」 同盟強化へ意識改革訴え20170328-3.jpg
2017/3/2 日経


日本維新の会の法律政策顧問を務める橋下徹前大阪市長は27日、首都ワシントンで講演し、日米同盟強化に向けて日本国民の意識を変えるため「米国に強力な外圧をかけてもらいたい」と述べた。トランプ大統領に「『在日米軍の撤退』を言えば日本人は大慌てだ」と呼びかけ、そうした外圧がなければ防衛費拡大や日本の軍事的貢献の拡大は難しいと説明した。
(略)
学校法人「森友学園」への国有地払い下げ問題では「わずか数億円の国有地売買を巡って日本の国会は大騒ぎになっている」と述べた。
(引用以上)

橋下徹前大阪市長がDCで講演 トランプ氏に「強力な外圧」求める 森友学園騒動も揶揄
2017.3.28 産経


47歳の自らと同じか、より若い世代の国民は憲法9条を重視する教育を受けてきたため「米国が核戦争を覚悟しているか、尖閣という小さな島のために米兵の血を流す覚悟をしてくれているかについては疑問に思っている」と指摘した。

 橋下氏は、日米の政治エスタブリッシュメント(支配階層)が合意しても、国民が納得しなければ、共同声明は「茶番劇的」になると指摘。「米国(トランプ政権)から剛速球を投げ、自立を求め、在日米軍の撤退を言えば日本人、在日米軍基地に反対といっていた朝日新聞や毎日新聞は大慌てだ」と語り、在日米軍の必要性を知らせるためにも外圧が必要だとした。

 その上で「米国が日本のために血を流し、日本は米国のために血を流すのが本来の日米同盟の基礎だ」と述べるとともに、日米同盟の深化に「普通の民間人、普通の国民」として取り組むとした。
(引用以上)

ジャパンハンドラーズの牙城 CSISで、以上のようなことを言ったらしい。

まとめると

1.日本人は米軍のために血を流すべき

2.防衛費も拡大すべき

3.そのために9条や平和教育やリベラル思想が障害

4.在日米軍を引き上げると恫喝してその障害を壊してほしい

5.自分もそのために頑張る

6.だから森友学園問題は水に流してください

ということだ。

ではなぜこのタイミングで わざわざワシントンのCSIS詣でをしたのか。

ひとつは、森友疑獄で自分を含めて松井一郎以下の関与がバレバレになりつつあるからだ。
もうひとつは、ポスト安倍の争いが始まっているからだ。

攻めは最大の防御なり ということだ。
維新の方針は、早いこと安倍晋三に辞めてもらい、ポスト安倍に橋下を担ぎ上げることで一気に話題をそらし、森友事件を無かったことにしようということではないか。

まさに、まとめの5と6が本音中の本音であり、そのために トランプ側も軍産につながるジャパンハンドラーズも双方が納得する理屈を考えて最大級のオベンチャラを一席ぶって見せたのだ。

橋下は、2012年のはじめ頃まで、自民党の政権奪還の隠し球として用意されていた。
しかし、安倍晋三の勢いが急上昇し、9月の総裁選を制することで、橋下総理の目はなくなった。

その安倍晋三が辞任止むなしの情勢で、橋下がふたたびその気になってもおかしくはない。
まして、それ以外に維新が森友事件を乗り切る方法が見当たらないのだから、なおさらだ。

森友学園の実質倒産の余波をまともに被った建築業者とその下請けが、あることあること、これからどんどんしゃべり出したら、維新の逃げ道はなくなる。
その前に、なんとかして世間の目を森友からそらさなくてはならない。

つい先日まで蜜月だったはずの維新と安倍官邸が、なにやら責任のなすりつけあいになってきたのも、維新のこの戦略のためだろう。

いくら窮余の策とはいえ、橋下徹をなめてはいけない。
みずから政治はポピュリズムと言い切るだけあって、あの脳みその回転率と立ち回りのキレは、なかなか並ぶものがない。

もし本当に、私の見立て通りになると、一気に話題をさらっていく可能性がある。
「独自核武装か 双方が血を流す安全保障か」という二者択一を無理矢理設定し、そこへ全ての話題を持っていこうとするだろう。
そして、リベラルの諸君は、こういう設定をされると条件反射で 「反対!!!」と全力で土俵に乗ってしまう、ということを橋下は読んでいるのだ。

これはヤバいぞ。

皆々さま 早急に対策をたてねば




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2017-03-28(Tue)

【森友疑獄事件】安倍晋三は嫌いだけど昭恵さんは大好きという方へ

今日はブログお休みする予定だったのだけれど、昨夜から今朝にかけて気が滅入るものを2連チャンで目にしたので、ちょっとだけ書いておく。

まずはたまたま誰かがツイートしていて知ったこれ。
一部だけを引用させてもらうが、誤解を生じないように全文を読まれることをお勧めしておく。

俺が知ってる安倍昭恵さん。
2017-03-24 てんつくマン


(冒頭略)
正直、おいらは自民党のやり方が好きじゃないので安倍さんも好きじゃない。
でも、昭恵さんはめっちゃざっくばらんで愛されキャラやった。
俺は二人が出会うセッティングの場所に遅れて行ったんやけど昭恵さんはお酒で出来上がっていた。
三宅洋平と意気投合してた。
二人とも目指しているところは同じ。
それは
『調和な世界』
(略)
僕が凄いって思ったのはお酒の飲み方で、とにかく飲む。
はじめて出会った人の前で酔うっていうのは人を信じてないと出来ないこと。
だから、俺は昭恵さんめっちゃ凄いって思った。
好きになったし尊敬した。
(以下略 引用以上)

私が三宅氏から聞いた話も、もちろんこんな昭恵絶賛ではぜんぜん無かったけれども、大きな論理は同様だったように記憶している。

総論として私の感想は、以下の通り。

「権力との対峙」という観点をすっ飛ばしたレジスタンスや自己表現活動は、容易にファシズムに絡め取られる。
とくに、何かしら目に見えないものへの依拠がある場合には、その傾向が顕著である。
安倍昭恵は、安倍晋三と二人三脚の極右政治活動家として、こうした傾向のあるグループを担当していた。

ということ。
20170328-1.jpg
また酒のことだけ言うならば、泥酔しながら冷静に他人を手玉にとる人は立場や職業を問わずいくらでもいる、ということはオトナだったら、いやイマドキ子どもでも知っている。

酒の話はともかくとして、3.11以降、それまでは単一課題や環境問題の枠から出ないで政治とは距離をおいてきた人たちが、政治を何とかしないとどうにもならないという現実に気が付き、権力をとること≒選挙にも積極的に関わるようになってきた。山本太郎さんはその象徴とも言うべき人だろう。
そして関われば関わるほど、官僚・警察・政治・財界・・・もろもろが一体となった目の前の「権力」と具体的に日々対峙することを余儀なくされてきた。

一方で、そうした権力との対峙よりも、「自分らしさ」とか「生き方」を大事にするレジスタンスもまた多くの人の共感を得ることになった。それが大きな形になったのが、三宅洋平氏の選挙フェスの運動だった、と私は評価している。
もちろんこれ自体は悪いわけではない。これまでの「運動」になかった視点を提示もしている。

しかし、森友事件のお陰で安倍昭恵の正体が明らかになった今、「自分らしさ」運動の危うさも見えてきた。
ここでまた一つ学んで前に進むのか、見て見ぬ振りをして終わらせるのか。そこを注目している。



さて、朝になりテレビをつけると、今度は首相官邸挺身隊の山口敬之の姿が。
もうこの顔を見ただけで辟易する。ああ 寝覚めが悪い。

しかし、しばらく見ていると、山口はほとんど晒し者になっており、官邸もかなり追い込まれているな という印象は持った。
最後は大声でわめきちらし、ついに森友コーナーの後半の時間を潰してしまった。
目の前の寺脇氏をトンチンカンと罵倒しながら、なんとしても死守しようとした一線は
「FAXはゼロ回答」 ということだった。

20170328-2.jpg つまり、谷査恵子公務員の行動が公務であるという線はもうやむを得ない。でも、あの回答はゼロ回答であり、「関わった」にはあたらない で逃げ切るというのが首相官邸の方針だ。
谷の上司である 首相政策秘書官・今井尚哉たちの設定した、ギリギリの防衛ライン。

ということは、ここを狙え ということだ。

ゼロ回答ではなく、「口利きの顛末」を報告した文書~安倍夫人付き政府職員発のFAX~
醍醐聰のブログ 2017年3月25日


ゼロ回答ではぜんぜん無いと論証し、野党が「忖度」で攻める無意味さも同時に斬る上記ブログの指摘は重要だ。
ちなみに、醍醐聰さんは東大名誉教授の会計学者で、ブログも超理屈っぽくって読むのが大変だが、それだけ緻密。

「忖度」ではなく、「口利き」だということを、徹底的に証明し、国民にもわかりやすく見えるようにして、安倍晋三と昭恵を追い詰めること。

ここがまさに 権力との対峙点である。




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2017-03-27(Mon)

【森友疑獄事件】安倍晋三の権力の源泉を考える

権力って何か。

それは 「他人を自分の意のままに動かす力」 のことだ。
その気にさせて動かす時もあるが、嫌がるものを無理矢理にでも動かす力 を意味することが多い。

そんなことが なんでできるのだろうか。
その力の源はなんなのだろうか。
非常にわかりやすい解説があったので紹介しておきたい

『韓非子』権力の3つの源泉を活用する方法 作家 守屋 淳=文
PRESIDENT 2010年3月29日号


よくTVの時代劇を見ていると、絵に描いたような悪代官が、町娘にお酌を強要するシーンが出てくる。
すると突然、襖がガラリとあき、隣の部屋には布団と高枕が2つ。すかさず悪代官は、
「わしに逆らうと、どうなるかわかっておろうな」
と女性に手を伸ばし――。

この時代劇の超定番パターン、面白いことに「権力」の在り様を見事に描き出しているのだ。
まず悪代官は、権力を使って女性を意のままにしようとする。これは実は権力の定義そのもの。つまり、「他人を思うように操る力」こそ権力の意味なのだ。

しかしなぜ権力は、人を思うように操る力になり得るのだろう。そのポイントとなるのが、
「わしに逆らうと、どうなるかわかっておろうな」
というセリフ。相手が、「こうされたくないなあ」という急所を握っているからこそ、力が揮ふるえるわけだ。時代劇でいえば、
「父親を死刑にしちゃうぞ」
「お前の家を破産させるぞ」
(引用以上  以下は本文でぜひ読んでいただきたい)

この論考であげられている権力の源泉は 3つ

1、武力、懲罰権
2、金
3、人事権

現代の日本で具体的に考えると

1、警察・検察・裁判所・自衛隊・その他諜報機関 などなど
2、カネ
3、内閣人事局・選挙の公認権

ていうことになるだろう。
ただし、日本の場合は、もう一つ上のレイヤーに 「米国の承認」というものがある。
在日米軍、CIA、NSA などが武力の源泉となり、上記1~3の全てがそこに従属している。

その限定つきではあるが、日本での権力が何によって発生し、維持されているのかを考えてみたい。

1の武力、懲罰権 はわかりやすい。
ただ、この力は生身で振り回されることは少なくて、従う側が忖度して自主規制する場合がほとんどだ。とくに70年代以降の日本では、自主規制が徹底的にすり込まれているので、アサド政権のようにむき出しの武力や懲罰で権力をまもることはほとんどない。
沖縄の山城博治さんのようにどうしても現権力に従わない人間がいると、見せしめ的にやられることはある。

今はそんな状況だけれども、もっと抵抗する人間が増えてきたら困るので、より武力や懲罰をやりやすいように 今から準備しておこう、というのが「共謀罪」だ。
まさに、1の強化 そのものである。

ちなみに、1を担当している者たちが 「あれ、権力者はただの丸腰のオヤジじゃん。権力握ってるのって俺たちじゃないの?」ということに気が付いて、武力で2と3も握ってしまうのが クーデターである。2.26事件のように失敗することもあれば、朴正煕のように成功することもある。

3については、形式的な人事権と、政治と行政の機構の中への人脈とがあるだろう。
形式的な人事権だけでは、面従腹背やサボタージュや組織分裂が避けられないからだ。
民主党政権があっというまに裏切りと瓦解に堕したのは、ここの掌握がぜんぜんできなかったということが大きいだろう。

いわゆる「政権」をとっても、武力、金力、人事力 を掌握できなければ 屁の突っ張りにもならないという典型的な事例が あの民主党政権だった。

ただ、1と3は、政権を獲得して、武力と人事権をがっつり掌握するんだ という明確な意識をもって臨めば、やってやれないことではない。鳩山政権は、この点での権力意識があまりにも希薄、というかあったのかどうかも疑わしいわけで、必然的に滅びたということなのだが、逆に言えば、あの時に権力の掌握に全勢力を傾けていたら、結果はまた違ったものになっていたかもしれない。(たらればだけど)

いまのところ日本では、1が突出してクーデターをおこす気配はなさそうだし、3を掌握するためには選挙に勝利した上に水面下の人脈をひろげなければならないことを考えると、やはりキモは2のカネ ということになる。
他を圧倒するカネを自由にして、かつ権力を掌握する意識・戦略・戦術にすぐれたものが、権力の源泉を独占できるのである。



そう考えた時、なんで安倍晋三が、一強といわれ、超長期政権を維持しようとしているのか かなり不思議な感じはする。

たしかに、安倍一族は金持ちではある。ちなみに、昭恵も森永創業家でありかなりの資産があるはずだ。
しかし、仮に100億の資産があったところで、全てを使い尽くすわけにはいかず、権力を手に入れるために使える個人資産などせいぜい数億に過ぎないだろう。そんな金は、1回の選挙で消えて無くなる。

つまり、ストックされたカネでは、権力を維持していくことはできない。つねに、金を生み出すシステムこそが、権力の源泉なのである。しかも、その金の多くは、政治資金規正法やら国税局やらの目の届かないカネでなければならない。

国税局が把握できないカネのことを 一般にアングラマネーという。
脱税して隠し持っているカネとか、タックスヘイブンに移してしまったカネとか、麻薬や売春などで稼いだカネとか。そんなカネが、日本には20兆円ほどある、と噂では言われている。もちろん、正確なことはわからない。

では、権力を握ろうとする人間が、アングラマネーを貯め込んでいる者に 「ちょうだいな」と言ってくれるだろうか。ただでくれるわけはない。双方が Win-Winで喜ぶ仕組みがなければ、カネを出してくれるわけがない。

アングラマネーの弱みは何かというと、使えない ということだ。持っているけど使えない。まとまった金額を使うと 国税に把握されてしまうので、ガバッと使いたくても使えない。
そこで何をするかというと マネーロンダリング=資金洗浄 である。

一昔前に流行ったのは、架空のNPOを立ち上げて、そこに寄付するというやり方だったらしい。NPOの金になった時点で表の金になり、NPO名義で使ったり、そこから架空発注やらなんやら迂回させて自分の手元に戻したり。
ところが、そういう使われかたが多すぎたために、NPOへの寄付は原則課税になってしまい、使えなくなってしまった。

いまでも同様の手口を使えるのは、寄付が非課税で出所を問われない 宗教法人と 学校法人だけである。
とくに、私立学校を建設する という話は、多額の寄付を集めやすいし、土地代や工事費などで架空契約や架空発注でカネを浮かせることができる。まさに、アングラマネーを表に出すロンダリングと、アングラのまま政治に流す資金工作と 同時にできる素晴らしいシステムになり得るのである。

さらに、この学校建設システムの素晴らしいことは、アングラマネーだけでなく、国有地等の払い下げという名目で、国有財産をタダ同然で提供し、その見返りもまたカネにかえる という技も使えることだ。
アングラマネーと国有財産を ロンダリングと裏政治資金に返還する。
このスキームを考えた人間は天才だ。

前の記事に載せた図をバージョンアップして載せておく。
もちろんこれ自体は、私の想像の産物であることは言うまでもないが、私の知るかぎりでもっとも合理的な説明にはなっているはずだ。

20170327-1.jpg

森友事件の意味は、おそらく全国で行われてきたしこれからも予定されているこのスキームが、籠池というトンデモ夫婦のおかげで綻びが生じ、私たち一般の目に触れることになったことだ。
今名前があがっている、加計学園とか東邦会とか、もろもろの公有地無料事案も、この可能性を念頭において調べていく必要がある。



一度は 無残な形で権力を投げ出し、その2年後の自民党が政権を追われる転換点となった男が、なぜ今、一強と言われる権力を誇っているのか。
ひとつは、おそらくかなり優秀な参謀を抱えていること。
そして、もうひとつは、カネのなる木を手に入れたこと。

森友事件で、安倍晋三や昭恵が逮捕されたり致命的な打撃を被ることはないだろう。
しかし、このカネのなる木の一端が暴かれてしまったことは、大きな痛手になっているはずだ。今後、安倍を首班にしての同じ手口をやりにくくなったのはたしかだ。少なくとも、カネを出す側は警戒するだろう。

その意味でも、とにかく今は、安倍晋三と安倍昭恵に運動的なターゲットを絞って叩くべきだ。
大阪的には、たしかに維新や松井一郎もなんとかせなあかんし、図の右下のドロドロはほとんど維新がかんでいる可能性大であるから、松井のおおコケは十分あり得る話ではある。
ただ、全国的な非難囂々の嵐は、安倍昭恵の証人喚問を求める声であり、100万円は安倍晋三からの「お礼」だったんじゃないのか という疑惑の声であるべきだ。



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2017-03-23(Thu)

【森友証人喚問】 西田昌司の不審なうろたえ

今朝はおきた時からノドが痛く、低体温でガタガタ震えるような体調だったので 毛布を被ったまま昼まで証人喚問を見ていた。

自民と維新は、ほとんど質問と言うよりは 自分の印象をしゃべってテレビに流すことに懸命で、彼ら的な立場からしてもロクな追及はできていなかったようだ。
逆に、籠池総裁の証言態度があまりにも堂々としていたものだから、極右レイシストとしての彼を批判してきた者までが感心してみていたという不思議な現象が起きていた。

とくに、山本太郎さんが「一人でさせて申し訳ありません」と昭恵夫人に言われた時の気持ちを聞いたとき、感極まる様子の籠池総裁に思想信条を超えて共感した人は多かっただろう。
自民と維新の印象操作は、ほぼ失敗したと言っていいのではないだろうか。

ただし、籠池総裁もそれなりに保険はかけていたように見えた。
ここまではすっぱり言う、ここからは絶対に言わない その線引きが自分のなかで明白だったのだろう。

西田昌司が資金源について質問を続けていた時に 籠池総裁が
「この問題の本質を審議していただいているのは、そこにどのような口利きがあり、どのようなことがあったかということでありますから、議員のおっしゃっていることは的外れていると思います」
と返した。

3枚の契約書以外は、驚くほどすらすらと証言してきた籠池総裁が、ここだけはのらりくらりとかわした挙げ句に、この返しで逆に西田昌司がぐらぐらになってしまった。
「そんなことはない。ここが本質だ。」と言ってもっと突っ込めばよさそうなものなのに、ここから後の西田の質問は何を言っているのかもよくわからないうえに、籠池総裁の言うままに論点を口利きへと移してしまった。

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ネット上でも、このやりとりで 西田昌司を馬鹿にする発言が目立つけれども、実は西田はかなり際どい橋を渡ろうとしていた。
いくら開き直った籠池でも資金源だけは明かせないだろう と踏んで 答えられずにしどろもどろにさせようとしてここを突いてきた。ある意味で、西田の作戦は自民党的には正しかった。

しかし、もし万が一、これに籠池総裁が答えるようなことがあったら、西田はトンデモナイ巨大な墓穴を掘ることになる。
だから、かなりビクビクしながら、籠池総裁の顔色をうかがいながら、もししゃべりそうになったら話をそらす準備もしつつ質問をしていたはずだ。

少なくともあと10数億円集まるはずだった「寄付」こそが、森友事件の核心であり そこに本当のボスキャラが潜んでいる。
宗教法人と学校法人への巨額の寄付は、アングラマネーのロンダリングの温床なのである。
西田昌司も、本人が直接関わっていたかどうかは別にして、そのくらいの裏事情は常識として知っているはずだ。

だからこそ、「言えるはずがない」と踏んで突っ込んできたのだろうし、同時に、万が一口を開きそうになったら阻止するという腰砕けだった。
そこに、あの「的外れ」発言があった。証人が議員に「的外れ」と言うのはよほどのことだし、それこそ自民党お得意の「侮辱だ」と言ってもいいくらいの発言だ。それを、強気でならず西田昌司がタジタジとなって、追及の矛先を反らしてしまったのだ。
まさに、この「的外れ」発言が、「おい いい加減にしとけよ。言うてまうぞ。」という西田への恫喝 と西田は理解したのだろう。



悪の元締め・迫田英典 国税庁長官を参考人招致するらしい。
偽証罪の縛りのない参考人招致での発言は、逆に言うと、ほとんどウソだということだ。
そういう理解で聞くならば、それなりに意味はあるのかもしれない。(という程度の意味しか無い)

あとは、いかに矛盾を引き出して、証人喚問に切り替えるかであり、それはすなわち 民進党が腰砕けにならずに財務省にたてつくことができるのか ということでもある。
あまり期待はできないが、しかし、もしこれで森友疑獄を中途半端で投げ出して、さらに都議選で惨敗したら おそらく民進党は分裂するか消滅するだろう。国民をダマして野党の顔をするのが民進党の仕事だから、それなりの勢力は保っておかなければならないので、分裂や消滅はマズい。と、そのくらいの危機感は、民進党の腐れ幹部も持っているだろうから、そこそこにはやるのではないか。

また、自民や維新の内部、自民と公明の関係も かなりぐらついている。
森友の次には加計もある。高邦もある。 この調子で続けられたら地元が持たない という悲鳴は上がっているはずだ。
とくに、蜜月だった安倍晋三と維新との関係は、自民と維新の責任のなすりつけ合いとなって 決定的なヒビが入った。

こうした情勢を綿密に観察して、ひび割れに指を突っ込んだり、水を注いだり、油を差したり、ありとあらゆる方法で安倍一強の崩壊を促進させることも重要だ。
ぐらついている議員連中の地元で、あれこれ騒ぎ立てるのもいいかもしれない。

今日はまだ風邪気味だから この辺でおしまい。
明日以降、地元大阪でできることを考えていきたい。




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2017-02-14(Tue)

トランプに取り入ることに成功した安倍と、自ら糸を切ってしまったリベラル

またまた 「トランプ支持者がリベラルを叩いている」 と言われそうなタイトルだが、決めつけるのは読んでからにしていただきたい。

まず最初に確認しておきたいのは、今の日本にとって私が一番大事だと思っているのは 
「自分たちのことを自分たちで決められるようになる」 ことであり、
そこに向かって少しでも前進することだ ということ。

実質植民地の状態で、形だけ民主主義をうたっていても、それは虚しい。いつもいつもいつも裏切られて、敗北して、それでも「日本は民主主義の国だ」と満足していることに、私は耐えられない。
「日本は実質的に植民地状態であり、だから民主主義がまだ機能していない」という現状認識を、多数の国民が共有しないことには、いつまでたっても「平和と民主主義」は幻影に過ぎない。

トランプへの日本のリベラルの対応を、一貫して私が批判している理由はそこにある。
幻影の民主主義に照らせば、たしかにトランプの言動は許しがたいことがあるのは、私も理解している。
しかし、植民地に住む私たちが、宗主国の大統領の動向を見る時、まず考えなくてはならないのは 「独立に向けて、何かスキはないのか。可能性はないのか。」という観点だ。
理想に照らして真っ黒なのは最初からわかっていることで、そんなことばかりを言って 「自分たちの置かれている境遇にとって、どういう意味があるのか」を考えないのは、やはり幻影の中で生きていると言われてもしかたが無いのではないか。

本当に切羽詰まっている人たちは、そんな幻影に惑わされずに交渉の余地を探ろうとした。

翁長知事が訪米へ トランプ政権に辺野古反対訴え狙う
2017年1月30日 朝日新聞


もちろん、そう簡単に成果がでるわけもないが、それでも、何かスキはないのかと必死に探りをいれるための訪米だったのだろうと思う。
しかし、その動きは、沖縄だけがしていたのではない。いやむしろ、はるかに上回る勢いで、安倍政権自体が動いていた。



安倍晋三個人はともかく、チーム安倍を侮ってはいけない。

当初トランプ当選を予想しておらずに動揺したのはたしかだが、そこからの巻き返しは早かった。おそらくは統一協会(アメリカではムーニー)ルートを駆使して、トランプに取り入ることに全力を挙げた。そして、成功したように見える。

その鍵は何だったのか。
それは 「トランプは何を望んでいるのか」 を的確に把握し、それに対応して見せた、ということだ。
すなわち、アメリカ国内の雇用を増やしたい、そのための投資がのどから手が出るほど欲しい、というトランプの核心をつかみ、そこに4500億ドル(約50兆円)という凄まじい金額をぶち込んだのだ。

日本のGDPの1割を超え、アメリカのGDPの3%近い投資を、アメリカにするというのだから、トランプが狂喜乱舞するのは目に見えている。
安全保障がどうとか、日韓関係がどうとか、そんな交渉をゴチャゴチャするのではなく、「ドンと札びらを切って、その他の話は買い取る」という戦略を決めて、即実行に移したチーム安倍の判断力は、敵ながらあっぱれである。

チーム安倍は、本来は日本に投下されて日本の雇用を生み出すべき50兆円をアメリカに献上することで、大きく二つのことを買い取った。
一つは、在日米軍の現状のままの残留である。
日本と韓国に任せて引き上げたかったトランプの方針を変えさせ、これまで通りの配備を続けさせる基本的な同意を買い取った。もちろんこれには、漸減してきた「おもいやり」予算をもう減らさない、もっと増やす、という密約も込みなのだろうが。
こうして、日米安保に群がるものたちの利権を守った。

もう一つは、安倍の支持層である極右勢力の存在を認めてもらうことだ。
日韓同盟にアジアを任せたかったトランプにとって、極右勢力は排除すべき対象だった。チーム安倍にとって、支持層をごっそり失ってしまうことを意味し、かなり窮地に立たされていた。
それを 50兆円で動かした。在日米軍の残留で日韓同盟を相対的に軽くさせたこともふくめて、嫌韓右翼の存在を許容させた。

一度は失脚寸前だった稲田朋美も、これからはまた傲岸不遜に振る舞い続けるだろうし、1月後半はやや極右批判に傾いたメディアの論調もスルッと変わっていくだろう。
昭恵の学校=瑞穂の國小學院の国有地不正取得疑惑も、一度は朝日新聞が思い切って書いたけれども、急速に沈静化していくに違いない。

本来は親韓右翼である統一協会にしてみれば、これは本意ではないのだろうが、統一協会は戦略的にどのようなイデオロギーであろうと自己同一化させて潜入し、やがて絡め取るという恐るべき能力をもっているので、今回はこの流れをよしとしたのであろう。

以上のことは、11月から1月までの3ヶ月間で、チーム安倍が必死に情報収集し、分析し、計画を練った結果なのである。
そのことを理解せずに、安倍をバカだのアホだのと貶しているだけでは、1000年たっても自民党には勝てない。



日本の野党や、安倍を倒したいと願うリベラル勢力がするべきだったのは、「トランプ政権と交渉する能力のある勢力があること」「そういう勢力が政権交代を狙っていること」 をトランプ側に示すことだった。
トランプ側からすれば、いくら安倍と交渉しても、将来的にひっくり返る可能性があるかもしれない、というリスクとして認識させるということだ。

同時に、それはまったくの卓袱台返しではなく、トランプにとってもそれなりに受け入れる余地のある交渉相手でなくてはならない。ハードネゴシエイトであっても、交渉拒否であってはならない。
いくら独立を願う私でも、日米関係が完全に交渉決裂になって良いとは思わない。それは、誰しも理解できることだろう。

そのためには、やはり、 「トランプは何を望んでいるのか」 を的確に把握し、それに対応して見せることだ。
安倍のように、120%媚びへつらい、国民のカネを湯水のように献上することはできないが、相手の望みをハナから無視して交渉が成立するわけがない。

ところが、日本のリベラルがやったことは、トランプを鬼だ悪魔だと決めつけることばかりで、交渉相手として知ろうとはしなかった。
自分たちは植民地の住民として、きわめて厳しい交渉をしなければならないのだという立場を忘れ、アメリカ本国内のリベラルと一緒になって騒ぎ立てた。

翁長知事たちが交渉をしようとしている後ろから、その交渉相手に「鬼だ悪魔だ」と悪罵が飛んで来たのである。
これでは、ただでさえ関係を築くのが難しいのに、わずかな糸ですら自らぶち切っているようなものである。
辺野古新基地建設に反対しているリベラル諸氏は、思い当たるところはないだろうか。

沖縄のことが典型的だが、それにとどまらず、日本全体の独立へ向けてのわずかなステップを、自ら放棄してしまった。
貧困も、弾圧も、戦争も、ここまで差し迫っているのに、まだ夢だけを語り、反対を言いつづければどうにかなるという幻想が蔓延していることに、絶望に近い気持ちを抱く今日この頃である。

もちろん、反対を言いつづけることの意味は大きい。夢や理想を持つことは絶対に必要だ。
しかし、それだけでは負ける、負け続ける、負け続けて悲惨な結果になる、それが目の前の現実なのではないのか。




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2017-01-24(Tue)

なぜトランプ叩きに異を唱えるのか

トランプの言説のなかには、たしかにKKKを想像させるものがある。敗北からの復活の熱狂という意味ではナチスに通じると感じることもあるだろう。それらにマイノリティが恐怖するのは理解できる。

しかし、トランプの暴言と言われているものの多くが、もちろん全てではないが、マスメディアによる演出やねつ造であることもまた見ておかねばならない。
次の文章を読んでどう感じるだろうか

トランプはバージニア州で10月3日、退役軍人の会合に出席。心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した帰還兵たちについて、「戦場で見たことに対応できない人たちも大勢いる」と述べた。
(引用以上)

何かおかしな発言だと感じるだろうか。

これが、メディアの手にかかるとこうなる。

暴言王トランプ、PTSDの帰還兵を「弱虫」呼ばわり 本当に弱いのは誰だ
2016.10.05 Forbes


米国では毎年、イラク・アフガニスタン戦争と湾岸戦争、ベトナム戦争の帰還兵らのうちそれぞれ11~20%、12%、15%にあたる人たちがPTSDを発症している。トランプはこの人たちを侮辱した。
(引用以上)

勝手に「弱虫」と言い換えて帰還兵を侮辱しているのは、フォーブス誌のほうではないのか。
ことほど左様の、誇張、言い換え、剽窃が、多分にトランプのイメージを作ってきた。

ちょっと前の記事に書いたが、障がいを持つ記者を侮辱したと言う件も、詳細に検証すれば、「トランプのふざけた動作が記者のマネだ」と言う方が、よほど記者に対する侮辱になると思われる。
 →トランプ叩きに昂じる「リベラル」ってなんだ

下品な成り上がりのオッサンであることは、たぶん支持者を含めて異論は無いだろうが、彼が1920年代のKKKなのか、あるいは怒りの葡萄に目を向けた政治家なのか、これは簡単に決めつけをすべきではない。
少なくとも、トランプの表向きの政策は、現代の怒りの葡萄に対応しようというものであり、その真偽についてはまだ判断する材料が揃っていない。



それにしても だ。
日本のマスコミやリベラルや市民運動が、トランプを叩こうが擁護しようが、米政権に何の影響も与えない。
だったら、それぞれ好きなことを言っていればいいではないか。いちいち異を唱えて角を立てなくてもいいではないか。そいういう考え方にも一理ある。

しかしそれでもなお、勧善懲悪の二元論になってしまう左翼やリベラルの習性にはひとこと言わずにいられない。なぜなら、自分自身もそうだったから。

マスメディアがどんな役割果たしてきたか、身に染みているはずの人たちが、なんでトランプのことになるとすべて鵜呑みにしてしまうのか。
マスコミの主流が一斉に口を揃えた時は、何かオカシイ。信じる前に疑え。そう心に誓わなかったのか。
あまりにもマスメディアに対する抵抗力の低さに、危機意識を感じるのである。

それ以外にも理由はある。
真の敵を見失ってしまうからだ。
1990年代以来、世界のほぼ全ての民衆の真の敵は、新自由主義を標榜する多国籍巨大資本だ。もちろん、それが全てではないが、真の敵を見失ったり、忘れかけたり、免罪したりする結果になることは、危険を通り越して罪である。

ほんの数年前まで、世界の正義としてもてはやされていた新自由主義を、最近耳にしなくなったと思わないだろうか。
あまりにも苛斂誅求を尽くし、世界中から憎しみを集中されたため、姿を隠すことにしたのだ。かつて口を開けば新自由主義と言っていた学者も政治家も、口を拭ってしまった。その代わりにやっているのが、保護主義批判だ。
新自由主義を拒否する動きを、保護主義と批判することで、裏側から新自由主義をキープしているのである。

本当に怖いのは資本の暴走だ。
ファシズムですら、欧米の資本が育てたのである。
これは謀略論でも何でもない。NHKでも報じられている事実だ。
この動画はちょっと長いけれども、ぜひ見ておくことをお勧めしたい。

 新・映像の世紀「第3集 時代は独裁者を求めた」

今も厳然と活動しているBIS=国際決済銀行が、ナチスドイツの経済を支えていたということも秘密でも何でもない。

国際決済銀行 : ナチスに協力したセントラル・バンカー
報道写真家から(2) 2010年8月30日


BISは、理事会も執行部も各部門も、連合国と枢軸国の寄り合い所帯で構成され、運営されていた。しかし、彼らは決して反目することなく、粛々と業務を遂行した。
(略)
アメリカ人総裁をいただくBISは、まさに「ヒトラーの金庫番」として機能していた。

(引用以上)

第2次大戦は自由主義がファシズムを打倒したと思われているが、そんな単純な者ではない。
勧善懲悪の二元論は、真の敵を見えなくする、敵の目くらましだということに気が付くべきだ。


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2017-01-17(Tue)

慰安婦像はウィーン条約違反か?

韓国での従軍慰安婦像をめぐって、少し前から声高な論議がされている。

激しくなったのは、年末に釜山の日本領事館前に設置されてからだ。
12月28日に市民団体が設置したものを、一度は釜山市が撤去したところ猛烈な抗議の嵐となり、30日には一転して認めることになり、31日には除幕式が行われた。

これに対し、日本政府はかなり強行に反発し、1月9日は長嶺駐韓大使を帰国させてしまった。
大使の召還は国際的にも大きなインパクトであり、良い悪いは別にして、公的な大事件にしてしまった。

そもそも、なぜ年末のギリギリに像の設置がなされたのかと言えば、もちろん、日本の防衛大臣である稲田朋美が辛抱できずに靖国神社に参拝したからだ。
稲田の支持者の中では「正義の闘い」であるはずの真珠湾攻撃を「反省」しに行かされた稲田は、そのままでは極右の支持者に申し訳が立たないため、帰国した翌日の29日に矢も楯もたまらずに靖国に飛んでいった。

日韓合意の交渉の中で岸田外相は、「当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」 と言っているのだから、その当事者を神とする神社への参拝は、客観的に考えても合意の趣旨に反していると言わざるを得ない。
韓国ではかなり多くの人が「反しているどころかぶちこわしだ」と感じたわけで、一度は撤去した釜山市も一転して認めるという方向になってしまった。

像を建てるという運動の是非はここでは論じない。
ただ、日本が「10億円出したのだから像を撤去せよ」と言うことは、やはり何かをはき違えている。
これは想田和弘 さんが言う通りだと思う。




10億もらったら原爆ドーム撤去する?
という話だ。

筋論はそういうことなのだが、一点だけ、国際問題にしてしまった日本政府が主張する「ウィーン条約違反」という点はどうなのだろうか。これは、上記の筋論だけでは決められない問題ではある。

ウィーン条約の22条にはこのように書いてある。

第二十二条
1 使節団の公館は、不可侵とする。接受国の官吏は、使節団の長が同意した場合を除くほか、公館に立ち入ることができない。
2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。
3 使節団の公館、公館内にある用具類その他の財産及び使節団の輸送手段は、捜索、徴発、差押え又は強制執行を免除される。


このなかの2が問題になっている。
ここには 「侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護」 「公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止」 について接受国(今回は韓国)に責務がある ということ。

慰安婦像は、侵入や損壊にはならないし「安寧の妨害」にもなりそうにないので、「威厳の侵害」ということになる。
さて、領事館の前に慰安婦像を建てることが、「威厳の侵害」になるのか。

例えば、日本人を明示するような人形に五寸釘を打ち込んであるとか、侮辱的な落書きがしてあるとかならば、まあ該当するのかな とは思う。
あまりたくさんの人数でなかったが、映像に映っているような国旗や似顔絵を燃やしたりするのも、その是非は別にして、「威厳の侵害」になるような気はする。

しかし、像を建てること自体は、これ以上無いほどの静かな無音の抗議であり、これが条約違反と言うことになれば、大使館に抗議デモするのも全て条約違反と言うことになってしまう。それはいくら国際条約でもそこまでの自由迫害は許されまい。というか、ウィーン条約とてもそこまでのことは想定していないとするならば、やはり慰安婦像をそっと設置すること自体は、条約違反にはあたらないのではないか と思うのである。



ところで、結局この問題は、退任寸前のオバマ政権の預かりになったようだ。

約1年前に、やっとのことで日韓合意にもちこんだオバマにすれば、最後の最後で何してくれんねん! てなもんであろう。
日本は「おいそのへんにしとけ」と言われれば、相手が退任寸前の国務長官でも平伏するけれども、韓国はそんなことをするとタダでさえ大統領弾劾で臨時政権なのに、とんでもない大混乱になるかもしれない。

外交部の尹炳世長官が、ケリーにおしこまれて
「国際社会では外交領事公館の前に施設、造形物を設置するのは国際関係の側面から望ましくないというのが基本的立場だ。場所問題に知恵を集める必要がある」
と発言したところ、

韓国外交部長官「釜山の少女像望ましくない」発言に韓国野党「辞任すべき」
2017年01月16日 中央日報


ということになっている。
大使館や領事館の前だけは撤去する、というところを落とし所にするというのが、どうやらケリーと韓国外交部の作戦だったようだが、安倍の大使召還などの強攻策が、そうした一時休戦を許さない情勢に押しやってしまったようだ。

基本的に従米のはずの潘基文までが

慰安婦合意 少女像撤去と関係なら誤り=潘前国連総長
2017年1月16日 朝鮮日報


と言っており、むしろ今ボールは日本側が持っている状態のようだ。
報道はされていないが、ケリーは当然ながら日本にも「ここまでにしろ」と命じているはずで、その線で動けるのかどうか、オバマもトランプも回答を待っている。

ケリーから指示されたのはおそらく、他の場所の像には触れずに、また条約違反だと居丈高にならず、大使館や領事館の前だけは外交慣行上撤去してほしい、と頼むというラインだろう。
その内容を、韓国側の外交部長官は、先走って口にしてしまったのだろう。

トランプも中国に対しては一定の緊張関係を作ろうとしており、米軍を補完する日韓軍事同盟は必須だと考えているはずだ。
それを乱すものは、米つきバッタであろうと安倍晋三であろうと、許されはしない。

支持率をつり上げて延命に必死の安倍政権であるが、従米をとるのか、これまでの支持層である極右をとるのか、実は選択を迫られている。どちらもロクなもんじゃないが、そんな状態で安倍晋三はかなりピンチなのだ。
27日のトランプ会談までに結論を出さなければならない。そしておそらく、安倍自身は従米をとる決断をしているだろう。

安倍晋三を本気で追い落としたいのであれば、その動きをよくよく注意して見ておかねばならない。
子どものケンカのように、単純に貶していればいいというものではない。


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